パロ | ナノ

 華契

「…リボーン、時間…」
「もうか…仕方ねぇな」

目を開けて、空がうすぼんやりとオレンジ色になっていくのを見て俺は隣のリボーンをゆすり起こした。
気だるそうに身体を起こせばまだ眠いのか欠伸をしている。
リボーンと一年ぶりの再会をしてからというもの、三日とあけずに通ってきてくれるようになっていた。
リボーンに抱かれる日々は苦しくもとても幸せだった。
あの時思った心を明け渡してはいけないという自分の言葉を忘れるほどに。
リボーンは服を着ると、俺も簡単に着物をまとい大門まで送っていく。

「っ…てめぇ、一丁前に拒否しやがって」
「だから、ここじゃするなって言ってるだろ」

いつものようにキスしようとしてきたリボーンの唇を唇に掌を当てることで防いだ。
すると、すごく不機嫌な顔で言うからちょっと面白くなって言い返すと思いっきり腰を抱き寄せられた。

「ちょ、ちょっと…」
「いいのか?お前が拒否するからだぞ」
「っんぅ…」

俺が恥ずかしがってリボーンの腕の中でもがけば、手が唇から離れたのを見逃さずしっかり口づけられあまつさえ咥内を舐めまわして離れた。
一瞬とはいえ激しい口づけに腰が崩れそうになる。
そして、俺が目を回している間に頭をくしゃりと一撫でするとじゃあなと一言言って大門から出て行ってしまった。

「するなって、言ってるのに…」

何度言っても聞かない…。
呆れ半分、でもキスをされて嬉しさ半分な複雑な気分で店に戻ればオーナーからの呼び出しがあった。
一体なんだろうと部屋に行けば機嫌の良さそうな顔をしていた。
オーナーがそんな顔をしている時は、大抵良いことはない。

「綱吉、お前に朗報だ。身請けをしてくれる人が現れた」
「え?」
「上條様だ、いいだろう?あの人は財力もあって、お前を大切にしてくれる」
「ちょっと待って、でもあの人にはいつも縛られて…」
「縛られているだけじゃないか、独占欲の一種だと思えばとてもいい人だと思うが?」

突然のことに俺の頭がついていかない。
上條様というのは少し前から俺のことを気に入ってくれている客の一人だ。
あの人にはいつも抱かれるとき必ず手か足を縛られて、しかも怒っている時なんか突然突っ込んできたりするので俺としては遠慮したい客だったのに。
痛いだけのセックスが嫌になったのも、リボーンが俺を満たしてくれるようになったからだ。

「け、けど…俺あの人…怖いんです、お願いです…身請けを断ってください」
「お前がそんな権利あるとでも思ってるのか?碌に稼げもしないのに…それなら大金をかけてもらって身請けするのが恩返しってものじゃないのか?」
「ごめんなさい、でも…嫌だ…」
「……ふぅ、仕方ない…なら、上條様より大金を払ってお前を身請けしてくれる人が現れたらそっちにしてやってもいい」
「本当ですか!?」
「ああ、ただし…時間は一ヵ月だ。一ヵ月後のこの日までに現れなきゃ上條様に身請けされる…それでいいな?」
「………はい」

俺はオーナーとの話を終えて自室へと戻った。
途端に畳へとへたり込んでしまう。
あんな啖呵切ったのはいいが、俺はいったい何をしようというのか。
リボーンは好きだが、遊びで付き合っていると言われたら最後だ。
遊郭なんて遊びにくる場所だし、俺に囁いた言葉の数々も言葉遊びだと言われてしまえば、どうしようもない。
ただ、執行猶予を伸ばしただけ…。





「どうしたんだい?綱吉、顔色悪いよ」
「あ、ヒバリさん」

夕食の時間になり、仕事前にお腹を満たしていればヒバリさんが俺の顔を覗き込んで心配してきた。
この人はいつも他人はどうでもいいと思っているとばかり思っていたのに、しっかり見ているんだなとちょっと侮れない雰囲気を感じつつ同じ色子なのでためらいもなく身請けの話をしてしまった。

「そう…そのリボーンには身請けの話をするつもりなの?」
「いえ、俺のことを好きだと言ってくれますけど…嘘だって言われたら怖くて…」
「馬鹿だね、いいなよ。ここまで追い詰められているんだから」

食べ終わった茶碗を置いて優しく頭を撫でられる。
その暖かさはなんだがリボーンに撫でられたときに似ていた。
そして、そのまま綺麗な着物を翻して自室へと戻っていった。

「言わなくちゃ、駄目なのかなぁ」

玉砕を覚悟して言うのにはとても勇気がいる。
ヒバリさんに言われたことにも納得できるが、弱虫な俺にはできそうにないことだったのだ。
それでも、一ヵ月時間がある。
それまでにリボーンの本心を探ればいいことなんじゃないんだろうか。
リボーンに身請けを切りだしてもらえばいいことなのだ。
フェラテクには自信がある。
今までだって、リボーンは気持ちよさそうにしてくれていたんだ。
だから、大丈夫。
俺は無理やり自分を納得させると、席を立ち通りに面した魅せへと移動した。
いつものように座って客を待つ。
通りを行きかう人たちは毎日のように見る人もいれば、初めてなのかうろうろとしている人もいる。
そんな中で、この中へと入ってくれる人も確かにいるのだ。
いつものように売れっ妓から居なくなっていく。
牛時になればもう売れ残りばかりになっている。

