見たことのないあなた
薄暗い廊下。
研究室があるところは地下にあるため、いつもそこは湿気が多くてなんとなく陰気臭い。
そして、歩いた俺が辿りついた場所はあまり来ない場所。
コンコン、とノックの後に返事を聞くことなく中に入った。
この部屋の主は返事をすることもないからそれで十分だ。
「何の用だね、沢田綱吉。君がここまでくるのは珍しいじゃないか」
「ヴェルデ、頼みがあるんだ」
俺の言葉にヴェルデは首を傾げた。
確かに俺は何かがない限りここに足を運ぶことがない。
それはある意味、この研究室を預けたということでお互い折り合いをつけているから良いことでもあるんじゃないだろうか。
「まぁ、ボスたっての頼みだ。私には応える義務がある」
「ありがとう…あの、リボーンに効く媚薬を」
「…は?」
「お願いだ、シャマルはあんな奴に効くものなんてないって言うし、ヴェルデなら用意できると思ったんだ」
俺は必死で頭を下げた。
リボーンに抱かれる生活をしていて、時々言われるのだ。
お前は忍耐力がないな、と。
リボーンを抱くことなんてできないし、なら強制的にリボーンを疲れるまでヤれればいいんだと気づいた。
そんな時、俺の頭を過ったのは媚薬だ。
媚薬ならリボーンの理性を失くすことができるし、今までに見たことのない恋人の姿が見れるかもしれない。
そう思ったら俺に止まると言う考えはなかった。
「ないわけでは、ない」
「本当!?」
「…これだ」
ヴェルデが近くの薬棚からとりだした小瓶を渡される。
俺はそれをまじまじと観察してみつめた。
「だが、それは強力な媚薬だ。使う説明をするから…」
「ありがとうっ、ヴェルデ。さっそくリボーンに使う」
俺はヴェルデの説明を聞く前に部屋のドアに手をかけていた。
背中からおい、と声をかけられた気がしないでもないがその時の俺はそんなこと構っていられるほど余裕はなかった。
早くリボーンに媚薬を使ってやりたくて俺はうきうきと胸を躍らせていた。
「原液は危険だから薄めて使うように、と言いたかったのだが…リボーンなら、心配はないだろう」
ヴェルデの呟きはもう俺の耳に入ることはなく、リボーンの待つ部屋へと急いだ。
「ねぇ、リボーン…これ飲んで」
「何言ってやがる」
「いつも俺ばっかり好き勝手やるんだから、たまには良いだろ?」
部屋に入るなり、ヴェルデから貰った小瓶をリボーンに見せた。
内緒でリボーンに服用させることは不可能に近い。
ならば、もういっそ言ってしまえば良い。
下手に隠すだけ無駄に終わると言うもの。
「大丈夫、ヴェルデの薬だから何かあったら、ヴェルデに言えばいい」
「お前なぁ」
「ね?いいだろ?」
期待の眼差しを向けると無言のまま何かを考えるように俯いた。
ヴェルデというだけで警戒しているのかもしれない。
でも、多分安全だ。
……多分だけど。
「わかった、仕方ねぇな…今日は大人しくしたがってやる」
リボーンはなにか諦めたようなため息とともに、小鬢の蓋を開けた。
そうして、口をつけると中の液体を一気に飲み干した。
その飲みっぷりを見て俺はほぉーっと感心したように見つめていたのだけれど、ここで初めてヴェルデに何も聞いてなかったことを思い出した。
そもそもそのまま飲んでよいものなのかもわからない。
俺は少しリボーンから目を逸らすが、小瓶をテーブルに置いたリボーンは寝室へと向かった。
「あれ?もうするの?」
「薬効いてきたら歩くのもできなくなるかもしれないだろ」
「ああ…そうか」
俺だと、リボーンは運べない。
納得すると俺はリボーンを追って寝室へ入った。
仕事について今日はないし、休みのときは緊急のことがない限り干渉しないでくれと言ってあるから、大丈夫だろう。
リボーンがベッドに座るのを見ると俺はネクタイを解いてやる。
「なんだ、今日は積極的なんだな」
