雪が降る
「うぁあっ、すごい…積ってるっ…とと」
リボーン起きてと振り向いて慌てて自分で口を塞ぐ。
昨日リボーンは遅く帰ってきて、眠いというのにヤろうとした挙句、服を脱がしたところで力尽きるように眠ってしまった。
だから、今ここで起こしたらまずいよ。
寝れるときに寝かせてあげたい。
俺はそっとベッドを抜けだすと厚着をしてリボーンのボルサリーノを拝借すると、外へと歩き出した。
さくっさくっと誰にも踏まれていない綺麗な白いじゅうたんの上を歩いて中心辺りまで来るとそこで雪をすくって丸い団子を作った。
それをコロコロと転がしていく。
まわりの雪を巻きこみ少しずつ大きくなって、膝辺りの大きさになったころそっと掌をよこの手が包んできた。
「あ、骸…」
「こんな冷たくなって、風邪でもひいたらどうするんですか?」
「大丈夫だよ、雪だるま作りたくなって」
ならこれをしなさいと骸から手袋をはめられた。
温かいと感触をたしかめて、お礼を言おうと顔をあげれば骸の頭がいきなり真っ白になってしまった。
その冷たい粒が俺の方にもかかってなんなんだと首を振ればそれが雪玉だとわかる。
「な?」
「…君は、子供ですか」
「この前は室内でやったら赤ん坊に怒られたからね。ここなら文句ないだろ?」
「そうですね、名案です」
「いや、そのまえに自分たちのしてることに突っ込もうよ」
骸の後ろから雲雀さんが雪玉を丸めて投げてきたのを見ると俺は一気に呆れた視線を二人に向けた。
だって、普通本気で嫌いな相手にそんなことしないだろう。
お互い気があるのにそれに気づかないなんて不憫以外の何物でもない。
二人で楽しんでるのを横目で見ながら俺はせっせと雪玉を転がし続けた。
腰の辺りまで大きくなればそこで土台は終了だ。
もうひとつ作るために小さいものをまた転がし始める。
今度は頭だから少し小さめだ。
「つーなぁっ」
「ん?ランボ…またお前はこっちに来てたのか?」
「オレっちすごいだろっ!!」
「ランボー、寒いからこれを着ろ」
「…お兄さん」
「おお、沢田。ランボがいきなり入れ換わったのでな。外に出たいというから服を探していたら逃げられた」
俺の足元で遊んでいるランボに苦笑すれば、先輩はかいがいしく世話を焼くのだ。
だから、俺は結構お兄さんは優しいんだと思っている。
だって、こんな生意気なやつ敢て世話をしたいとは思わないだろうから。
ランボにマフラーを巻いてやっているのを見つつ俺は雪玉を転がした。
「ランボ、俺と鎌倉を作らないか?温かいぞ?」
「かまくら?つくるっ、りょうへい雪をはこべぇっ!!」
「あはは、テンション高いな…」
結構兄弟の様なノリなのかもしれないと思えば微笑ましく俺は二人を眺めた。
そういえば、隼人がいないなと唐突に思う。
いつもなら俺を心配して外へ出てくるというのに。
まぁ、気にしないけども。
山本は今任務中だ。
雪玉を転がし終えて、そろそろかと近くから木片を拾う。
足りなくて自分の手袋と石ころを用意した。
「って持ち上げれない」
先に身体の方を作るんじゃなかったと苦笑を浮かべて素手で持とうとしたところで手をとられた。
「……リボーン」
「お前は、凍傷起こすぞ」
「ごめん」
「わかっててやってんのか?」
「…だったら?」
偶然だけれど、まぁわかってたのもあるし挑発的に言えば、顎を引き寄せられ無理やりキスされた。
つーか、人前ッ!!
俺は思わず腕を突っ張って離れるとニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
まったく、一眠りしてすっきりした顔しやがって。
俺は昨日変に煽られて不完全燃焼なのに…。
そう思ったが、次の瞬間にはリボーンは頭の雪玉を持ち上げて乗せてくれた。
「目はどれにするんだ?」
「あ、これ」
「口は?」
「これ」
「バケツは?」
「頭には、これ」
リボーンに言われるままに手渡していき、最後頭に乗せるものはと聞かれて自分で被っていたリボーンのボルサリーノを雪だるまの頭に乗せた。
「濡れたらどうするんだ」
「いや、リボーンが起きてこなかったらこいつをリボーンの代わりにしようかと思って」
「ずいぶんいびつなんだな」
「っ…しかたないだろっ、手はこんなだし」
「厚着してもお前は寒そうだな」
マフラーもしろとマフラーを首に巻かれて、その光景が他から見たときどういう風にみえるか想像したら恥ずかしくなって思わず頬が赤くなった。
「お前、なんか今日ずっと恥ずかしいよ」
「誰が見てるでもないんだ、良いだろ?」
「まぁ…あそこはカオスだし…こっちは二人でなんかはしゃいでるし」
骸と雲雀さんはまだ雪合戦を繰り広げていて、先輩とランボはかまくらの中で楽しそうに遊んでいる。
というか、お兄さんかまくら作るの早いなぁ。
「十代目ぇーーー!!」
「ん?」
「隼人だ」
声がして振り向けば屋敷の方から走ってくる。
息を切らして俺達の方へとくれば顔をあげて笑みを浮かべた。
「コーヒー淹れてます。それと朝食も用意できました」
「そうか、隼人は中で作ってくれてたんだ。ありがとう」
「いえ、それより早く中へ。風邪を召されます」
隼人が中へと促すままに入れば暖炉で身体を暖める。
その間リボーンは手持ちぶたさに俺の指を触り続けていて、つい可愛いなと見つめるとなんだという目を向けられた。
「ねぇ、昨日の…途中だったんだけど…」
「物足りなかったか?」
素直な気持ちを口にすれば、コーヒーを手にとって口を付けている。
その唇を目で追えば、昨日の熱が蘇る。
だって、キスだけで感じる身体にさせられているんだ。
そんなんで、あんな中途半端に止められて満足できる方がどうかしてるだろう。
「朝食食べたら」
「欲張りめ」
「そんな身体にしたのはリボーンだろ」
「俺好みだ」
「変態」
罵ったつもりなのに嬉しそうに笑う。
もう、恥ずかしい奴。
「十代目、暖まったらこちらへ」
「うん」
隼人に促されるまま、テーブルについて俺を追うようにリボーンも向かい側へと座ってきた。
その目が逐一楽しそうで、その顔は止めてくれと思いながら結局食べ終わるまでリボーンの視線にさらされたのだった。
リボーンの代わりにと作った雪だるまは、屋敷の俺たちを見つめて笑っているように見えた……。
END
優晴様へ
はしゃいでたのはランボでした←
なんだか私が書くとツナは見守り役に回ってしまうようです。
でも、雪が降るような時季に書けて良かったです。
気に入らなかったら書きなおしますので。
遅くなってしまってすみませんです。
素敵なリクエストありがとうございましたっ。