No title
「フン。そこまで言うならやってやらなくもないのだよ。して、そのポッキーゲームとは一体どういうものなのだ?」
「知らないのか!?」
コクリと真ちゃんが頷く。てか! 知らないのに低俗って、なんだよ!
結構有名なゲームだと思ってたから、知らない真ちゃんがスゲーよ。
取り敢えず、口頭で簡単に説明をして箱からポッキーを一本取り出す。
今日は、オーソドックスなチョコレート味だ。
「これの端と端を口に咥えんだぜ? OK?」
「あぁ」
真ちゃんは小さく息を吐くとチョコがついていない方を口に咥える。
じゃぁ俺も。と、口に咥えたまでは良かった。
……うわっ、めっちゃ近っ!
こんな至近距離で真ちゃんと見つめ合うのは、キスの時くらいしかない。
あまりの近さに、ドキンと心臓が大きく跳ねた。
「……どうした?」
「お、おう! なんでもねぇ!」
早く始めろと急かされて、せーので食べ始める。
ゆっくりと互いの端が短くなってゆくにつれて、どんどん近付いて来る真ちゃんの顔!
やっべ、なんかすげードキドキしてきた。
自分で言い出したことだけど、こんなに緊張するなんて思っても見なかった。
息がかかりそうな程近くに感じる真ちゃんの存在に自然と頬が火照り出す。
いっそ視線を逸らしてしまいたい衝動に駆られた。けれどそれは負けを意味する。