「うん、理性を失くしたリボーンってすごく見てみたい」
「後悔しても知らねぇぞ」
「大丈夫だよ、リボーンは絶対俺を傷つけない」
チュッと音を立ててキスをしてリボーンを見つめた。
覗き込んだ瞳の先にはもう、やらしい光を見つけてしまって、つい俺の身体が反応する。
上着を脱がしてシャツの上から胸を優しく撫でる。
するとリボーンの口から小さな声が上がった。
「もう効いてきた?」
「みたいだな、っ…んだこれ、つな…しっかりヴェルデに聞いてきたんだろうな?」
「え?あー…うーん、と…渡されて持って来ちゃっただけ…いってぇ!!」
リボーンにいかにも図星をつかれてしまえば、隠すこともできずに大人しく白状したら問答無用で殴られた。
痛い、本当に痛い。一瞬星が散ったほどだ。
「なにすんだよっ」
「アイツの、薬はな…くっ、やべぇのが、あるんだ…しっかり聞いてこねぇと、大変なことになる」
「え…」
「ったく、強く言わなかったって…ことは、そんなに危険なものじゃないみたいだが…これは異常だ」
言っている傍からリボーンの息が上がっていく。
身体を震わせて、瞳は上気したように潤み、言葉もとぎれとぎれ。
そのうち、暑いと言って自分から脱ぎ出した。
「大丈夫なの?」
「心配なら、今日はとことん付き合ってもらいからな」
いきなりリボーンは俺の胸倉を掴むと深く口付けてきた。
舌を絡められるが、その舌がすごく熱い。
腕も、身体も熱くなっていて俺の望んだとおりの状態になっているのだとわかったらなんだか嬉しかった
「んんっ…ふぅ、わかったよ…リボーンが、出しきるまで…付き合う」
「はっ…くそっ、まじで言うこときかねぇ」
俺を押し倒して服を脱がしてこようとするが、手に力が入り過ぎるのだろう。
震えてしまうのを掴んで止めさせ、俺が自分で脱ぐ。
キスして、とまた唇を差し出せば、痛いぐらい吸い上げられて甘噛みされた。
それにも感じて俺は服を脱ぐなりリボーンの方にも手を伸ばした。
シャツは脱いでいるから、ズボンを、と手を伸ばしたらそこはもう硬くなっていて俺はつい、手を離してしまう。
「なんだ、怖気づいたか?」
「ちが、できるよっ」
まだ余裕の残る声で挑発されて、俺は自棄でベルトを抜き取り脱がせた。
しかも、もうそこは濡れていた。
テラテラと光っていて俺は、知らずゴクリと喉が鳴る。
「欲しいのか?」
「ん、どっちにしろ…こんなの、最初から入らないよ」
「なら、舐めろ俺も舐めてやる」
耳に吹き込まれた淫らな誘いに頷いて、寝転がったリボーンの顔を跨ぎ俺は自身に手を触れた。
途端にビクリと脈打ちますます硬くなる。
感じてるんだと思えば自然と呼吸が乱れた。
リボーンのだ、こんなに大きいの…あまり見たことないから…新鮮。
少し扱いただけで後ろから漏れそうになる声を抑える音が聞こえた。
俺はニヤリと笑って、そのまま扱き続ける。
「てめっ…」
「んっ、いいじゃん…イってよ…顔、かけてもいーよ」
余裕のない声、ああもう…もっと乱れてほしいな。
誘うように腰を振れば掴まれて秘部へと口が付けられる。
そこに感じた舌の感触に背筋が甘くしびれる。
腰が落ちそうになって必死にそれをこらえながら手の中のモノを扱き続けた。
感じるたびそこに熱い吐息をかけられて、こちらも息が上がる。
そのうち小さく息をつめて吐き出された白濁は、勢いよく俺の顔を汚した。
熱い飛沫を顔に受けてそれを指先で拭って、口に含む。
「あっ、なめる…ね…」
青臭くてとても口にふくめたものじゃないのに、それを舐めて俺は感じていた。
小さく呟くと俺はまだ萎えてもいないそこに口をつける。
チュッチュッとキスをして、雁の部分に舌を這わせた。
途端に反応を示す、敏感な部分がますます敏感になっていると知って尿道へと舌を捻じ込むように強く押しつけた。
「はっ、く…つな…ふぅっ」