「今日は、誰もこなさそうだな」

身請けの話が頭をいっぱいにしていて今日はとてもじゃないが身体を開ける気分じゃなかった。
だったら、誰も来ない方がいいと思い始めた時だった。
綱吉をと言う声が聞こえてビクリと肩を揺らす。
とてもよく知っている声だった。
嫌な予感に顔を上げるのを拒もうとしたが、受付から名前を呼ばれて仕方なしに顔を上げればそこには、問題の上條様がいた。

「綱吉、元気にしてた?俺の話しは、もうわかってるよね?」
「はい、突然だったので…驚きました」

機嫌の良さそうな上條様と部屋へと足を運ぶ。
身請けを断ろうとしていたなんてバレたらきっと怒らせてしまう。
怒らせたら、どんな仕打ちをされるか考えるだけでも身体が震える。
だから、俺はできるだけ愛想よく振る舞った。

「君に告白する前にこんな風になってしまってすまなかった。…綱吉、俺と一緒になってくれる?」

上條様と向き合って、真剣な瞳で見つめられて俺は言葉に詰まった。
ここで了承してしまえばオーナーとの約束の前にすぐにでも身請けが決まったしまうことは明白。
でも、この場を切り抜けるすべを俺は知らない。

「ねぇ、どうしていいよって言ってくれないの?」
「っ………」
「俺のこと、嫌いなの?」
「いえ、そうわけじゃ」
「ならどうして!?言えよ、俺が良いって!!」

やばいと頭の隅で警告音が鳴り響く。
けれど、俺には逃げることなんてできないんだ。
思いっきり肩を掴まれて布団へ押し付けられる。

「っい…」
「なぁっ!?なんでいわないの!!それとも、俺より好きなやつでもできた?」
「はっ…」

がくがくと揺さぶられて上條の声が俺の頭にガンガンと響いてくる。
何も言えずにいれば自分のネクタイを解いた上條は俺の腕を拘束した。
そうして、無理やり着物を脱がされる。
抵抗も虚しく足を開かされる。

「いや…やめてくださいっ…いっ…あ゛あ゛ああぁっ!!」

ひたりとあてがわれた熱いものに身の毛が失せるのを感じた。
身の危険を感じて嫌というも、それを聞き入れもせず一気に埋められた。
慣らされてもいないそこは身を裂くかというほどの痛みを伴って俺の中に居座っていた。
追いうちをかけるように俺のことを待つこともせず動きだし、自分の快楽を追い始めた。

「はっ…きもちいよ、綱吉…こんなに俺を悦くしてくれるのに…なんで、俺のところにこないの?」
「うっ…うぅっ…はっ、いっ…あっ…あ゛あ゛っ」

問いかけはするが返事は聞いていないのだろう、好き勝手に動いて俺が痛いのなんか知らないようだった。
もし、身請けされることになったらこんなことを毎晩のようにされるのだ。
それは嫌だった。
それだったら、嫌がられてもいいてもいい…リボーンに…打ち明けよう。

「ねぇっ、誰のこと考えてんだよ!!俺のこと考えろよ!!」
「うああっ…ああっ、ひっぅ…あぁっ」

俺の考えを打ち消すように腰を思いっきり打ちつけてくる。
目を開けて入れずに目を閉じれば浮かんでくるのはリボーンの顔だった。
こんなに、想っている…どうしようもないくらい。
この身が汚れようと、この気持ちだけは綺麗なままでいたい。
ほどなくして、一方的に欲望を中に放った上條は怒り交じりに俺の胸倉を掴んできた。

「綱吉、誰のこと考えてたのか言えよ」
「ひっ…誰も、かんがえていません」
「嘘だ、わかってるよ俺は。調べて消すから…綱吉が、ちゃんと俺を見れるように」
「なっ、待ってくださいっ…調べるって何をっ」
「そんなの簡単だ、ここの綱吉を買った人間の記録が残っているだろう。金をだせば見せてくれるよね」

上條の口から聞かされる衝撃の言葉に俺は首を振った。
もう、やめてほしい。
こんなことをされてしまえば、リボーンに迷惑がかかってしまう。
リボーンだけじゃない、何の罪もない俺にかかわった人たちが。

