怒らせると恐いんです

何事も人間、限界というものがある。
俺が忙しい仕事を終えて昼食の席に着こうとしていた時のことだった。

「奇遇だね、君がここにいるなんて」
「おやおや、僕が居たらいけませんか」
「そうだね、僕の目の前には現れないでほしいかな…殺したくてたまらなくなるから」

不運にも雲雀さんと骸が顔を合わせてしまったのだ。
雲雀さんは今にも戦闘を開始しそうな雰囲気を纏わせていて、骸もそれに応戦しようと指を鳴らしながら武器をとりだした。
お願いだから今から食べようって時にそれは止めてくれ。
俺の切実な願いは儚くも楽しそうに笑みを浮かべる二人には通じる前に俺すら眼中にないようだ。

「いい加減にしてくれませんか」

ぽつりと言った言葉は二人に届くはずもなく、二人は楽しく武器を交えている。
楽しそうなのは良いが、ここは食べる場所だ。騒がないでほしいという主張すらも許されないのか。
俺は苛立ちまぎれにその場に用意してあった生卵を手にすると二人が揉み合っているところに投げつけた。
あわよくば二人のうちどちらかに当たればいいと思ったからだ。
だが、二人は揉み合いながら華麗に避けてしまった。

「おい、ツナこの書類……っ」
「あっ」

その卵は壁にぶつかると思いきや、ドアの方に飛んでいき偶然にも俺を探して入ってきたリボーンにぶつかりそうになって俺は声をあげた。
だが、リボーンは動じるどころかその卵を掴んで割れないようにいなして見せた。

「何してんだ?ツナ」
「あ、いや…だって」

この状況を見てわかってくれないのかと問えばニヤリと笑って、リボーンは二人の武器を止めた。

「赤ん坊」
「アルコバレーノ」
「てめぇら、いい加減にしろ。外でやってこい」
「…ふぅ、仕方ないですね」
「僕はもう飽きちゃったよ」

ああ、何でこうも簡単に二人を止められちゃうのかな…。
さすがリボーンだ。
俺は安心してご飯を食べ始めたのだが、リボーンは俺の前に来ると、もってきた書類をそこに置いた。

「ツナ、こんなもの投げるなんてお前はいつから行儀が悪くなったんだ?」
「だ、だからそれは…」
「問答無用、食べ物を粗末にする奴にはお仕置きだぞ」

お前、絶対楽しんでるだろ。
俺の言葉は口から出ることはなく有無を言わせないリボーンの言葉に従うしかなかった。



「っていうかさ、お前これやりたかっただけだろ」
「よくわかったな」
「わかるだろ、こんなマニアックなもの集めて…」

ご飯を幸いにも食べさせてくれ、仕事の方も目処がついていたため今日はもうおしまいにすることになった。
どれもこれもリボーンが仕向けたことだ。
俺はと言えば、卵を投げつけた罰でベッドに全裸で仰向けにされ両手を一緒にまとめて縛られそのうえで目隠しをされている状況だ。
目隠しをされる前にはベッドの上にカラフルな大人のおもちゃが広がっていたことを思えばもう今日は寝れないことが確定している。
しかも、こんな誰が悪いのか一目瞭然のことを無理やり俺のせいにした挙句、怒ってもいいはずなのに俺は期待していた。
まぁ、最近優しく抱いてくれていて、ついこういう刺激も求めちゃうって言うか…なんというか。
ってなんで自分に言い訳してんだよっ。

「何百面相してんだ」
「してないよっ、見るなって」
「お前は見えてないだろうが」

見えてなくてもお前が笑ってるのはひしひしと伝わってくるんだっ。
まったく、本当に…なんでこんなに変態なんだ。

「ツナ、これは仕置きだ…口答えはゆるさねぇぞ」
「…酷くしないでくれたら口答えなんてしない」
「それじゃ仕置きじゃねぇだろが」

これから訪れるであろう刺激に身体が震えるが、まったくもって俺の内心は穏やかじゃない。
何をされるかなんてあっち方面のことに決まってるし、少し寒いし…。

「リボーン……」
「……」
「ねぇ、触ってよ。それか暖房強くして」

無言のままになってしまった、
けれど話しは聞いてくれているのか触ってはくれなかったが暖房の温度があげられたことがリモコンの音によって知らされた。
今日は無言でいるつもりなのだろうか…。
それは、辛い…こらえ性のない身体だということはリボーンが一番知っている。
それなのにそれはをやるってことは、本当に今日はヤバい気がする。
俺が一番嫌いなのは出さないでイくことだ。
あれをされると俺は何を口走っているのかわからなくなって記憶が飛ぶのだ。
けれど、楽しそうな顔をしているリボーンの顔を見れば明らかに俺は変なことを言っていることはわかる。
それだけは、止めてほしい。