「んぅ…んんっ…むぅ…」
後ろを舐めていた顔を離して咎める声が聞こえるが無視だ。
こんなにも敏感なリボーンなんかみたことない。
ああ、早く欲しい…これ、欲しい…
愛しいと舐めていると再び後ろに刺激を感じて、舌と今度は指まで入ってきた。
中を好き勝手に擦って、前立腺も引っ掻かれる。
その度、俺も口を離して身悶えた。
自身からは先走りが溢れてリボーンの胸を濡らしていく。
「んーっ…ふぁぁぅ、んんっ…」
意地でも離すまいと自身を吸いあげればまたリボーンは放った。
口の中へ入ってきたものを抵抗もなく飲み干す。
そして、俺は身体を起こした。
もう、我慢できない。
「ほしい、中…これ、ほしい」
「っ、自分で…はっ…いれるか?」
「ん…いれる」
身体を向かい合うようにするとリボーンの胸に手をついた。
見せつけるように足は開いたままで、秘部へ自身を宛がう。
お互い息は乱れて、今か今かと繋がる瞬間を待っているのがわかる。
俺はそっと腰を下ろした。
けれど、リボーンの手が俺の腰を掴んだかと思ったらいきなり降ろさせてきたのだ。
「ひっあぁぁああっ!!」
「だめだ、がまんできねぇ」
「ああっあぁっ…だめ、うごいたら…だめぇっ」
リボーンの声を聞いて俺は一瞬恐怖を覚えた。
これはヤバいことをしてしまったんじゃないだろうかと、今更ながら気づいた。
そうして、容赦のない突き上げで感じさせられた。
中をいっぱいにして熱さを感じ、だめ、ゆるして、と首を振って懇願した。
それなのに、リボーンの手から解放されることなく何度も下から突き上げられた。
串刺しにされているような感覚に、俺はもう放っていてそれでも休められることなく突き上げ続けられる。
「やめっ、ゆうして…こわ、こわい…あぁっ、あっあっ…ひあぁぁっ」
「つきあう、って…いっただろうが…くぅっ…にがさねぇぞ」
「うっ…あはぁあぁぁっ、なか、あつい…あつい」
俺が締めつける度、リボーンも中で放っているから、腹が変になりそうだった。
下からはグシュグシュッと卑猥な水音が聞こえてきて、リボーンの下肢を濡らしている。
そのうち、俺はイきっ放しになった。
どこが頂点で、どこが果てなのかもわからなくて、ただリボーンの熱を感じたかった。
「ぐちゅぐちゅするぅ…あっぁぁ、濡れる…」
「きもちいい、だろ?」
「んっ、ん…きもちい、ここ…まで、きてる」
自分の腹を押さえて自分の白濁に濡れた腹部を見せつけるように撫でた。
リボーンの手は俺の顔についた白濁に伸びて指先でそれを綺麗に拭ってくれる。
そのうち、俺は自分で腰を振ることもできなくなり視界が反転した。
今度はリボーンが俺の上にいた。
「まだまだ、イけるだろ?」
「んっ…きて…」
リボーンの媚薬はなかなか抜けなかった。
正常位でして、それに飽きて何度が体位を変えた。
俺の後ろはもうヒリヒリと痛んでいて、それにローションを足してまた突き上げられる。
今度は獣の様なポーズでリボーンに尻だけを突きだしていて。
その状態で中を抉られるとなんとも言えない快楽が俺の中を駆け巡ってシーツを握りしめた。
足の指も丸まって、そうでもしないと身体がばらばらになってしまいそうだったから。
「ひぃんっ…あぁっ、りぼーん…なか、だしてぇっ」
「っ…チッ、今やる…」
もっと注いでくれと強請った。
それがだんだん薄くなって、少なくなっているのも知っていてそれでもなお俺は奥に欲しいと泣き叫んだ。
声も枯れて、可愛くもない声だと思うのに、リボーンは誘いに応じて中にくれた。
そうして、溢れた白濁がシーツを濡らしていく。
限界なのに、中を擦られる感覚に泣きそうな位よくてどうしてこんなに俺の身体は変わってしまったんだろうと唐突に疑問に思った。
それを口にする前にリボーンに無駄なことは考えるなと尻を叩かれて中を締めつける。
また、中に注がれた。
