No title
『わりーわりー。まさかあんな大きな声出すとは思ってなくて。 つか、もう次で最後にすっから』
まだ来るのか……。知らずため息が洩れた。
そして――。
『俺、真ちゃんの事、すげー好き。超好き。マジで愛してる!』
…………。
最初にオレが奴に送ったのと同じサイズで書かれた手紙。
そんな事はわざわざ紙に書かなくとも
「知っているのだよ」
思わず洩れた呟きは授業終了の合図に掻き消され、誰の耳にも――もちろん高尾にも届かなかったようだ。
「なぁ、真ちゃん。手紙交換結構楽しかったろ?」
「お前が余計なものを寄越すから授業に集中できなかったのだよ」
本当にいい迷惑だ。
ポケットに入れた高尾からの最後の手紙を指の先でなぞりながら、オレは眼鏡を押し上げた。