No title

今日の真ちゃんはなんだか様子がおかしい。
そわそわしてなんだか落ち着かないというか、挙動不審と言うか。
何より、オレの方をチラチラと見てはすぐに視線を逸らしてしまう。
言いたいことがあればはっきり言えよな。
「なぁ、真ちゃん。そろそろ機嫌直せよ。いい加減うぜーし」
自主練を終え、ようやく二人きりになった部室で、オレはずーっと気になっていた話題を吹っかけた。
「なんの話なのだよ。俺は至って普段どうりだ」
「嘘吐け! 昼休み終わったあたりから一度もオレの方見ようとしないじゃねぇか.。気付いてんだぞ」
「……っ」
今日はオレ、真ちゃんにはなんもしてないはずだ。全くもって身に覚えがない。
「オレ、真ちゃんになんかしたのか?」
言いながら真ちゃんの顔を見た。オレの方が身長が低いからどうしても覗き込むような形になってしまう。
すると真ちゃんは目を泳がせて、眼鏡のフレームを押し上げるような仕草をする。
「別に、なんでもないのだよ」
「ブフォッ! つか、思いっきり視線逸らしてんじゃん」
何がなんでもない、だよ。わかりやす過ぎだって。
「なんでもないって顔してねぇって! お前さぁ、気付いてる? 動揺した時とか焦った時とかに眼鏡カチャカチャやるの。それ、クセだろ」
ちょいちょいと眼鏡を押し上げる真似事をしてやると、ハッとしたように目元に持っていこうとした手を真ちゃんが慌てて引っ込めた。
「なぁ、オレ何かした? マジで気になる。つーか、わからないってのは気持ちがわりーから教えろよ」
くいと袖を引っ張って訴えると、ようやく真ちゃんの綺麗なグリーン色した瞳と目が合った。
「……っ」
「……」
「…………なんでもない、のだよ!」
「おいっ! 結局いわねぇのかよっ!」
数秒間見つめあった挙句、再び視線を逸らしてしまった真ちゃんは眼鏡を外し何事もなかったかのように着替えを始める。
「……どうしても言わない気かよ」
「だから、なんでもないと言っている!」
さっきから同じ答え。これでは埒があかない。


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