すっかり腸の中はリボーンの精子しかない状態だ。
俺の中にあったって、後は出して終わり。
何にも無い行為だと思うのに、それをするのはとても簡単な理由だ。
好きだから、どこも相手に支配されて支配したい、そう思うから。
だから、今回のこれも本当はもっとリボーンに乱れて出して欲しかった。
俺を満たすんじゃなくたまには自分のために俺の身体で感じてほしかったんだ。
「すき、りぼーん…すき…ぃ…」
「はぁっ…はっ…ツナ…つな、つな」
リボーンの手が俺の手に指を絡めるように絡んできて、耳元で名前を囁かれる。
どこもリボーンに侵食されてしまって、だんだんと早くなる律動にこれが最後なんだと悟った。
リボーンを空っぽにすること、それが今日の目標だった。
その果ては際限なくどこまでも求められて、もう暫くはいらないと思うぐらい。
でも、きっとまた俺は求めるんだろう…好きの延長線上にこの行為があるとしたら、ずっと深く長く繋がっていたいと思うから。
「あっひぃっ…あぁぁっぁあっ!!」
「ぅあぁっ…!!」
珍しいリボーンの声を聞いたと思えば中のモノが小さくなっていく。
媚薬もすっかり抜けたようで、いつもの体温に戻っているようだ。
力が抜けたように俺にのしかかってきたリボーンの下から俺は這いだして、リボーンを仰向けにする。
「は、ははっ…俺の勝ち」
「勝ちも負けもねぇだろ、が」
「うん、そうだけど…なんか、さ…うん、すきだ」
何もかも出し切りましたと言う顔をして俺を見つめてくるリボーンの腕にギュッと抱きつくとそっと呟いた。
相変わらず中はすごく満たされているせいで、早く掻きだしたくなっているし、身体はどこもだるいし、動く気になれないけれど満足度は半端なかった。
ぐりぐりと肩に顔を押し付けて甘えてみると力のない手が頭を撫でてきて、堪らない気持ちになった。
「あー、なんか病みつきになりそう」
「やめろ、抑えんの大変なんだよ」
「え?我慢してたの!?」
「当たり前だろうが、あのままじゃ無理やり突っ込んでたぞ」
そっちの衝動を抑えるのでこっちは気が気じゃなかったと言われて俺はつい顔が引きつった。
あれでも結構キたのに、リボーンの何もかもかなぐり捨てたときの性欲ってどんななんだろう、と信じられない気持ちになる。
「ったく、これじゃ起き上れねぇ」
「ごめん」
「自分で洗ってこいよ」
「ん、わかった…リボーンは寝てていいからね」
チッと忌々しそうに舌打ちしたリボーンについ労わる気持ちが優先した。
俺は仕方なく身体を起こして、バスルームに向かうがリボーンに声をかけられた。
振り返ると、リボーンはこちらを見ていてなんだと首を傾げる。
「次、同じことしたら…お仕置きだぞ?」
「…はぁい」
力ない声で言われているのに、なんだか信憑性があって俺はつい素直に頷いてしまった。
まぁ、今回のこれはヴェルデの話を聞かなかった俺が悪い。
けれど、そんなに怖い顔で言わなくても良いじゃないか。
そこまで反抗的になる気力もなく、俺は引き攣った笑みのまま一人バスルームへと身体を滑り込ませたのだった。
END
えり様へ
リボーンがツナより先にダウンするようなエロ、でした。
ああもう、ホント要望通りできているかすごく不安です。
自分の好きなように好き勝手に書いてしまいました。しかもなんだか無駄に長くなってしまった…。
気に入らなければ書き直させてもらいます。
ええ、何度でも←
リボーンに媚薬を盛ってみました。
というかヤっているだけになってしまいましたが、これでよかったでしょうか?
リボーンになんとかひれ伏してもらおうとがんばってみましたがやっぱりツナより先にダウンするとか珍しいことですよね。(笑)
でも、私自身すごく楽しかったです。
リクエストありがとうございましたっ。本当に嬉しかったです。
これからもよろしくおねがいしますっ。