・十年後のパロです。
・十年前ツナは骸戦終わったぐらいの時のツナ
・年齢と時系列あってなくても許して
以上守れる方のみスクロールプリーズ
理不尽な支配者
「綱吉、これ飲んで」
「え?なんですか、これ」
雲雀さんがいきなり執務室へと乗り込んできたかと思えば俺にカプセル錠を一つ差し出してきた。
何なんだとそれを見ていると飲めと命令された。
ちょっと、待って。
俺、ボスのはずなんだけど…雲雀さんわかってるのかなぁ?
「いいから、人体実験は済ませてあるよ。飲んで」
「ヒバリ、いくらなんでも俺が許さねぇぞ?」
「赤ん坊は良いから、早く飲んで」
リボーンがすかさず止めに入ろうとするがそんな言葉も耳から抜けているようだ。
俺に詰め寄るようにして言ってくる雲雀さんには俺も敵わない。
でも、死ぬようなことじゃないと思うし。
人体実験したっていったし…大丈夫だよな。
「お前、何考えてんだ」
「あ、バレた」
飲もうかと考えていたところにピシャリと言われて苦笑を浮かべるが、これも仕方ないだろうと薬を飲み下した。
ゴクン、と喉を通過して何も起きないことに首を傾げた時のことだ。
いきなり煙が出て、どうしたんだろうと思う間もなく俺の意識が飛んだ。
「いったたた…何があったんだよ」
「ツナ大丈夫か?身体はなんともないか?」
「十代目っ」
「失敗か…」
口々に飛んでくる言葉に誰がいるのかはわかったが、顔をあげればあら不思議…俺の知らない世界が広がっていた。
「なんで、皆大人っぽいの?もしかして、リボーン?」
「「「えっ!?」」」
俺はただ知らない人に囲まれていて、今さっきまで一緒に居たリボーンかと思ったから言っただけなのに…なんか皆怖い。
そう言えば、なんで俺スーツなんか着てるんだろ?
「おい、お前ツナか?」
「綱吉だよ、何言ってんの?むしろ名前聞いて回りたいのはこっちなんだけど…それに、ここどこ?」
「ちょっと待って、綱吉。君は今、何歳だい?」
「何歳って、14ですけど…もしかして、雲雀さん?」
年齢を言ったとたん、皆して額に手を当てていた。
しかも、リボーンと思わしき人は雲雀さんの胸倉を掴んでいた。
「ヒバリ、なにしやがった」
「失敗したんだよ。さっきの薬は十年前に戻るための薬だったんだ。十一年前の彼が来ているし…何より、中身だけという不安定な状態」
「中身って、俺は元のまま…で、すけ、ど………」
雲雀さんの言葉に自分は変わっていないと言おうとして、それは十一年後もあまり自分が変わっていなかったということ…。
気づいて激しく落ち込んだ。
なんなんだろう、未来に来て嬉しいはずなのに言い知れぬ残念な感じ。
「いつ戻るんだ」
「とりあえず一日を想定して調合してある」
「一日ならいいじゃん、俺大人しくしてるからさ」
二人の険悪な雰囲気に他の皆が引き始めたころ俺は二人の間に割って入った。
もう、十年以上たっているはずなのに…なんかあんまりかわってない…。
二人に笑みを向けると仕方なさそうに離れた。
「ですが、部屋はどこに案内すればいいっすかね?」
「今のツナの部屋で良いんじゃないか?一番安心できると思うし、な?」
「そうだね、そのほうがいいかな」
獄寺君がリボーンに意見を求めたが、山本に返事を返されて不機嫌な顔をする。
なんでこんなにも変わってないんだろう。
大人になったはずなのにな…。
しかも心なしか、獄寺君さっきと口調変わってるよ。
感覚が昔に戻ってるのかも…。
「俺が案内する、説明もするからな」
「ん、わかった」
てっきり獄寺君達が案内してくれるのかと思っていたのに、俺の手を取ったのはリボーンだった。
