「同窓会なんて…」
「なんだ、わざわざママンが電話してきてくれたのに浮かない顔だな」

俺は電話を切るなりはぁと重いため息をついた。
それを聞いていたリボーンは俺の机に書類を置きながらクシャリと俺の前髪をかきあげてきた。
うかいない顔って当たり前だろ、同窓会なんて…中学校なんて…。

「お前、まさか駄目駄目な自分が馬鹿にされると思ってるのか?」
「だって…」
「馬鹿だな、あのことから見ればお前はずいぶん変わった。むしろ、板についてきたそのスーツ以外の服に着慣れるところから始めねぇといけないんじゃないのか?」

まぁ、俺はマフィアだって隠さなくてもいいと思うけどな、と言われた言葉にようやく自分がマフィアのボスという立場を思い出した。
この黒スーツ、しかも俺が呼ばれているということは山本と隼人も呼ばれているということなわけだ。
三人そろって黒スーツというのは、いかにせん…皆の注目を集めてしまうだろう。
駄目駄目な自分は目立ちたくないのでそれだけは勘弁してほしい。

「そうときまれば、早く日本に帰らなきゃ」
「まぁ…いいけどな」

仕事も今は余裕があるし今のうちだと立ち上がればリボーンは苦笑して山本と隼人に声をかけに行ったのだ。




「十代目、準備は済みましたか?」
「う、うん」
「ははっ、結局その格好だよな」
「し、仕方ないだろ。だって、どれ着ても似合わないし…」

結局当日までに適当なスーツを着てみたが、それもしっくりくるものがなくいつも袖を通している黒スーツになってしまったのだ。

「今更恥じることなんてないだろうが、胸張っていってこい」
「そうよ、ツッくんかっこいいわ」

家から送りだしてくれる母親とリボーンに呆れたようにため息を吐いた。
まぁ、でもこうなってしまったら腹をくくるしかない。
それに同窓会なんて、同期が集合して集合写真を撮ってそれで終わりだ。

「行こう」
「はい」
「おう」



あーっ、緊張する。
会場のドアの前までくれば途端に不安に襲われる。
時間ぎりぎりなせいで会場の外には誰もいなくて、緊張して手をかけられずにいた。

「十代目、おくれちまいますよ」
「そうだぜ、行くぞ、ツナ」

俺の心の準備より先に二人はドアに手をかけて開けた。
目の前に広がるのは懐かしい顔ぶれ。
盛大に開けたため一同の注目を浴びて、隠れたくなる気持ちでいっぱいになるがこんなところで二人に頼るなんて恥ずかしい。
俺は胸を張って中に入った。
中をみまわすと先に来ていたのだろう京子ちゃんがいて助け舟とばかりに歩いて行った。

「久しぶり、京子ちゃん」
「ツナ君、久しぶり。来れないかと思ってたのに、会えてよかった」
「うん、母さんから連絡もらって」
京子ちゃんはいつもの調子で話してくれて周りを忘れることができたのだが、視線を感じて皆を見れば、俺に注目が集まっている。
へ?やっぱり変?
どこか変なところがあったのだろうか、とわたわたと身なりを見まわしていると一人の男が近づいてきた。

「沢田?」
「うん、どこか変なの?なんか皆見てるから…」
「いや、かっこよくなったなぁ」
「えっ!?」

突然の言葉に困惑してどうしようと隼人と山本に視線を向けるも、さらっと無視された。
あれは、うん…わかっててやってる顔だ。
酷いっ、と裏切られた気持ちでいれば手をぎゅっと握れられる。

「へ?」
「俺もお前みたいになりたいから、ちょっと触っておこうかと思って」
「触ったってなんにもならないよ」
「前からかわいいと思ってたんだよ、撫でさせろっ」
「わっ、ちょっ…なん…」

いきなりのことに目を白黒させてその場にいた男たちに囲まれてしまう。
悪気がないだけにどうしたらいいかわからない。
というか、中学の時はあんなにも冷たい態度をとられていたからちょっと嬉しかったりもする。
仕方なく色々触らせて、いろんな人と話しをして食事をしている間に時間が来ていた。
あっという間の出来事のように思えて、来てよかったと純粋に思った。

