No title
最初は、ただの憧れだった。
キセキの世代NO,1シューター。中学ん時一度対戦した時も思ったけど、あの指先から繰り出される正確なシュートは半端ねぇ。
敵陣の俺でも見蕩れる程綺麗な軌道を描いてゴールに吸い込まれていくボール。
全てのレベルが違いすぎて、コイツと一緒にバスケが出来たらスゲー楽しいだろうなって思ってた。だから、真ちゃんが同じ高校にいて、しかも同じクラスだってわかった時にはマジで嬉しかった。
絶対にダチになって、あいつの相棒は俺しかいない! って言わせるくらいになろうって決めたんだ。
まぁ、予想を遥かに超える変わり者だってわかった時にはビビったけど。
なんでだろうな? 最初はただの憧れだった筈なのに、真ちゃんの事知れば知るほどその魅力に惹かれて、気がついたら好きになってた。
なっちゃったんだよなぁ……好きに。
あ〜ぁ。今日告ってきた子が真ちゃんだったら、喜んでOKしたのに。
ホント、あれが真ちゃんだったらどんなに良かったか……。
でも――。
告る前に振られる程切ないもんは無い。
「興味ない。だもんなぁ……」
ポツリと洩れた独り言は、オレンジ色の空に吸い込まれて消えていった。