絆される瞳
深夜、中の違和感を覚えて俺は目が覚めた。
寒くもなく暑くもなく、特にかわったことはなく隣にはリボーンが寝ている。
けれど、俺の身体の中は明らかな違和感を持っていたのだ。
「中…だしたまま」
ぎゅっとシーツを握り小さく溢した。
下手に力を抜けば零れてしまいそうで、というかさっき感じた違和感はきっと零れたせいだ。
いつもはリボーンが後始末をしておいてくれたり、自分でやったりするのだが…今日はどうしたんだったかと記憶をたどる。
上手く思い出せなくて、気絶したことだけは覚えていたようで記憶がよみがえってくる。
そのまま寝てしまったのか…。
出すのは良いけれど、後始末はしっかりしてほしいものだ。
と言うか、今日やる前出さないでって言ったのに…。
記憶をたどれば芋づる式にするすると蘇る記憶。
それと同じようにふつふつと沸くのはちょっとした怒り。
自分は暢気に寝ちゃったりしてさ…俺ばっかり、しなきゃいけないのに。
俺はリボーンに手を伸ばして頬を引っ張った。
寝起きで少しイラついていたのもある。
「なんだ…まだこんな時間じゃねぇか」
「中気持ち悪いんだけど…」
「お前が出してもいいって言ったんだぞ?」
「言ってないよ、俺最初に中出しは嫌だって言った」
何を言い出すんだと首を振るのに、言ったとリボーンは意見を曲げない。
だって、明日は仕事あるし出されたら色々面倒で、だから嫌だって思ったんだ。
自分が嫌だって言ったことを曲げたりしない…と俺はその時思っていた。
「だから、ツナが良いって言ったから出したんだ。それに、俺だって疲れたし、出すのは朝でいいって言ったのも忘れたのか」
「言ってない、俺の記憶にない」
「俺の記憶にはある。とりあえず、寝かせろ」
俺はまだ眠い。
そういってリボーンは俺に背中を向けてしまう。
このまま寝ようにも一度頭が覚醒してしまって、下が色々と不安だ。
もういいよ、と呟いて俺はバスルームへとふらふらしながら入りこんだ。
シャワーを出しながら俺は自分で中のものを掻きだす。
自分で指をいれて、零れるものをシャワーで流していく。
これは、リボーンの種。俺が女だったら、なんて散々考えた。
けれど、でも…これは変えられない事実で…まず、俺が女だったらリボーンの目にもとまらないかもしれない。
出逢う機会なんてものもなかったと思う。
だったら、これでいい…何も生まなかったとしても、それでも。
「って、何考えてるんだよ」
自分で声に出してその考えを消す。
大体、こんなこと考えたって栓なきこと無駄だとわかっていても考えてしまうのはしかたないが、今この満たされた状況でそんなこを考えること自体、リボーンに失礼だ。
中を綺麗にするとシャワーを浴びて、きゅっとお湯を止める。
そしたら、昨日のことが頭に蘇ってくる。
そう、それは情事のことだった。
あまりにも感じさせる行為で、中出しを止めろと言ったのでリボーンはゴムをつけていた。
けれど、俺がやっぱり出してって言ったんだ。
わけわかんなくさせたリボーンも大概だとは思うけど、感じすぎて中に出される快感を知ってしまったこの身体はためらうリボーンを誘った。
「……あー」
生々しいほどの情事を思い出して、恥ずかしくなる。
ついでに、昨日どんな風にして誘ったのかも事細かに思い出してしまった。
さっき思い出そうとしていた時はこんなことちっとも思い出さなかったのに…。
身体が作り変えられている、けれど…嫌じゃない。
自分の身体がリボーン好みになれるのなら…そう思うと、この身体が誇らしくもある。
バスタオルで水滴を拭くと、すぐバスローブを身にまとう。
そうして、ベッドへと戻ったのだがリボーンは起きているようだ。