「なぁ、綱吉。また同窓会こいよな」
「うん、行くよ」
「イタリアっていったっけ?こっちきたら遊ぼうな?」
「わかった」
「じゃあ、アドレス交換」
「え……えと、ちょっと待って」

アドレス交換と言われてプライベート用を持ってきただろうかとポケットを漁っていると、いきなり会場の扉が開いた。
誰だ、と皆はそちらに視線を向けていた。
俺はようやくプライベート用のケータイを見つけて顔をあげれば目の前にリボーンが立っていた。

「リボーン君、久しぶり」
「久しぶりだな、京子」
「仕事の時間だ、行くぞ」
「リボーン、なんで…えっ、まっ…」
「ああ、忘れてた」

腕を掴まれて待てと言うとリボーンは何を思ったか足を止めて振り返った。
何を忘れたんだと首を傾げている間に顔が近づいてきて、驚く前に唇が重なっていた。

「こいつは俺のだ。目を付けてた奴には悪いが、やらねぇぞ?」
「…………〜〜〜馬鹿ぁっ!!」




「ツーナー、怒るな」
「………」
「ツナ、お前に手を出そうとする奴等を牽制して何が悪い」
「………」
「ツナ、綱吉」
「……っ」

飛行機の中、リボーンは永遠と俺の機嫌をとり続ける。
俺は許すつもりはなくて、リボーンは身を乗り出して隣の俺の寝ている方へ近づいてくる。
ファーストクラスで偶然人の少ない便だったらしく他の客はいなくて山本と隼人はというとリボーンの様子に下のクラスでとワンランク下げた方へと乗っている。
悪いと思うのならしなきゃいいのに…これだからイタリア男はっ。

「あそこは日本なんだからな」
「忘れてたわけじゃねぇ」
「もっと問題だっ!!」
「…嫌か?俺がお前の恋人だったら、嫌か?」
「っ…そ、んなこと…ないけど」

珍しく弱気な声、なんでそんな風に言うのだとリボーンを見ればいつもと変わらない顔をしているのだけれど、少し寂しそうに見える。
平常心を保とうとしているのが目に見えて、ついリボーンに手を伸ばす。

「もしかして、心配してた?」
「………」

無言、すなわち図星…。
リボーンはすごいヒットマンだ。
けれど、時々すごく馬鹿になる。
それは信頼していないとか、信用されてないとか、そういうのではない…。
多分、人間に生まれてきたら皆なる特有の…もので。
俺はリボーンの頬を撫でてそっと引き寄せる。
チュッと唇が重なって、ボルサリーノをとって前の席へと放った。

「リボーン以外、こんなことしたい人なんていないよ。それに、俺がかっこいいとかかわいいとか一番知っていてほしいのはリボーンだけなんだから」
「…お前、結構俺馬鹿だな」
「昔からそうだよ」

今頃気づくなんてホント、リボーンらしくない。
そんなところも良いけれど…少し、腹が立つ。
信じきろとは言わない、けれど不安になったらあんなことをするまえに言ってほしい。
俺はちゃんとお前を安心させることができるんだから。
リボーンの背中に腕を回して引き寄せる。
飛行機…かぁ。
少し俺の頭に現実を見ろと理性が訴えてくる。
けれど、無理だ…俺だって、こんな可愛いリボーンを我慢することなんてできない。

「今日だけはさ…」
「ん?」
「今日だけは、俺…変態でいいっ」
「なら、共犯だ」



「あっあっあっ…へん…やだぁあっ」
「はっ…病みつきになりそうか?」

リボーンが座って俺がそこに跨って座る所謂対面座位なわけだけれど、飛行機の振動が突き上げられるたびに伝わってきてバイブを直接入れられているような感覚に頭が変になりそうだ。
飛行機を汚さないようにゴムを付けてやっているが、もどかしい上に初めて感じる刺激に乱れに乱れた。

