No title
高尾の凄さは一緒にプレイして直ぐにわかった。
あいつがスゲーのは秀徳戦の時にわかってたつもりだったけど、同じチームになるとそれがよくわかる。
パスカットの上手さ、的確な中継。どれを取っても文句なし。
しかも、俺と青峰が気持ちよくプレイできるように考えながら的確な所にパスを出してくれる。
青峰も俺と同じ感想を持ったらしく、表情は晴れやかだ。
木吉先輩率いる黄色チームと黒子と黄瀬のいる緑チームを余裕で蹴散らし、続く第三戦は緑間率いる眼鏡さんチーム。
誰が相手でも関係ねぇよ。勝つのは俺たちだぜ。
このチームは3Pシューターが二人もいる。接近戦に持ち込めば余裕!
の、筈だった。
だが――。
「オイコラ高尾! てめぇなんで緑間にパス出すんだよ!!」
「あっ! ワリーワリー。つい条件反射で」
あろうことか、高尾は俺たちじゃなく緑間にパスを出しやがる。
それも一度や二度の話じゃなく、奪ったボールの殆どを奴にだ。
条件反射つっても程度ってもんがあるだろうが!
「あ〜っ! も〜。真ちゃん俺の視界に入ってくんなし! 目に入るとパス出しちゃうだろ!?」
つか、逆ギレかよ!? 確か高尾のホークアイは伊月先輩のアレより視野が広いはずだから、視界に入るなとか無茶じゃね?
この試合、高尾抜きで戦わねぇとダメかもな。
俺と青峰は目配せをして、この試合は二人で点を取りに行くってことで合意した。
まさか、青峰と気持ちを通じ合わせる時がくるなんて思っても見なかったぜ。
でも、ま。負けるのなんてまっぴらゴメンだからな。