No title

「ん〜、すっげ! ナニコレっ! このアイス味が濃くてすげー美味い!」

一口口に含んだ高尾が、感動したように目を輝かせる。

「だろ? ここのアイスは美味いって有名なんだ」

「へぇ、知らんかった。つか、火神ってスイーツ男子かなんか? 甘いもの大好きで美味
しいお店調べあげてます! みたいな?」

「んなわけねぇだろ! たまたまだよ、たまたま。どこをどう見たら俺にんな女々しい趣味があるように見えんだ馬鹿!」

ほんと、コイツと居ると調子狂う。でも、人を楽しませる術を知ってるから一緒にいて苦痛じゃねぇ。

つか、寧ろ楽しい。

「つーか、高尾。おめぇ食い方変じゃね?」

「ん? そぉ?」

青峰の指摘に、俺も思わず高尾の手元を見た。

アイスの先端が太く丸くなっていて、側面とコーンの継ぎ目が細くなっている。

「なんで横から食うんだよ」

食ってると、言うより舐め取ってるって感じか。

「え〜だって、最初に上から食うと下の部分が垂れて来るだろ?」

「溶ける前に食えば問題ねぇだろ!」

「俺は、味わって食いたいの」

言いながら舌で側面を舐める。

そして、なにを思ったか自分のアイスをジッと見つめにんまりと笑った。

「なぁなぁ、これ。チンコの形に似てね?」

「ぶはっ! おまっ、止めろよお前食えなくなるだろうがっ!」

「え〜、フツーに食えばいいだろ?」

盛大に吹き出した俺達を他所に、高尾はそれを躊躇いもなく今度は上から口に含んだ。

先端を唇で咥えチロチロと赤い舌が乳白色のアイスを舐める。

口の端から溶けて来たアイスが垂れて、顎に雫が伝う。

「……っ」

今まで何も感じていなかったのに、つい意識してしまった。

お、おおおお落ち着け俺! 相手は高尾だ。

普通にアイス食ってるだけだろ。

時折見える赤い舌がなんだかとてつもなく卑猥な動きをしているように見えて、頬が引き攣る。

自分の分を食べ終わった高尾が、指についたアイスをペロリと舐めた。

「……食わねぇの?」

ごくりと息を呑んだタイミングで顔を覗き込まれ、更に心臓が大きく跳ねた。


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