近くにいることの不安

恭弥に会いに日本へとやってきた。
けれど、突然の呼びだしだった。もう俺の専属ではなくなった、リボーンからの連絡だった。
仕方なく恭弥を学校で待たせつつ、ツナの家に向かった。

「つっても、待たせてるわけじゃなく…アイツは学校が家みたいなもんだからなぁ」

ホテルに行こうと言わない限りあそこをでようともしないんだ、と思い通りにならない恋人に一人ため息を吐いた。
ツナの家に着けば、高校生になったツナはまだ帰ってきていないらしく奈々さんに挨拶をして二階へと上がっていく。

「来たぜ?お前が呼びだしなんて珍しいからな」
「いつもなにかと理由つけてこっちきてんだろ、ちょっとぐらい時間わけろ」
「リボーンの言うことは断れないようにできてっからな」

昔の擦り込みだなと笑って言うがリボーンの顔色は浮かない。
これは本格的に何かあったのかもしれない。
俺は首を傾げながらもツナのベッドへと座った。

「で、今日は何の用なんだ?」
「お前に頼るのはすごく不本意だ、俺様がこんなこというのは金輪際お前だけだからな」
「なんだよ、そこまで危ない内容なのか?」

真剣な表情のリボーンに俺は息をのんだ。
そんなにも言うってことは口外ももってのほかなのだろう。
リボーンは小さい身体でベッドに降りてくると俺を見上げた。

「ツナと付き合うことになったんだが、どうすればいいのか…教えてくれ」
「……はぁ?」

俺は自分の耳を疑った、俺の師匠でもある男が、しかも優秀なヒットマンが…むしろ、愛人なんてはべらせるぐらいにいるこいつが、そんなことを聞いてくるなんて。
拍子抜けというか、驚きすぎて反応が鈍くなった。
もう一度聞き直したら今度は叩かれるんだろうな。
どうすればいいのだろうか、まずはおめでとうから?
っていうか、どうすればいいって…なにが?

「あ、そうか…まずはおめでとう」
「ああ」
「で、どうすればいいってのは…具体的にはどういうことなんだ?」

そうして話を聞いてみたのだが、まず手を出してもいいのかわからない、キスはたまにする程度で、ツナが恥ずかしがってそれ以上は躊躇われる。

「っていうか、リボーンって性欲あったんだな…あだっ」
「殴って良いか」
「殴ってからいうなよ」

叩かれた後頭部を押さえながら言い過ぎたことを後悔した。
とりあえず、本気だってことか。
まぁ、次期ボスになる男に告白など、まかり間違ってもしないことは明白。
リボーンが遊びでないことなんて、こんなあいつらしくない言葉を聞けば尤もだ。

「そんなに大切にしたいなら、それでいいだろ。急ぐ必要はねぇと思うぜ?」

つきあったということはツナもこういうことになることは想定しているはずだ。
恭弥のようにひねくれまくってる性格でもないし、放っておいたら我慢できなくなるだろう。
高校生だ、恋人がいて性欲を我慢するなんてそんなのは無駄な抵抗だろう。

「ただ、ツナの発してる想いには気づいてやれよ。お前ならできるだろ」
「わからねぇな、俺が俺じゃなくなってんのがわかるんだ」
「何弱気になってんだよ、ツナを自分のものにしたんだろ?責任持って愛してやれよ」
「お前、ホント生意気になったな」
「史上最強のヒットマンに鍛えられたからな」

話はもう良いかと聞いたらさっさと雲雀のところに行きやがれと追い出された。
あの様子なら心配はない。
多分、このすれ違いは戸惑っているだけだ。
長くいればいるほど、相手との距離の取り方がわからなくなるのだ。
こればっかりは、時間と本人たちの心の問題だろう。




「お願いしますっ」
「ツナがお願いなんてめずらしいわね」
「リボーンのことについて、なんだけど」

俺はビアンキと一緒に買い物に出かけて小さなカフェに入った。
なけなしのお金でビアンキに珈琲を驕る。
それも、俺はリボーンについて聞きたいことがあったから。

「なぁに?あの人のことに関してはプロフェッショナルだから」
「えっと…その、リボーンとシたことある?」
「………は?」

すごく恥ずかしかった。
こんなこと、誰にも聞けない。
でも、ビアンキが一番知ってる…リボーンのこと。

「ツナ…それはどういうこと?」
「…付き合うことに、なりまして…どうしたらいいのか、わからないから…」

とても言いにくい。
ビアンキはリボーンのことが好きだったし、時間が経っているとはいえこんなこと聞くなんて…。
でも、俺はリボーンの恋人になって、迷って…それでも、どうにかなりたいと思っているんだ。
まっすぐにビアンキを見つめた。
暫く俺を見ていたが、一つため息をついて、苦笑された。

「しかたないわね…あの人はね…」

何かを諦めたような顔で、ビアンキは話を聞かせてくれた。
恋愛とか心構えとか、俺はあいつとこれからずっと一緒にいれるだろうか。
不安なんか心に抱えきれないぐらいたくさんあるけれど、最後にがんばってねと頭を撫でられた瞬間にゆっくりと和らいだ気がした。




「ツナ、しっかりやるのよ」
「いや、今すぐに何かあるってわけじゃないんだけど」
「大丈夫、私ちょっと用事があるから出かけてくるわね、ママンも今日は遅くなるそうよ」
「何言っちゃってんのっ!?」

家に着くころ、ビアンキはそう言って来た道を引き返していった。
俺が引き留めるのに構わずいってしまうのを見れば少し恥ずかしくて帰るのをためらった。
けれど、あんまり遅いとリボーンに不審がられる。
しかたないと俺は腹をくくって部屋に戻った。