「やっ…もうっ…いやあぁっ、イきた…っ…」
「腰振れよ、見ててやるぞ?」

恥ずかしいと感じるがリボーンの瞳がいやらしく濡れていて、リボーンも感じているんだと思った時には自分から腰を振って激しく抜き差しを繰り返す。
自分から感じる場所を擦り、たまらず背をそらす。
倒れそうになるのをリボーンの腕が支えて腰を掴んで抱きしめられ中のリボーンがますます奥へと入ってくる。

「ふぅっ…ああっ、おくまで…きてる」
「中に出せないからな、お前の好きなところをついてやるよ」
「じゃあ、そこでぐりぐりしてっ…」

リボーンは笑みを深くすると言ったとおりに最奥でぐりぐりと腰を回されてたまらず髪を振り乱して喘ぎを漏らした。
声は大丈夫かって?飛行機の音で消えてるかもしれないから大丈夫なのだろう。
リボーンが言ってた。
それよりも身体がリボーンを欲しがるままに貪りたい気分だ。
リボーンをぎゅぅっと抱きしめると息を乱して見上げてくる。
それに甘く口付けて唇を味わえば、中のリボーンが震えている。
意識的に締めつけると、感じたように表情を歪めた。
…今度抱かせてくれないかな…。
時々どうしようもなく可愛く思える存在だと言ったらきっとすごく怒られるのかもしれない…。
けれど、俺だって男だ。
女性願望もないのだし、いつもやられる側というのもちょっとあれだし…たまにはリボーンを触りたいと思う。

「リボーン…抱きたい」
「ああ?」
「いつか…だかせて…ああっ…きもちい、から…はぁぁっ」
「まぁ、気が向いたらな」

リボーンがちょっと戸惑ったのを感じ取ったが俺は中を締めつけることで逸らすことにした。
締めつけると自分も感じて堪らない…。
もう限界で、ゴムがはまっている自分自身をリボーンの腹に擦りつける。
ちょっとしか感じ取ることができないが何もないよりはましだ。

「いく…いきたい…りぼっ、りぼーんっ…」
「キスしろ…っ……んんっ」

リボーンの要望通りにキスをして、舌をぐちゃぐちゃに絡ませながら白濁を放って、中に鈍い衝撃を受けてくたりと力を抜いた。
リボーンはごそごそと自分のものを抜いてゴムを外し、俺のもかいがいしく処理してくれる。
もう少しこうして抱きあっていてもいいのに、リボーンはさっさと身体を離して俺の服を整えている。


「ん…ゆっくりしようよ」
「次、経由空港だぞ?さすがに人が乗ってくるだろうが」
「っ…忘れてた」

リボーンの言葉に思い出せばヤバいと急いで服を身につける。
なんてとこで俺は盛ってしまったんだ。
今更ながら事態の重さに気づいて羞恥を感じる。
もう、飛行機には乗れないかもしれない…。
リボーンは前に飛ばしたボルサリーノを頭に被るともう何もない状態に戻っている。
なんでこうも平常心でいられるかな…。
飛行機が傾いて下降していく。
もう少しで二人きりではなくなってしまう…そう思ったら、身体が勝手に動いていた。
腕を引き寄せて口づけ、唇に噛みつく。

「っ…いてぇだろ」
「なんとなく…痕つけたかっただけ」

それだけ、俺もリボーンを独占したい気持ちを分かってほしい…なんて。
言わないけれど…わかってもらえるかもわからない。
悩むリボーンも見てみたいから多少訳がわからない位で丁度いいのかも。
着陸体勢に入る飛行機の中で、とりあえず空気清浄機を用意してもらえないか本気で悩み始めるまであと五分…。



END
再来☆★様へ
47000ヒットおめでとうございます。
リクまでしてくれてホント嬉しいですっ。
同窓会ネタを選ばせてもらいましたが同窓会が空気になってしまった感が否めません。
すみませんっ、変態ですみまs…
こんなんでよかったですか?
書きなおし希望だったらいってください。
リクエストありがとうござました。
それと、いつも面白いコメントありがとうございますっ。





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