No title
緑間家のキッチンはそこそこ広い。何度も遊びに来ている為、彼の母から自由に使ってもいいからねと許可を貰っている高尾は、人数分の飲み物を用意しているところだった。
「何か手伝える事はあるか?」
食器棚からグラスを取り出している高尾の後ろから腰に腕を回して抱きしめ、肩に顎を置く。
「え? いいって。真ちゃんは何も心配しなくて。つーか、くすぐったいから離れろよ」
高尾は苦笑して、一旦手を止めはにかんだように笑った。
「……友達、部屋に置いてきちゃダメっしょ」
「アイツ等はいつもああなのだよ。気にするな」
「え〜、何だよそれ」
クスクスと笑いながら、手馴れた手つきでおもてなしの準備をする高尾の耳に軽く口づける。
「真ちゃん、ちょいくっつき過ぎ。みんなに見られたらどう言い訳するつもりだよ」
「その時はその時だ」
しれっと言いながらシャツの中に手を差し込んでそっと撫でると、高尾の身体がピクっと跳ねた。
「……っ、何言ってんだよ真ちゃん、ダメだって」
「……高尾」
「チューはしないかんな! ダチが来てるんだろう?」
困惑して視線を彷徨わせる高尾が可愛くて、おもむろに顎を掬って口付ける。
「んっ、真ちゃ……ダメ……っ」
身を捩って逃げ出そうとする。なんで嫌がるんだ? と、緑間の眉間にシワが寄った。
「と、友達に見られたらヤバイって」
「大丈夫だ、アイツ等は部屋にいるのだから」
「全然大丈夫じゃないっしょ! 真ちゃん、さっきから俺のケツにすげー硬いのが当たってんだよね」
こんな時になにを考えてんだよ〜と、言いながら真っ赤になって狼狽える。
「お前が可愛すぎるのがいけないのだよ」
「お、俺のせい!?」
「あぁ、全部……お前のせいだ」
「ちょ、真……っ」
言い終わる前に唇を塞いだ。割開いた口腔内に舌を差込み内部を犯してやると、鼻から抜けるような甘い吐息が高尾の口から洩れる。
胸の尖りを指でこねながらキスを続けていくと、高尾の体から徐々に力が抜けていく。
膝がガクガクと震えて立っていられないのか、しがみつくような仕草が可愛くて仕方がない。
もう緑間の目には高尾の姿しか映っておらず、三人が遊びに来ていることなどすっかりと頭の中から抜け落ちてしまっていた。