「ただいま…」
「ああ、遅かったな」
「ん…ああ、なんかビアンキが用事があるとかではぐれちゃって…先に帰って来ちゃった」

さりげなく言い訳をするとリボーンの座ってるベッドの隣へと腰掛けた。
どうすればいいんだろう…結局肝心なことを聞き忘れたと途方に暮れているとリボーンは立ちあがって俺の肩へと手を置いた。
なんだろうとみているとじっと俺を見てくる。

「どうか、したのか?」
「お前はどうしたい?」

リボーンの言葉に俺の心臓が痛んだ。
どうしたいなんて、聞くまでもないだろ。
恋人で、本当なら心まで許されていいはずの関係。
近づいたと思ったのに、離れている気がするのは俺だけじゃないだろう。
でも、近づいて…触れ合って…戻れなくなる瞬間もお互い怖がっているんだ。

「俺は…リボーンが、好きだよ」
「……」
「ちゃんと、好きだよ…気の迷い…とか、じゃないから…」

リボーンに欲しがられたいと思うのはやっぱり変なんだろうか。
こんな赤ん坊にって思うだろうか…。
好きになってしまったら、しかたないだろ。
自制も、なにも…相手も同じ気持ちだったら…尚更…。

「だから、どうにか…して」

恥ずかしくて、泣きそうになってビアンキに言われた誘い文句を口にした。
もう、こんなこと言ってリボーンがのってくるわけないじゃないかっ。
何人もの愛人がいて、手慣れているのに…こんなちゃちな誘い文句で誘えたら苦労しない。
そう思っていたのに、俺はリボーンの強い力にだらっとしていた身体は簡単に傾いだ。
ベッドに倒れた。
そして、俺の身体に乗ってきたのはリボーンだ。
えっ!?えっ!?と目を回している隙に服をたくしあげられて乳首を舐められた。
柔らかいそれにくすぐったくて身体を震わせる。

「りぼーん…ごめ、がまん…できなっ」
「ったく、こっちはあとでじっくり開発してやるぞ」

笑いだしそうになっていればリボーンは呆れてため息を吐きながら手を下肢へと滑らせてきた。
ベルトを緩め、ジッパーが下げられる。
何をされるんだろうとちらりと見れば、その小さい手で俺の自身を扱きそのあと顔を近づけた行動に俺はリボーンの口を掌で塞いだ。

「それはダメだっ、本気で…本当に、まじだから…やめて、なんか視覚的にっ」
「へたれてんじゃねぇぞ」
「いやいやいやいや、そうじゃないっ…そうじゃないぃっ」

リボーンはそれでも顔を近づけるのを止めない。
浅ましくも自身は勃ちあがって主張しているし。
泣きそうになりながら嫌を繰り返したのだが、リボーンは俺の手の甲を抓ってきて思わず手から力が抜けた。

「やだやだやあぁあぁぅ、はっ…やめっ…りぼーん」

嫌がったのに俺の自身を根元まで咥えたリボーンは口を使って扱いてくる。
初めて味あわされる快感に俺の頭はショートしそうな位に混乱していた、
じゅるっと水音が聞こえてすすられている。
舌を絡めて、根元からねっとりと舐めあげられてここ最近全く自慰をしていなかったためすぐに限界が来た。

「もっ、だめ…はなして、りぼーん…はなしてぇ…やぅっ」

あろうことか、あらぬところまで変な感覚を覚えてしまえば腰を振った。
自身より奥まった場所を指でつつかれているということに気づくが、どう回避していいかわからない。
俺が逃げるだけで自身を吸い上げる音は酷くなるし大人しくなれば中に指が入り込んでくる。
恥ずかしい…のに、止まらない。

「はっ、はっ…イく、イくぅっ…」
「いけ、ツナ」

一度口を離したかと思ったのに、また咥えられて一気に吸われたら一瞬意識が遠のいた。
けれど、すぐに戻ってきて心臓がうるさい。
ばくばくと脈打って全身から力が抜けた。
自身を舐められて離された時には俺は指一本動かせなかった。
久しぶりの放埓と、精神的ショックだ。

「なに、これ…もう、濃いよ…」
「嫌だったか?」
「お前に…こんなこと、するのが嫌だ」

白い物を拭いながら顔をあげたリボーンの頬を撫でる。
大切にしたいのに、身体の違いなんて…どうにかなればいいと思うのに…。

「俺だって、好きなんだぞ…俺の気持ちもちゃんと汲みやがれ」
「リボーン…」
「自分ばかりって思ってんじゃねぇぞ、ふざけんな…俺はな、お前の全部を貰うつもりだからな…覚悟しろ」

リボーンの怒ったような声と、主張に俺は次の言葉が紡げなかった。
真剣なのはリボーンもかわらないんだとわかったら、なんだか安心して両手を差し出した。
わからないこともたくさんあるし、わかってるようで、なにもわかってなかったりするけれど…俺は、こいつと一緒にいたい。

「いっしょにいたいよ」
「当たり前だ」

近くにいるんだからなと、リボーンは俺に抱きついてきてキスをする。
こうやって気持ち良くなるのもお前だけだって、俺は知ってる。
不安を少しつ取り払って、時間をかけて…好きを伝えられたらいい。




END
高田さまへ
本編でのリボツナ、付き合いが始まったばかりでディーノとビアンキにご教授願う。
とのリクエストでしたが、こんな感じでいかがでしょうか。
ツナは間をとって高校生に(笑)
裏をどうしようか迷って、こうなりましたが、不満でしたら書き直させてもらいますので遠慮なくどうぞ。
改めまして、リクエスト有難うございましたっ。




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