No title
なっ!? 人の回答を見て笑うとは失礼な奴なのだよ!
と、言うよりあの回答の何処に笑うツボがあったのか理解できない。
『サンキュ、わかりやすくて助かった。でも、紙が超デカすぎwwww あと、今度の日曜どっか行かねぇ?』
再び手が伸びてきて、小さな弧を描いてオレの手元に白い紙が飛んでくる。
後ろを振り向かずとも、どんぴしゃで手元に寄越してくるあたりは流石と言うべきか。
日曜は確か部活が休みだったような気がする。
別に付き合ってやってもいいのだが、わざわざ授業中に決めるような事でもないだろう。
そういう事は、直接話すかメールで送ればいいものを。
そういう主旨のメモを紙の切れ端に書いて再び高尾の元へと渡す。
『つか、なんだかんだ言って律儀に返事くれるんだなw さっすが真ちゃん』
次のメモにそう書かれていて、愕然とした。
オレは何をしているのだ!
うっかり高尾のペースにハマるとは。
あぁ、自己嫌悪だ。
もうこんなくだらない事に付き合ってたまるかと、眼鏡を押し上げて気持ちを切り替え授業に思考を集中させる。
ところが――。
『無視すんなしw』
『ちゃんと読んでんだろ? わかってんだぞ! 返事くれよ』
『真ちゃん、ヒマ〜。数学全然わかんねぇ。今度教えてくれよ』
『つか、今日真ちゃん家泊まってもいい?』
……etc
定期的に手元に投げ込まれる高尾からの手紙。
若干イラついている所に、『真ちゃんの今日のパンツ何色?』と、来た。
「さっきからうっとうしいのだよ! オレのパンツの色なんて聞いてどうする!?」
思わず大きな声を上げてしまい、クラスの視線が集中する。
水を打ったように静まり返った直後、教室中がドッと笑いの渦に包まれた。
「ど、どうしたんだいきなり? 授業中は静かにしなさい」
「……すみません」
どうしてオレが怒られなければならないのだよ!
オレの目の前で肩を震わせている高尾を睨んでいると、さらにもう一枚紙が飛んできた。
『いや〜、真ちゃん最高。腹いてぇ』
一体誰のせいだと思っているんだ!
「お前のせいで怒られたのだよ」と送り返してやったら、すぐに返事が戻ってきた。