No title

自分が着るのは嫌だが、セーラー服を着た高尾を隣に置いておくのも悪くないかもしれない。

「高尾。お前には確か妹がいると言っていたな?」

「え? いるけど、それがどうしたんだよ」

唐突な質問に、それまで笑っていた高尾が眉を顰める。

「……妙案が浮かんだのだよ」

「妙案? 何それ? やっぱセーラー服着る気になったん?」

高尾は高尾で、緑間がセーラー服を着ている所を想像し、再びプッと噴き出した。

「着るのはオレじゃない」

「は? 何それ。もしかしてセーラー服着た女の子を誘拐とかする気じゃ……」

「なぜそうなる!? だからお前は馬鹿だと言うんだ」

眼鏡を押し上げ、フンッと鼻で笑う。

「いやいや、わかんねぇし。馬鹿でも何でもいいからさ、その妙案というヤツを教えてよ」

興味津々と言った風に顔を覗き込まれ、緑間は小さく息を吐く。

「簡単な話だ。お前が着ればいいのだよ。それですべては解決する」

「はぁあああ!? 意味わかんねぇって。なんでそうなるんだよ。つか、なんも解決してねぇしっ!」

「俺よりお前の方が似合うからに決まっているだろう」

「似合うわけねぇだろ!!」

シレッととんでもない事を言い出した緑間にツッコミを入れる。たまに真ちゃんてバカだよなぁ。と高尾はつくづく思った。

頭がいいんだか悪いんだか。馬鹿となんとかは紙一重だと言うし。

どうやら、彼の辞書には「諦める」と言う選択肢はないらしい。

「大体、なんで俺なんだよ。別に他の奴でもいいんじゃねぇの?」

それこそ、セーラー服を着た娘に一日傍に居てもらうとかでもいいような気もする。

まぁ、緑間の威圧感で逃げ出してしまう可能性が高いが。

「却下だ。オレはオレが認めた奴以外を側に置くつもりはない」

「なぁ、真ちゃんそれって……俺は特別って事、だよな?」

「……っ」

高尾の問いに緑間は一瞬、ハッとしたような表情をして目を丸くする。そして、何かを誤魔化すように手元のボールを見つめた。

「バカな事を言うな高尾。単純にお前がいつも横に居るから言ってみただけなのだよ」

「たくっ、テレんなよ」

「照れてなどいない!」

「……ふぅん」

でも、邪魔だと言わないのは、認めてくれるからだろ? 喉元まで出かかった言葉を呑み込んで、再びシュート練習を始めた緑間を眺める。

(でも、セーラー服は流石に着ないけどな!)

もし本当にラッキーアイテムがセーラー服だったら?

その時は、その時考えればいっか。頭の後ろで手を組んで高尾は静かに息を吐いた。


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