No title
「あー……、腰がいてぇ。真ちゃん激しすぎ〜。あれほど激しくすんなって言ったのに、最後は無茶苦茶突きやがって」
ベッドの中でブーブーと文句を垂れるその姿に苦笑して頭を撫でる。
「だから、ガキ扱いすんな! 俺怒ってんだぞ」
「お前が可愛すぎるからいけないのだよ」
「可愛くねぇっての。たくっ、真ちゃんますます視力落ちてんじゃねぇ? あ〜ぁ。結局お前へのプレゼントも決まんねぇし……つか、マジでなんかないのかよ欲しいもの」
俯せになり、チラリと視線だけを向けてくる。
「だからオレが欲しいのはお前だと言ったはずなのだよ」
「だから〜、それじゃ結局いつもとかわらねぇじゃん」
「オレはそれで構わないのだよ」
「俺が構うの! 今年は二人で過ごす初めてのクリスマスだろ? 俺いつも貰ってばっかだから、それじゃ嫌なんだよ。それなのに……コレだもんなぁ……」
自分の身体に付いたキスマークを指でなぞり、肩を竦める。
「何を言っている。オレはお前に何かやったことなどないのだよ」
「……貰ってるよ。沢山」
「?」
オレはコイツに一体何をやった? 運勢アップの為のラッキーアイテムを貸してやったことはあるが、物を与えた覚えなど……。
「真ちゃんはさ、俺に努力すればなんでも出来るって事を教えてくれただろ? 人事を尽くして天命を待つ。だっけ? やれる事は徹底的に全てやる。お前のその姿勢、時々超うぜぇって思う事もあるけど、結構さ俺尊敬してんだぜ? 真ちゃんがいるお蔭で毎日退屈しないで済むし、俺自身のスキルアップにも貢献してくれてるし……それに、人を愛するってすげー幸せな事なんだって教えてくれただろ?」
そう言って、高尾はにかむように笑って見せた。
「馬鹿め……それはオレが与えた物ではないだろう」
それを言うならオレだって、コイツからは様々な事を教えられている。
「高尾こそ欲しいものはないのか?」
「俺ぇ? そうだな……敢えて言うなら時間。かな……」
「時間?」
「そ、誰にも邪魔されない、二人だけの時間。俺は……それが欲しい」
「……」
枕に顔を半分埋めながら、オレの指に自分の指を絡めてそう呟く。
幸い、明日は部活もない。
「そう、だな。じゃぁオレもそれが欲しいのだよ」
オレだって、モノなど必要ない。高尾さえ側にいてくれればそれで……。
「真ちゃんはダメ〜! なんか別のモン考えろよな」
「なっ、なぜそうなる!?」
「へへっ、なぁんてな。冗談だって! 結局プレゼントは決まらねぇけど明日は二人で一緒に過ごそうな!」
クスクスと笑いながら、高尾がオレの頬にキスをしてきた。
「……当たり前なのだよ」
頬に触れ顎を持ち上げる。どちらかともなく視線が絡み、誓い合うようにして唇を重ね合った。