それには誰も逆らうことはせずにそのまま大きな部屋をでると広い屋敷と思われるところを歩かされる。
さっきとはあまり遠くない場所に俺の部屋はあった。
「いいか、この時代をあまり探るな。未来を知ると過去からここまで余波が来るからな。もしかしたら、今この未来がなくなる可能性だってある」
「うん」
「自分の部屋だからと言って、引き出し…携帯、名刺…そのぐらいか、見るなよ?」
「わかった」
「ずいぶん聞きわけ良いじぇねぇか」
「いや、なんかここまで変わってるとリボーンだって思えなくて…」
リボーンの言葉に素直に頷いていると本当に聞いてんのか?と不審な目を向けてくるから、苦笑を浮かべながら白状した。
だって、あんなに小さかったのに今じゃ俺の背も越えて良い男なのだ。
差があり過ぎということだ。
「ったく、お前が呪を解いたんだ。だから、これが本来の俺の姿だ焼き付けとけ」
「うん、俺も呪解くつもりだから…安心して」
「当たり前だ」
「あ、ねぇ…今日一緒に寝てくれる?」
「は?」
「いや、一人寝って…苦手で」
今の俺は一人寝できているのだろう。
だけど、俺はお前と一緒に寝るのが癖みたいになってたから…きっと広いベッドでは寝れないと思う。
そう言うと、頭をくしゃくしゃと撫でてしかたねぇなとリボーンは笑ってくれた。
リボーンは仕事があるとかで行ってしまったが、部屋の外に獄寺君がいると言っていた。
俺はそんなに弱かったのかな…。
よくわからないが、俺は部屋に入るなり辺りを見回してあっけにとられた。
だって、こんなに綺麗にしてる。
今の俺の部屋と言ったら、せまいしリボーンとゲームと色々なものが転がってるし…。
きっと入れ換わった俺の中身はやっぱりなと呆れていることだろう。
ベッドにダイブしてサイドテーブルの引き出しをあけた。
こんなところに大事なものを入れてるはずないから、という安心感もあった。
「……え………ローション?」
が、なんだろう…中学生の俺には刺激の強いものが入っていた。
なんでこんなものが…いや、俺も二十五歳なのだから健康な男児としてこれは普通なんだ。
もしかし…愛人…とか?
こんなモテそうにない俺でも抱かれてくれる女性がいるのか、そう考えるとなんだか嬉しくなる。
「京子ちゃんは、今何してるんだろう」
ここに居ないということは、頻繁に会っているわけじゃないらしい。
ということは、恋人じゃないのか。
気づいてしまって、そんな自分に納得してしまう。
好きの一言もまともに言えないのだ。
そのせいで愛人ばかりだったら笑ってしまうかもしれない。
何もすることなくて辺りを見回すとバスルームと書かれた扉が見えた。
部屋に風呂もあるのかぁ、と感心しながら入ってしまおうかと風呂場に入った。
そこには大きな姿見があって、変わらない俺がいた。
スーツを着ていれば成人だとわかる顔だ。
童顔はやっぱり童顔だった。
「なんだ、これ…」
服を脱げばさらに驚いた。
俺の身体全部に転々と広がる赤い印。
触っても痛くはなく、痒くもない…虫に刺されたと言い訳できないそれに、明らかな情痕の痕跡を見てしまった気分で恥ずかしくなる。
「なんでこんなに…俺、女の人を抱いてたんじゃないのか…?」
それともただ痕を残したかったのか。
でも、その痕からはひたすら愛されていることしか感じれず、俺はそれから視線を合わせることなく風呂に入りシャワーを浴びた。
俺の知らない未来の俺は、誰かに愛されていた。
誰だろう、知りたい、知りたくない。
ここで未来を知ってしまったらきっとこの世界がなくなる。
リボーンは、これを知っているのかな…。
夜になればリボーンが部屋に来て早々シャワーを浴びに風呂場へと入っていった。