「あれ?寝たんじゃなかったの?」
「気になるだろうが」
「別に怒ってないよ」
むすっとした声で言われた言葉に苦笑を浮かべた。
怒ってると思ってでてくるまで待っていたというのだろうか。
そう思うと、リボーンも変わったなと思う。
何と言うか…かっこいいというのは今でも変わらないが、可愛くもなったかもしれない。
これは口に出して言えることではないが…。
俺はリボーンの腕の中へと戻った。
暖かく包まれて、擦りよれば優しく頭を撫でられた。
なんとなく、ご機嫌をとられているんだろうなぁというのを感じてしまう。
「あのさ…」
「なんだ?」
さっき思い出したことを言わなければならない。
だって、リボーンが悪いみたいに言ってしまった。
あれは、忘れていた俺が悪いんだから。
「ごめんね?」
「どうした、いきなり」
「中に出してって言ったの、覚えてた」
本当は言わされた、が正しいのだが、そこは目を瞑るとしよう。
喧嘩したいわけじゃないのだ。
上目づかいでリボーンを見つめるとちゅっとキスをされる。
優しいキスだ。
普通だと嫌味の一つでもくるのだが、リボーンがこれに弱いことを知っている。
なんか、これするとすごく機嫌よくなるんだよなぁ。
俺がこれに気づいているのを知っているのかはわからないが、困った時や明らかに怒られる状況でこれを使うと優しくなるのだ。
くすくすと笑ってぎゅっと抱きつく腕に力を込める。
「リボーンって、やっぱりリボーンだよね」
「なんだそりゃ」
「うん、そのままの意味だよ」
ちゅっともう一回キスをされて、もっとと強請る。
こうして没頭してしまうのは悪い癖なのに、直せないのだ。
それはお互いに溺れているからかもしれない。
こうして二人でいる間は、二人だけだから。
「ねぇ、明日は少し寝坊してもいいかな?」
「あまり遅くなるなよ」
そう言いながらリボーンだって手を止めない。
もう夜が明ける。
ダメだなぁ…ボスとして、なんて建前でリボーンといれる未来を想像している。
「俺ってボス失格だよなぁ」
「何言ってんだ、ボスなんてまだ言える立場かよ」
「へ?だって、とりあえずは継承したし…」
「まだまだ未熟だって言ってんだよ」
これぐらいで一人前になれたと思ったら大間違いだと笑われて、それでも触れてくる指は優しいものだ。
それなら、まだリボーンは俺の傍にいて俺のことをずっと見ていてくれるのかな…と思う。
というか、そうしてくれないと俺はなにか間違えてしまいそうで怖い。
どこか、道を間違ってしまいそうで。
「うん…近くにいてね」
上目づかいでリボーンを見つめたら、優しく微笑む。
「ったく、仕方ない奴だな。そんなことしなくても、近くにいてやる」
なんど確認すれば気が済むんだと呆れたように呟いて、目をそっと掌で覆われた。
その仕草に気づいていたのかと笑って、甘く口を塞ぐそれに愛しさを覚える。
「お前だけだ、こんな風になるのは」
「うん、俺だけにして」
リボーンの弱みは俺が知っていればいい。
俺だけのものであってほしい。
END
あみ様へ
ツナの上目遣いには勝てないリボーン、でした。
俺様でかっこいいリボーンはいなくなってしまってすみません、考えていたら甘いものしかかけなくなってしまいました(苦笑)
もうちょっと違うものが読みたいと思いましたら、遠慮なくどうぞ。
あみさまのすすめてくれた本も読んでみますね、すごく楽しそうです。ぐりとぐらは懐かしいです、私も小さい頃は絵本をたくさん読みましたよ。
というか、読み聞かせてもらっていたと言った方が早いですが←
応援ありがとうございますっ、これからもどうぞよろしくお願いしますねっ。
素敵なリクエスト有難うございましたっ。