No title

そんな緑間の変化を見逃す彼ではなく、すかさず身を乗り出して「どうかしたのか?」と、訊ねてくる。

「な、なんでもないのだよ」

「なんでもないって面じゃねぇだろ」

高尾自身は、キスマークの存在に気が付いていないようだ。不思議そうに緑間を見つめていたが、やがて何かを思いついたように、にんまりと笑った。

「悪い、真ちゃん。気が利かなくて」

「なんのことだ?」

「とぼけんなよ。こんな格好でいるんだから、スることは一つしかないっしょ?」

すすすっと高尾の指が腿を辿り足の付け根に触れる。

「メイドさんつったらやっぱご奉仕、だろ?」

「――んなっ!?」

耳元で甘く囁かれ、緑間はギョッとして目を見開いた。高尾はベッドから降りると足の間に身体を滑り込ませ恭しくベルトを外しにかかる。

「おい、高尾よせっ! オレは別にそんなつもりではないのだよ!」

「テレんなって。今更だろ? 案外いつもと違うシチュエーションで燃えるかもな」

慌てふためく緑間の静止を無視して、ズボンと下着を僅かにずらし自身を取り出すとまだずっしりと重たいそれを躊躇いもなく口に含んだ。

「……くっ!」

膝頭を両手で固定され、熱い舌が陰茎に絡みつく。

ちゅぷ、と音が立って、熱いぬめりが快感を伴ってまとわりつくのがわかった。

温かくてぬるりとした口内に吸い込まれ、緑間は首を仰け反らせた。

「ん、高尾……よせ……」

軽く髪を引くと、高尾は顔を上げた。唾液でベトベトになった顎から溢れ出した雫がぽたぽたと真新しいメイド服にシミを作ってゆく。

生理的に潤んだ熱っぽい視線に煽られて、緑間の喉がごくりと鳴った。

「ひんひゃん……ひもひひょくあい?」

「咥えながら話すな。何を言っているのかさっぱりわからん!」

「あはは、わりーわりー。真ちゃん、気持ちよくないのかなと思ってさ」

「――っ」

いたずらっぽい声で言われ、緑間はたじろいだ。自分の感情を素直に言葉で表せる彼は器用に出来ていない。

眼鏡を押上げ、視線を外す。股の間で高尾がクスッと笑ったような気がした。

「気持ち良くない筈ねぇよな? 勃ってきてるし」

「五月蝿い黙れ」

「素直じゃねぇな。いつもより反応早えぇし、この格好に興奮してんだろ」

先端を唇に吸われ、びくりと自身が震える。そのまままた嬉しそうに緑間の分身を舌と唇で愛撫し始める。

「……っ、ふ……」


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