No title

「なぁ、真ちゃん。今日部活ねぇし帰りにマジバ寄って行かね?」

「行かないのだよ」

昼休み、弁当を食べながらそう声を掛けると速攻でそんな返事が返ってくる。

「えー、なんでだよ。いいじゃん行こうぜマジバ」

「……時間の無駄だ」

チラリと眼鏡を押し上げ、小さく溜息を吐きながらそんな事を言う。

時間の無駄って酷くね?

何時もの事だけど、相変わらずツレねぇヤツ。

「そんな事よりさっさと食べるのだよ。次は移動教室だろう?」

「へいへーい」

ちょーっと寄り道するくらいいいじゃねぇか。それなのに無駄ってなんだよ。

あんま喧嘩とか言い合いとかしたくねぇから、俺は喉元まで出かかっている言葉をグッとみこんで、残っていた弁当を無理やり口の中に放り込んだ。

真ちゃんは俺の事一体なんだと思ってるんだろう?

時々ふと考える。

部活もクラスも同じだから側に居られるけど、これでもしクラスが違ったら多分真ちゃんは俺と口を聞いてくれないんじゃないだろうか?

「――なぁ、真ちゃん……」

「なんだ?」

「……俺達って……」

本当に俺達って付き合ってんのか? 

そう、聞いてみたかった。

だって、付き合い始めて半年近く。キスはおろか未だデート一つしたことが無い。

手だって、握ろうとしたら思いっきり拒否されちまったし。

俺達の関係って何? って感じ。

でも、怖くて聞けなくて結局「ごめん。やっぱなんでもねぇわ」そう言って口を閉ざしてしまう。

「全く、なんなのだよ。くだらない事を考えている暇があるのならさっさと行くぞ」

「ハハッ、くだらねぇってか」

置いていくぞ。そう言って真ちゃんは立ち上がると本当にから教室から出て行ってしまう。

「あっ! ちょぉ待てよ!」

俺、これでも結構悩んでんだけど。

真ちゃんが本当は俺の事どう思っているのか全然、わかんねぇよ。

本当に俺達付き合ってる……だよな?

いまいち自信が持てない。



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