No title

「おれが喋ってるだけで感じてんの、お前」

「ち、ちがっ」

ククッと喉で低く笑いながら宮地さんが耳たぶにやんわりと歯を立てた。尖らせた舌がぞろりと耳の中を舐める。

途端に膝から力が抜けて堪らず扇風機の首にしがみつくような格好になってしまう。それと同時に乳首をギュッと摘まれて電流のような快感が背筋を駆けた。

「んん……っ」

宮地さんは俺の性感帯なんて全部お見通しだ。胸も、耳も首筋も、どこをどう触れば反応するのか全て知り尽くした上で触って来るからタチが悪い。

強く摘まれて尖りだした乳首をぐりぐりと指で潰されて堪らず腰を捩らせた。

「ンっ、……やめっ」

「シッ。声を出したら、中にいる奴に気づかれるぞ?」

「……ッ」

ククっと喉で笑われて息が詰まる。裸に腰タオルを巻いただけじゃ、隠すものが何もない。

胸から下半身へ人差し指がツゥと降りた。薄いタオルの上を長い指先が行ったり来たりを繰り返す。直接触って貰えないもどかしさでおかしくなりそうだ。

自然と腰を手に押し付けるように揺らしてしまう。

どうしよう、俺……。ここは大浴場で、浴室の中には誠凛のメンバーが数人入っている。今は誰もいない脱衣所にも誰かがやってくるかもしれない。

心臓が、痛いくらいに鳴っていた。

「やらしいな。腰が揺れてるぞ」

もうコレが欲しくなったのか? と、尻の割れ目に熱いモノを押し付けられ思わずごくりと喉がなった。

押し付けたまま腰を揺すられてゾクゾクするような甘い痺れが全身を駆ける。

不意に腰巻が外され宮地さんの手が俺のに直接触れた。

「ん、ぁ……っ」

「すっげ、やらしい顔」

興奮気味に囁いたと思ったら顎を掴まれ、俺の首を斜め後ろに傾けさせる。ふっと影がさしたと思ったら開いた口の中に宮地さんの舌が滑り込んできた。

「んっ……ンっ」

口の中で宮地さんの舌が縦横無尽に蠢く。太腿の間に押し付けられた熱いモノが挿入してる時みたいに小刻みなピストンを開始する。

その動きに合わせて下半身を愛撫する手の動きが早まった。

どうしよう……。こんな所誰かに見られたらまずい。それはわかっているのに、宮地さんを拒めない。

それどころか、気持ちいいと感じてしまってる自分がいる。

「ぅあ……は、ん……っ」

じゅるりと唾液を啜る艶かしい音に腰が痺れた。敏感になった乳首を指で押され身体が跳ねる。

「やべ、イきそう……」

俺の背後で、宮地さんがぶるっと小さく身震いを一つ。

「あっ、ちょっ待って宮地さん!」

「んだよ」

「ヤバイって。ドアの向こうに人影が見えます!」

「げ、マジかよ」

こういう時、視野が広いのはいいんだか悪いんだか。

慌てて身体を離したのとほぼ同時、ガラリと開いた扉から現れたのは、我らがキャプテンの大坪さん。そのすぐ後に木村さんも入ってくる。

「なんだ、お前ら先に入ってたのか」

「え、えぇ。まぁ……汗かいたんで」

実は今も違う意味でスゲー汗かいてるけど!

なんて事は言えるわけがない。

下肢に欲求不満を覚えながら、キャプテンたちに悟られないように素早く着替え、脱衣所から抜け出した。


「――は、っぶね〜……」

「宮地さんがいきなりサカるからっすよ!」

「うっせーな! お前がエロい格好で突っ立ってんのが悪いんだよ!」

「んなっ!? お、俺はただ涼んでただけで……」

「服着ろよ先に! つか……、マジ中途半端。やべぇ」

「……」

お互い、変に気まずい。しかも民宿の中じゃ二人になれる場所なんてどうしても限られてくる。

「取り敢えず、部屋行くか」

「そーっすね」

他に行くアテもないので、俺達は仕方なく自分たちに割り当てられた部屋へ向かうことにした。


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