No title
「くっ! は……っあぁ……もう、だめっ出……っ。ぁあっ!」
緑間の手が放り出されていた性器に絡みついた瞬間、高尾は高い声を上げて手の中に精を放った。
「――っ」
しがみついてビクビクと身体を震わせる高尾の後を追うように、緑間が息を詰め腰を深く押し付ける。
身体の中にいる緑間がどくどくと熱く脈打っているのを感じて、高尾はカァッと頬を赤らめた。
呼吸が落ち着くまで、二人で抱き合いながらベッドにごろりと寝転がる。
カーテンの隙間から差し込む陽が眩しい。今、何時くらいなのだろうか?
「なぁ、真ちゃん……。あの曲、もう一回歌ってくれよ……」
天井の木目を何気なく数えながら、尋ねてみた。さっきは驚きすぎてきちんと聞けていなかった。あれがもし、高尾のためだけに歌ってくれたというのならもう一度きちんと聞いてみたい。
「……嫌なのだよ」
「なんでだよ!?」
「そう何度も歌っては感動が薄れる」
「薄れねぇよっ! つか、マジでちゃんと聞きたいんだ。アレが真ちゃんの本当の気持ちだっていうなら尚更」
「……気が向いたらな」
ガバッと起き上がり真剣に頼み込む高尾に背を向け、フンとそっぽを向いてしまった緑間の耳が真っ赤に染まっている。
「なぁ、真ちゃん〜……」
ようやく思いが通じ合った二人の間の空気は甘く、高尾の表情にはいつも以上の笑顔が浮かんでいた。
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