No title
「――そうか。高尾はそんなことを……」
黒子達から高尾の様子を聞き終えた緑間はぐっと眼鏡を押し上げ小さく息を吐いた。
「わかったら、早く追いかけてやった方がいいんじゃねぇ?」
もうあれから随分時間が経ってしまっている。それでも、事実を知った以上追いかけてやるのが筋じゃないかと火神は言う。
「――いや、今日はもう遅い。明日にするのだよ」
「おいおい! その間にアイツが飛び降りとかしたらどうすんだ!」
「高尾は、家族や周りに迷惑をかけるような奴ではないのだよ。だから、そのセンは絶対にありえないのだよ」
フンッと鼻を鳴らし、相変わらずの不遜な態度をとる緑間を見て、火神の額に怒りマークが浮かぶ。
「黒子。やっぱこいつに教えたのは間違いだったんじゃねぇの? なんかすっげー腹立つ!」
「まぁまぁ。きっと緑間君なりの考えがあるんだと思いますよ。何処に行ったのかわからない以上、闇雲に探すのは賢明じゃないです」
「そういう事だ。馬鹿め……だが、情報を提供してくれた事については、感謝しているのだよ」
「……一言多いっつーの。たくっ、ありがとうって素直に言えないのかよ」
やっぱ俺こいつ嫌いだわ……。と、呆れたように溜息を吐く火神の横で、黒子はゆっくりとバニラシェイクを啜っていた。