No title

ある日、高尾は自室のパソコンでネットを開いていた。

特に何か調べたいモノがあったわけじゃない。

ただ単に手持ち無沙汰だったのだ。

何気なくマウスを操作して画面を眺めていると、ある一つの広告が目に留まった。

『今の性生活に満足していますか?』

マンネリ化しているパートナーとの生活を媚薬を使って一変させようという、実に怪しい謳い文句に思わず手を止める。

一般的な高校生並みの性欲を持ち合わせている(筈の)高尾に比べ、緑間は基本的にドライだ。

性的に淡泊すぎる彼に、もう少しだけ性欲があればと何度思ったことか。

いつも我慢できずに誘うのは自分からで、彼から誘われたことは一度もない。

一度くらい強引に襲われてみたいと常日頃からの願望ではあるが、そんな話をしてみた所で「お前は馬鹿じゃないのか?」と、冷たい答えが返ってくるだけだ。

もしかして、両想いだと思っているのは自分だけで、緑間は違うのではないかと何度思った事か。

「媚薬……ねぇ」

前々から興味はあったが、実際に使用してみた事は無い。

目の前の画面にはとても美味しそうなチョコレート(ただし媚薬入り)がずらりと並んでいる。

これなら、緑間に媚薬を盛っても気付かれないかもしれない。

幸い数日後にはバレンタインと言う都合のいいイベントが待っている。

PCの前で悶々と考える事数分。気が付けば高尾の指先は購入ボタンをクリックしていた。




[prev next]

[bkm] [表紙]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -