気づいた本心
「ツナ」
「ん?」
今日朝からバタバタしながら支度をしていた時のこと、リボーンが唐突に声をかけてくるからつい手を止めてハンモックの上でまだパジャマのリボーンを見上げた。
「帰ってきたら騒がずに俺を引きとめておけ、わかったな?」
「?…まぁ、理解はできたけど…」
「ならいい、早く学校いけ。遅刻するぞ」
「ああっ、じゃ、いってきますっ」
リボーンに言われて時間が迫っていると気づけば急いで家を出た。
リボーンの言葉が気になったが、走って学校に着くころにはすっかり忘れてしまっていたのだ。
今日も何の問題もなく一日の授業を終えると、俺は寄り道することなく帰路についた。
中学生の身でおこずかいが沢山あるわけでもない。
だったら家に帰ってゴロゴロとしていたい。
最近はリボーンのカテキョーっぷりが激しくてゆっくりしている暇もないが、鬼教師がいて遊んで帰れるはずもない。
「ただいまー」
玄関のドアを開けて中に入るが返事はなく、靴もリボーンのもの以外はなかった。
出かけているのかと納得すると階段を上って行く。
そこで、俺はようやく気付いたのだ。
朝言われたリボーンの言葉を。
あれは一体何のことなんだろうと思いながら部屋のドアを開ければ、目の前に大きな黒いスーツを着た男に出逢った…。
見間違いかと思って一度ドアを閉める。
「って、ここ俺の部屋じゃんっ」
何で自分がひく必要があるのか。
そう思えばもう一度ドアを開ける。
するとさっきのは見間違いなんかじゃなく本当に男がいたのだ。
無言でこちらを見ている。
でも、なんかどこかで見たような顔をしている。
特にもみあげとか………
「リボーン?」
「ようやく気付いたか」
「いや、名乗れよ」
「多分ここは十年前なんだろう」
「へ?じゃあ十年後のリボーン?」
聞くなり嬉しそうに口端を緩ませた。
それが、一瞬綺麗だなんて思ってしまってぶんぶんと首を振る。
「どうして、ここに?」
「ああ、ボンゴレでバズーカの改良をしていてな。ちょっとばかししくじった」
「ふぅん、ボンゴレか…」
「お前のことは答えられねぇんだ、質問すんなよ?」
今まさに質問しようかというところで先に言われてしまい面食らった。
だって自分の未来が一番気になるじゃないか。
俺はボスになっているのだろうか…。
もしかしたら、リボーンの反対を押し切って普通の会社員とかになっているかもしれない。
「自分のことなのに…」
「それでもだ。未来のことを話せばこちらにも影響する。俺は今の状態が気に入ってるんだ。だから、向こうでバズーカが治るまでここにいなきゃならねぇ。でも、暇だし少し外でもぶらつくか…」
「ちょっ…待って、朝リボーンから外に出すなって言われてたんだった」
さっそく鼻歌でもならしそうな感じで部屋を出ていこうとする十年後のリボーンの腕を掴んだ。
俺とは違うしっかりとした腕に一瞬驚くが、離すことはないままひきとめた。
「なんで俺が言うんだ?」
「知らないよ、でも外に出すなって…」
「なら、ひきとめて見せろよ」
「は?どうやって…?」
俺だって十年後のリボーンがどうなろうと知らないが、向こうに行ってしまったリボーンがどうにかなってしまっても困るのだ。
だが、ひきとめて見せろという意味がわからない。
首を傾げてリボーンを見上げるといきなり顔が近づいてきて俺は抵抗することもできずにとっさに目をぎゅっと閉じた。
すると、唇になにかが触れた感触がしてなんだと目を開けるとリボーンの顔がどアップで映っていた。
「なっ…」
キスされた、そう感じて慌てて後退りドアに背をあずけた体勢のまま動けなくなってしまった。
「…あ、まだ何もなってないのか」
「何もなってないってなんだよ!?」
もしかして俺は将来的になにかいけない道にそれてしまうのかっ!?
そう気づいて問いかけるもリボーンは俺の言葉には答えず何かを考えるように視線を彷徨わせていた。
「おかしいな…確か、このころだったような記憶があるが…」
「何言ってるんだ?」
「まぁ、いい。俺はさっきまで仕事だったんだ」
「それが?」
「俺の前にはお前がいた」
「………」
「手を伸ばそうとしたところに爆発があって、気づいたらここだった」
なにかあってリボーンだけが巻き込まれたことを知った。
けれど、リボーンの手が逃げ道のない俺に伸びてくる。
俺の顔の横、ドアに手を置いて顔が再び近づいてきた。
避けなければならない…それなのに、動かない…動けない。
「お前に…触らせろ…」
「っ……」
耳元で囁かれて息を飲む。
腰がズンッと重くなって足に力が入らなくなり、ずるずると座り込んでしまった。
「今ので腰が抜けたか?」
「…そんなことっ……」
「なら、抵抗してみろ」
言われて覆いかぶさってくる。
服をたくしあげられて嫌だと思うのに、目の前の男に逆らえない。
どうしよう、なんで…
何を許したわけでもない、逆に縛られているわけでもない。
なのに、なんで身体が動かないのだろう。
その間にもリボーンは俺の胸に手を当てて突起を指で撫でてきた。
「っ…はっ……」
「まぁ、ここは感じないよな」
「やめっ……リボーンッ」
こっちは俺が開発したのだからと呟きつつ手が下へと下がって行き、嫌な予感に俺はリボーンの手を掴むが俺の力もものともしないかのように普通に動き続ける。
ズボンのチャックを下ろされて下着に手を入れられる。
自身に他人の手が触れる。
それなのに、俺は背筋を駆け抜ける快感を感じていた。
「やぁあっ…だめ、すぐ……で、るっ…」
「もう少し耐えたらどうだ……ああ、一人でしてねぇんだったな」
「なっ…そん…ああぁっ…やっやっ、ぁあぁぁああっ!!」
自分でもしたことのないくらい卑猥な手つきでされてしまえば俺はあっけなくリボーンの掌に白濁を吐きだしていた。
はぁはぁと呼吸を整えていると身体をひょいと軽々と抱きあげられてしまい、思わず首に腕緒を回して抱きついてしまった。
「先に謝って置く、すまん」
「は?」
ベッドにおろされていきなりリボーンに謝られて何を謝っているのかと口を引きかけた時、足を掴まれて膝辺りで止まっていたズボンを一気にずり下ろされてしまう。
そして、リボーンは自分の内ポケットを探り掌に収まる小さいサイズのボトルを取り出すと俺はベッドに抑えつけられて足を開かされる。
「なっ…なにしてっ…ひぅっ…や、なに、なに?」
「久しぶりでキレてんだ…許せ」
「だ、から…なに…?」
「ここまでされて気づかないのも貴重だな」
言いながら後ろの方にそのボトルから手に出した液体を塗りつけられてしまう。
ぬるぬるとして何をする気だと頭を働かせて一つの結論に達した。
でも、一番考えたくないことだった。
「セックス…っていえば、わかるか?」
「っ…やだっ、第一男同士だろっ」
「セックスに男も女も関係ないんだ…知らないのか?」
あたかも当然のように言うが、絶対間違っている。
少なくとも今現在ここ日本は同性愛非公認なのだ。
それなのに、後ろをいじるリボーンの手が止まることはなくそのうち指が一本中に侵入してくる。
「やっ、ぬけって…ぬけってばぁっ…はっ、うぅっ」
「痛くしてないだろ?それぐらいで泣くな」
「ないて、な…ぁあっ!?…ぁあうっ…ひぁっ…やだ、そこ、へんっ」
「ここが一番お前が好きな場所だ」
ぐりぐりと指がいろんなところを擦ってきていたが、一か所だけむずむずと堪らない場所がある。