「ツナ、口を開けろ」
「…ん……ふっ、はぁっ」

リボーンの言葉に素直に口を開けばキスをされてその舌も入ってきて咥内を優しく擦り上げてくれるが刺激が足りない。
そして、舌と一緒に錠剤と思わしき硬いものが咥内へと入ってきて吐きだそうとする間もなくリボーンの舌が奥へと押し込んできて俺はそれを飲みこんでしまった。

「なに、のませたんだよ…あっ…」
「変なものじゃない…黙ってればわかる」

適当に言われて、リボーンが問題ないって言うなら平気かと納得すれば突然突起に加わった刺激に身体を震わせた。
バイブがそこにぐりぐりと当てられて身悶える。
小刻みな振動が開発されたそこから伝わって腰に直結し、自身が震えるがリボーンはそっちの相手はしてくれないらしい。

「やぁっ、あふっ…あぁぁっ…そこ、ばかりぃっ」
「好きなくせに、嫌がれるわけねぇだろ?」
「ひぃっ、すき…だけどっ…あぁん」

どちらかと言えば俺は自身を直接触ってくれる方が嬉しい、胸をいじられると感じるには感じるが、イった気にならないのだ。
変に身体の奥底にくすぶってじわじわと焙られるような感覚、それがまだ俺には恐い。

「ほら、こっちは反応してるぞ?イけるだろ?」
「イけな…はあっ…あぁぁっ、やめぇっ…うぅああっ…やっやっ、あつい…そこ、しちゃいやっ…あぁっあぁぁっ!!」

リボーンの煽る言葉に執拗に両突起をバイブで押しつぶされるようにして、それだけではまだイかなかったが突然皮膚が敏感になってバイブの刺激が一気に襲い、俺はあっけなく放っていた。
それだけに終わらず、今度は手がわき腹をなぞり尻を揉まれたがそれでも尻たぶが擦れ合う微かな刺激にも声をあげた。
一体何の効果でこうなったのかと考えた時にだんだん思考回路が焼き切れてきているが一つの考えに至った。

「び、やく…」
「よくわかったな、今日はさえてんな」
「あぁっ、だめぇぇっ…もう、さわんな、でっ…ひああぁっ」

当たらないでほしかったことを肯定されて、もう泣きたい気分だった。
触られる場所すべてに電流が走ったように感じて身体が揺れる。
しかも視界が遮られているから、次にリボーンがどこを触るか予想がつかなくて、無防備に感じさせられてしまう。
突起を舐めながら秘部に指を含ませてくる。
両方の刺激が強すぎて、首を振ってなんとか突き飛ばして逃げ出したくなるような想いを振り切る。

「ふああぁっ、ひゃぁっ…あうぅっ、やっやっやぁぁっ…りぼ、りぼぉ、ん…らめぇっ…おくがぁ…」
「奥がなんだ?」
「おく、あついぃぃっ…なか、もっとしてぇ…かいて、かいてぇ、りぼ…んの、で…して、してっ」
「思い通りにしたら、仕置きにならないだろ?」

指で慣らされてひくひくと指をしゃぶるように惷動しているが、そこからあっけなくリボーンは指を抜いてしまい代わりに冷たくて硬いものがそこに宛がわれる。
嫌な予感に縛られている手を前に持ってこようとしたがそうするまえにリボーンに抑えつけられた。

「あっ、やあぁぁっ…それ、やだやだっ…しないで、リボーンじゃないっ」
「うまそうに食い締めてるだろ?ほら、抜こうとしても抜けねぇぞ?」

くいくいと抜こうとするたび中が何もなくなるのが怖くてそのたびきゅうきゅうと締めつけてしまう。
でも、それは媚薬のせいで俺が欲しいわけじゃない。
それをわかっていてやるからこうなったリボーンは本当に質が悪い。
そのうち、スイッチを入れられてヴーヴーっとなりだし、俺は身体を跳ねさせて声もなく震えた。

