「更衣室はこっちだよ、吾郎君」

「待てよ寿! 何もそんな急がなくても」

薄暗い廊下を寿也はずんずん進んでいく。

いくら早く戻って来いと言われたからって急ぎ過ぎじゃないのかと文句を言おうとしたら、寿也が突然ピタリと足を止めたので危うく彼の背中にぶつかりそうになってしまった。

「おい、寿! 急に止まるんじゃねぇ」

「ごめん。それより、着いたよ」

スッと開かれたドア。中はいたって普通の更衣室だが、今ここにある荷物は全て超一流プレイヤーたちのモノだと思うと気持ちが引きしまる思いがする。

「吾郎君のロッカーはここ。入らない分は僕の所に置いていいから」

「サンキュ。寿」

礼を言って早速指定された場所に荷物を置き、早速吾郎は上着を脱ぎ始めた。

その背中にドキドキしてしまい寿也は慌てて視線を逸らす。

約三カ月ぶりに会えたのが嬉しくて、顔の筋肉が緩みっぱなしだ。深呼吸で落ち着かせていなければ気持ちが舞いあがってしまいそうになる。

これからしばらくは毎日吾郎と一緒だ。しかも自然な形で側にいる事が出来る。
それが何よりも嬉しい。

「にしても、驚いたぜ。お前が日本代表になってたとは」

「僕だけじゃない。薬師寺もだよ」

「は? マジで?」

意外な一言に、吾郎は素っ頓狂な声を上げ上半身裸のまま寿也の方を振り向いた。

「本当だって。君が行ってしまった後、僕らで必死に練習したんだから」

「へぇ。そっか……アイツが」

信じられねぇ。そう呟きながら腰を屈めアンダーシャツを探す姿に思わず喉が鳴った。

早く服を着てくれればいいのに。この三カ月間、ただでさえ吾郎が足りなくて我慢してきたのに目の前で堂々と服を脱がれたら抑えが利かなくなってしまう。

と、言うよりハッキリ言って目の毒だ。

今直ぐにでも押し倒して本能のまま吾郎を啼かせてやりたい衝動に駆られたが、代表のロッカールームでコトに及ぶのは流石にまずい。

英毅にも早く戻って来いと釘を刺されてしまったから急いで戻らないと怪しまれてしまうかもしれない。

「僕、先に行くから」

これ以上一緒に居たら自分を抑えきれなくなってしまうような気がして寿也は慌てて立ち上がった。

「なんだよ、急に。直ぐ着替えるからもうちょっと待てって」

「――っ」

ズボンを脱ぎ、いそいそと着替える吾郎。

(こう言う時、君の鈍感さがつくづく嫌になるよ……)

黒いスライディングパンツについ目が行ってしまいゴクリと喉が鳴った。

「……吾郎君」

アンダーシャツに手を掛けた所で、突然後ろから寿也が抱きついて来たので吾郎は驚いて目を見開いた。

「ごめん。茂野コーチは早く戻って来いって言ってたけど……僕、もう我慢出来そうにない」

言いながら服の中に手が侵入してくる。首筋に舌を這わせながら弱い胸元を指で摘ままれ反射的に身体が震えた。

「と、寿、待て……っ」

「待てないよ。ずっと我慢して来たんだ。……今直ぐに君が抱きたい」

ズボン越しにでもはっきりと判るほど熱を持った寿の自身を尻に押しつけて、煽るように腰を揺らし始める寿也。

「ちょっ、なに興奮してんだよっ」

「吾郎君は? 僕としたくない?」

「こんな状態でそれを聞くのか? 相変わらず性格悪いな寿也は」

どうせ、嫌だつっても犯るつもりだろ。と苦笑交じりに訊ねれば、返事の代わりに備え付けのベンチへと押し倒された。


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