耐えられずに頭をベッドに押し付けるようにして嫌がるが止める気配はなく、むしろ指を増やしてきて中を開くように動いている。
「やっ…も、しないでっ…」
「だから、最初に言っただろうが」
すまんってな…そう囁かれてそれは許す対象にもならないだろうと思うも指を抜かれて安心したのもつかの間、信じられない位のものを見せつけられて思わず顔が引きつるのを感じるがリボーンは止める気などさらさらないという感じで後ろに自身をあてがい、一気に突き上げてきた。
「ひぁあぁっ!!やぁっ…ああぁぁっ」
「きつっ…」
信じられないとなじる視線を向けるが、苦しげな表情の中に妖艶な吐息を吐きだすのをみればつい見惚れてしまう。
なんでだろう…どうして、この男に身体を許してしまっているのだろう…。
俺はリボーンのことなんか…これっぽっちも……
「ツナ…つな…」
「リボーン…あぁっあっあっ…んんっ…」
腰を使って突き上げられ、さっき指で感じたところも余すとこなく擦られて苦しいと思う仲に快楽を見つけてしまう。
俺は腕を伸ばしてぎゅっと引き寄せた。
いつか、俺もリボーンをこの姿にしてやることができるのだろうか…。
こんなにも切なく呼ぶ名は…俺であって俺じゃない…。
「りぼっ…りぼーん、りぼーんっ…ああぁっ、はぅっ…ひぁああっ!!」
「チッ…だすぞっ……クッ!!」
目を閉じて俺が呼んだ名前も、目の前にいるこの男ではなかった。
唐突に落とされるような感覚に陥り、ガクンッと身体を震わせて予告なく白濁を吐きだし、勢いよく締めつけてしまったらしい、耳元で熱っぽい感じた声を聞きながら中に熱いものが流れ込んでくるのを感じた…。
俺は、一気に襲ってくる疲労に思考が途切れた。
目を開けると、俺はベッドに寝ていて電気のついていない部屋は真っ暗だった。
「今、何時…?」
時計を見れば八時を指していて、こんな時間まで寝ていたのかと起き上がろうとして腰に痛みを感じた。
それでも立ち上がれないことはなく、部屋を出ようとすればリボーンが入ってきた。
「起きたのか」
「ん、ああ…」
「飯、できてるぞ。ったく、買い物から帰っても寝こけやがって」
「ごめん…」
小さなリボーンが表情を見せないまま言って部屋に入ると俺のベッドに座った。
俺はすぐに行こうとドアノブに手をかける。
「お前、抱かれたのか?」
「へ…?」
唐突に言われた言葉に驚いてリボーンを見るが俺の顔は見ないままで背を向けて寝転がっていた。
すると、一気に押し寄せてきた記憶に顔が赤くなる。
なんで十年後のリボーンに身体を許してしまったのだろう。
でも、何も汚れてない…。
「で、でも……リボーンじゃ、無理じゃん…」
「っ……」
言ってしまってから後悔する。
それじゃあ、まるで…俺がリボーンを好きだと言っているようなものじゃないか。
「お、俺、ご飯食べてくるっ」
信じられない。
駄目だ、どうして、こんな…
こんなことで自覚するなんて、最低だ。
今はまだ、見ないふり。
お願いだからこの想いだけは自覚させないでくれ。
例え、もう手遅れだとしても……。
END
奈津様へ
ここまでよんでいただきありがとうございます。
十年後リボーン×中学生ツナでした。コメディ風にしようとしたのですが思わぬところでシリアス方向へ…すみません。
こんな終わり望んでないよっ、ってなりましたら書きなおしますので。
見てるだけみてくれるのでも構いませんよ、でもコメントなんぞいただけたら私が嬉しいのです。それだけなので、こんな小説ですが、奈津様がよろこんでいただけること嬉しいです。迷惑ではないので、これだけは言えますよ。
リクエストありがとうございましたっ。