No title

「コレでもオレ、結構悩んでたんだぜ? 真ちゃんの本音が全然わかんなくてさ。告ったのもオレの方からだし、もしかしたらお情けで付き合ってくれてんのかな、とか……」
切なげに眉を寄せ、思いを吐露する姿にハッとした。いつも笑っていたから気付かなかったがそんな事を考えていたなんて!
「だからお前は駄目なのだよ。俺が情けで付き合うようなヤツに見えるのか?」
「……見えねぇ。でもさ、人に言えない関係だからこそ余計に不安になるんだって……」
「……っ」
「真ちゃんから好きだって言って貰ったことねぇし?」
拗ねたような表情でそんな事を言う。
そろりと抱き返すと高尾が嬉しそうにはにかんでみせた。
そんな姿を見ていると愛しさが込み上げてきて徐に顎を掬って口づける。
「んっ、真ちゃ……ッ」」
「俺がどれだけお前の事を思っているのか理解していないようだから、教えてやる必要があるな」
眼鏡を押し上げ耳元で囁いてやれば、ぴくりと震えて緑間の腕から逃げ出そうとする。
「はっ!? 何言ってんだよっ。こんなとこじゃ人が……」
「こんな奥に誰も来るはずがないのだよ」
腕の中でもがく身体に、小さな情欲の炎は簡単に煽られて大きくなった。
一歩足を踏み込めばそこはもうお祭りの会場だ。誰がいつやって来るとも知れない状況になんだかんだと言いながらも高尾は少なからず快感を強めている。
「本当は期待しているんだろう?」
「ちがっ、してねーし!」
耳に吐息を吹き込むようにして囁いてやると大げさなほどに身体が震えた。
自分の言動にいちいち反応を寄越す姿が可笑しくてつい、苛めたくなってしまう。
「お前はここが弱かったな……」
息を吹き込みながら耳たぶに甘く吸い付く。そのまま熱い舌先で耳の中を舐めてやると高尾の体が大げさなほどびくりと跳ねた。
浴衣の合わせから手を差し込み胸を弄りながら、自然に逃げようとする頭を押さえつけて耳の中に舌を差し込む。
「あ、ぅ……んんっや……」
静かな空間にぴちゃぴちゃと卑猥な音が響き渡り、堪え切れなくなってきたのか吐息に小さな喘ぎが混ざり始めた。緑間の肩口に顔を埋め、声を洩らすまいとしがみついてくる手に自然と力がこもる。


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