No title
「そういえば、緑間はどうした? 一緒じゃないのかよ」
「……あ〜、真ちゃん? さぁな」
火神の質問に、びくりと身体が小さく跳ねた。つい、素っ気なく言ってしまい、ハッとした。しまったと思った時には既に遅く黒子の瞳が眇められる。
「喧嘩でも、したんですか?」
「……っ」
鋭い質問に息が止まりそうになった。
「いや。なんも……」
「何もないって顔じゃないです」
つぶらな瞳に覗き込むような形で真っ直ぐに見つめられて、背筋に嫌な汗が流れ落ちる。
何か言って誤魔化さなければと思うけれど、何も思いつかない。
「僕らでよかったら話を聞きますよ?」
「僕らって、俺もかよ!?」
「嫌なら火神君は何処かに行っといてください」
火神に冷たく言い放ち、黒子は高尾の方に身体を向ける。
「つか、そんな大した事じゃないんだけどな……」
「それでもいいです」
何か、悩みがあるんでしょう? と、聞かれたら高尾は反論できない。
真っ直ぐに見つめてくる黒子の瞳に宿る意思は硬い。言外に話を聞くまで逃がさないと言った雰囲気を感じとり高尾は白旗を上げた。