No title

「なぁ、真ちゃん」

「今度はなんだ」

「俺たちって付き合ってるん、だよな?」

「ブッ、ゲホゲホっ」

言った途端、物凄い勢いで真ちゃんが飲んでいたおしるこを吹き出した。

「うっわ、汚ねぇっ」

「な、な、何をいきなりっ!」

「ぶはっ、なんだよその慌てっぷり……。つか、そんなびっくりする質問だった?」

真っ赤になって口をパクパクさせる真ちゃんの顔が可笑しくて、こっちまで吹き出しそうになる。

「驚くに決まっているのだよ! 全く突然何を言い出すかと思えば……」

「ハハっ、悪り悪い。つかさ、俺達まだ手も繋いだことないんだぜ? 付き合ってんならやっぱその……キス、とかもしたいし……その先だって……」

だんだん小声になっちまうのは、まぁ仕方がない。

思わず口篭ってしまった俺を見つめ、真ちゃんは口元に手を充ててすっかり黙り込んでしまった。

つか、このタイミングで黙られると超恥ずかしいんだけど!

「いたたまれないから、なんか言えよ」

気まずい空気に耐え切れず、文句を言うと、真ちゃんが短く息を吐いた。

「まさか、お前がそんな事を考えていたとはな……」

「そりゃ俺だって男だし。好きな奴と色々したいと思うのはフツーじゃね? 真ちゃんはさ、したくねぇの?」

「それは……っ」

顔を覗き込むと、茹でたタコみたいに真っ赤になって視線を泳がせる。

「ぶ、クククッなんだよ、その顔! 真ちゃんの方が変な面してるぜ?」

「なにっ!? 高尾の分際で生意気な事を言うなっ!」

「なんだよ、高尾の分際って。んなこと言うならもうチャリカー引いてやんねぇかんな!」

「フンッ、別にいいのだよ。その時は新しい下僕を探すまでだ」

売り言葉に買い言葉。すっかりいつもの調子を取り戻した真ちゃんは尊大な態度で腕を組む。

「真ちゃんにとって俺は下僕かよ。ちょっと酷くないか? あ〜ぁ、なんか超テンション下がんだけど」

空になったペットボトルを備え付けのゴミ箱に投げ込み、ちょっと大袈裟に肩を落としてみせた。

恋人ってモンにそこまで幻想を描いていたわけじゃないけれど、もう少し優しくしてくれてもいいんじゃ? とか、思うわけ。



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