「ツナ、息しろ…」
「はっはっ…あああーーっ、うあぁっ…んんっ、ふああ、イくイくぅ…っ!!!」

俺はあっけなく二度目の放埓を迎えたと思ったが奥の方からくすぶる熱が押し寄せてきてイったはずなのに苦しい快楽は続いていて堪らず泣きだした。

「も、も、イきたくなっ…あああっ、あたま…へんになるっ…りぼ、やらぁ、ひぃぃっ…ゆるひて、ごめんなさっ」
「なにに謝ってるんだ?」

訳も分からず何度も許しを請い、リボーンを欲した。
もうここまで壊されてしまったらリボーンが繋ぎとめてくれなくてはもう戻ってこれない。
こんなものじゃなくて、もっとあつい…リボーンのものを…

「りぼーんの、ちょ、だいっ…これ、もう…いいっ…ああぁっぁっ、イっ…はぁっはぁっ、くるし…なか、なかぁっ」
「俺がほいいか?」

リボーンの欲情した問いかけに俺は必死に頷いた。
もうリボーンのものを奥で感じれるのならなんでもいい、すぐに欲しい。

「たくさん、かけて…おなか…ぜんぶ、だしてっ」
「あんま、煽るな」

バイブが勢いよく抜けてなくなったと思う間もなく熱いものが宛がわれて俺は待ち望んだものの感触に戦慄いた。

「ひああぁぁっ!!あぁっああっ、らめぇっ、だきしめて…ばらばら、なっちゃうっ」
「っ…しめすぎだ、すこし、緩めろっ」

ぱしんっと尻を叩かれるがもう俺にはそれすら快楽になってしまい気持ちよさそうな声をあげてしまう。
でも、俺の要望もしっかりと受け入れられ縛られた手をリボーンの首の後ろにひっかけて密着すれば、満たされた快楽を得ることができた。
キスを強請るように舌を出せば噛みつくようにされて、嬉しかった。

「ふぅ、くっ…はっ…ああぁっ、」
「出すぞ?」
「いい、も…いつでも、い」

俺はもうイきっぱなしの状態で、リボーンが中に放ってくれるのを待っていた。
満たされたい、たくさん、出して欲しい。
自然と吸いあげるように中が動き出しリボーンを勝手に締めつけた。

「っ…ふ…つな、イくっ!!」
「ひあぁぁーっ!!」

リボーンの感じた声と、中に放たれる大量の精液、いきすぎた快楽、俺は電池が切れるようにそれらを感じて意識を手放していた。



「ん…んんっ…」
「起きたか?」

重い瞼を開けば、目隠しが取られていることに気がついた。
リボーンが俺を抱きしめて…多分寝入る所だったようだ。
少し驚いたように俺を見ていたから、起きないと思っていたのだろう。

「つかれた…」
「だろうな、最近あんまり激しくしてなかったから許せ」
「…別にいいけどさ……あーあ、痕ついてる」

リボーンも俺が物足りないの知ってたのかな、と少し感じながら自分が寝やすい位置を探していると手首に縛られた痕が残っているのを見つけてしまえば苦笑を洩らした。
あれだけ騒いで負担をかけていれば同然かと納得しつつ、リボーンが俺の腕をとって痕にキスをした。

「な…ちょっと」
「なんだ、少しは痛くなくなるだろ?」
「それって感覚の問題じゃん…まぁ、痛くなくなったけど」

相変わらず、くさいな…。
もう寝ようと、リボーンに小さくキスをして胸に顔を埋める。
今日は本当に疲れた。
これで寝ないと明日起きられないなと感じつつ再びまどろんでくる。
リボーンはと言えば、俺が寝るまで頭を撫でていてくれた。
いつもより優しい掌に、俺は幸せを感じていたのだった。



END
ラピスラズリ様へ
悪戯というよりも、お仕置きしたいがためのあてつけといいますか、そんな感じになってしまいました。うちのツナにも悪戯というおちゃめな機能がついていればいいのですが…なかったようです。(笑)
気に入らなかったら書きなおさせていただきます。
遅くなりまして、お待たせしました。
素敵なリクエスト、ありがとうございましたっ。





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