俺はその間ベッドで待っていてだんだんうとうとしてくる。
「もう寝るか?子供は寝付き早いな」
「うるさい、俺だってたまには……零時ぐらいまで起きるよ」
出てきたリボーンに声をかけられてそっちに閉じそうな芽を向ける。
いいながら自分の言っていることが曖昧になってきて、寝るかも…と完全に意識を手放した。
「ったく、恰好が無防備なんだよ」
意識を手放す手前、悔しそうにつぶやいたリボーンの声だけが頭の中で反芻していた。
次の日、俺はずっと自分の部屋ですごして一日の時間になろうと言う時あの一番最初にきた広い部屋へと案内された。
「あと三分ほどで元に戻るよ」
「皆ありがとう、なんか…結構楽しかった」
「部屋に居てばっかりだったのにか?」
「うん、皆が一緒に居るから…」
やっぱり俺にはそれが嬉しくて、俺を中心に皆がいる。
それが、幸せで羨ましいと思った。
俺もこんなファミリーになるようにできるかな。
「お前もなるんだぞ。嫌だって言ってもここまで俺は引きずってくるからな」
「…それは、お手柔らかに頼むよ」
「あとは、向こうの俺に直接言え」
「うん…じゃあね、元気でね」
俺の身体から煙が出てここに来た時と一緒の光景に、俺は皆に手を振った。
この幸せそうな笑顔は、未来の俺が与えたもの。
なら、俺もできる気がする。
目を閉じれば意識が途切れてブラックアウトした。
「ん……あ、戻ってこれた」
「ツナ?」
「綱吉?」
「十代目っ!?」
「うん、俺だよ」
目を開ければいつもの執務室が広がっていた。
そして、俺の顔を覗き込む仲間たち。
俺は思わず笑みを浮かべて両手を広げて抱きついた。
「ただいま」
「はいっ、待ってました」
「もう少し調合を変えてみようかな」
「もう俺で試さないでくださいね」
「さぁ、それは保障できないな」
「おい、俺は別人に見えるか?」
隼人、雲雀さん、と顔を合わせて笑みを向けていると、リボーンから唐突に質問された。
俺は二人から離れるとリボーンの前まできてまじまじと全身を観察する。
「うん、いつものリボーンだ…まぁ、別人並にかっこよくなっちゃったよな」
一日ぶりに見る大人の姿に、あの小さい姿じゃできないことをしたくて手を伸ばす。
無言のぎゅってして、だ。
「よし、ツナ。部屋行くぞ」
「えっ…仕事はっ」
「あとは俺達がなんとかしますから」
「僕の責任でもあるしね、今日はゆっくりしてきなよ」
理解のある仲間でホント助かるな、と苦笑を浮かべながらリボーンに運ばれてしまう。
ああ、できれば明日は動けるようにセーブしてもらいたいところだ。
「リボーン」
「………」
「ちょっとは、手加減してね」
返事がないところをみると、やっぱり不安要素しかなくて、ちょっと諦めた。
そして、俺は知るのだ。
服を脱がされたあと、大量に残された情痕の存在に。
こんな恥ずかしい身体を過去の自分に貸したなど……考えただけで、記憶を失くしたい気分になった。
でも、今回のことで少なからずこういうのもいいかもと思っていた自分がいるのだからそれでいいのかもしれないと思った。
所詮は中学の時の思い出、十年も経てば詳細など忘れてしまうものだ。
END
For YOU
リボツナなら何でも、とリクエストして下さった方へ。
甘々なのを目指そうと書いていたのになんだこれは…すみませんすみません、リボツナ要素も少なくなってしまいまして…。
もっと甘いリボーンとかツナとか書きたかった。
けど、ぐだぐだ長くなるのもな…と考えてこんな感じになりました。
書きなおし、受け付けます。
でも、気に入ってくれたら幸いです。
リクエスト有難うございました。