「身請け……喜んで、お受けします」

自分一人が犠牲になることで済むことなら…いくらでもこの身体を穢してやろう。
もう、綺麗なところなどどこにもありはしないのだ。

「本当だね?…なら、すぐに宴を開こう。予約が必要だから、一週間ぐらいは待ってもらうことになるけど…その間の仕事は、しちゃダメだからね?」
「はい…わかりました」

俺の返事を聞いて気を良くしたらしい上條はそのまま俺を抱き寄せてその日は眠ることで過ぎていった。
そして、次の日から上條の言ったとおり俺は休みをもらった。
身請けの宴が開かれるその日まで俺を逃がさないためだろう。
誰かに文を出すことも止められて、俺は閉じ込められてしまった。
こうなってしまっては、どうしようもなく俺はずっと布団にくるまって眠る日々を過ごした。
上條はというと宴の準備があるのかあの日以来くることがなくなってしまった。

「綱吉、いるんだろう?」
「……ヒバリ、さん?」
「身請けの話し聞いたよ、でもね…仕方ないから、僕がちょっと手を出してあげる。あの人も煩いから」

あの人というのはディーノのことなのだろう。
二人はいつも一緒に居る。
当然ヒバリさんも売れっ妓だから毎日何人もの相手がいるのに…何でディーノさんはそれを我慢できるのだろうか…。
それに、こんなに優しい。

「むりですよ、手遅れになってるし…」
「馬鹿だね、君はもう少し頭を使いなよ。まぁ、今使ってもいいことなんか浮かんでこないから寝ればいい」
「どっちですか」
「僕に、任せておきなよ。噂で聞いたんだけど…あの上條って男…相当な遊び人だ。何人もの娼妓を囲っているって話し」
「えっ!?」
「そんな風に娼妓を扱う人間、僕は気に入らない。だから、楽しみにしてて。君は僕の可愛い後輩だから」

俺が質問する前に楽しそうに笑ったヒバリさんは部屋から出て行ってしまった。
一体何をするつもりなのだろうか…。
まさか、リボーンが俺をさらいに来てくれる…とか。

「絶対、ありえない」

夢を見ているだけなら許されるかな、と言葉とは裏腹に布団に再びもぐりこんだ俺は優しさに少し泣いて。リボーンを想って、泣いた。




それから、なんの進展もなく身請けの宴の日が来てしまった。
やっぱり失敗してしまったのだろうか。
用意された上條が選んでくれたと思われる高そうな着物を纏った。
この日は特別だ、何もかも新しい。
少し唇に紅を塗って、身請けしてもらう人に一番綺麗な姿を見せ店の妓達にも見せた後、一番綺麗な姿で抱かれるのだ。
これで、後戻りはできない。
リボーンともあれっきり、なんの音沙汰もなくこのまま顔を合わせないで最後になってしまうことは心残りだけど…それで、よかったのかもしれない。
きっと、会ってしまったら自分が抑えきれないから。

「準備できましたか?」
「はい、今いきます」

迎えに来てくれた後輩たちの後を歩きながら目を閉じた。
リボーンに心の中でサヨナラを言った。
部屋の前までくると、息を整えて中に入る。
まだ、上條は来ていないらしい。
隣が開いたままで俺は座った。
暫くして、襖が開かれる。
連れて来たのだろうヒバリさんが最初に入ってきて、後ろにいた人物に目を見開いた。

「うそっ…」
「何が嘘だ?」

俺の言葉を受け流して我がもの顔で俺の隣へと当然のように座るのは、リボーンだった。

「なん…なんでっ」
「は?お前が欲しいからに決まってるじゃねぇか」

俺が戸惑うのも構わず宴が始まった。
派手に用意された食事を皆で食べながら別れを惜しむ。
ヒバリさんは満足そうな顔をしていて、俺を見ていた。
無礼講な雰囲気に俺はヒバリさんの隣に移動した。

「どうして、リボーンが…上條は」
「僕は、このことをリボーンに話しただけだよ。上條は…どうなったんだろうね?……さて、そろそろあの人が来る時間だから僕は抜けるよ。幸せになりなよ」
「はい、ありがとう…ございます」

詳しくは聞かされないままヒバリさんは俺の額に別れのキスをして、席を立って部屋に戻っていった。
時間を確認すれば、もう仕事が始まる妓達もいて宴は幕を引いた。
宴の部屋から移動して、布団の用意されている部屋にいけば二人きりの空間に心がほどけた。

「っ…ふっ……リボーン…」
「なんだ?…泣くな」
「泣くよ、リボーンがいる…リボーン、会いたかった。ずっと、ずっと…驚いたし、皆がいなかったらきっと泣き崩れてた…」
「今がそうなんじゃないのか?」
「嬉しいんだもんっ、もう…会えないかもって、怖くて…なんで、リボーンじゃないんだろうってずっと…長かったよ、一週間…もう、好きで…好きすぎて…怖かった」

自分が何を言っているもかもわからずにリボーンが頭を撫でて促すまま自分の気持ちを吐露し続けた。
ここまでの不安に耐えていた分だけ涙は止まらず、その涙をリボーンは優しく拭ってくれていた。

「言い忘れてたな…あいしてる、綱吉。俺に身請けされてくれるか?」
「…はい、喜んで」

リボーンの言葉にますます堰を切って溢れる涙を拭うこともせず俺は笑顔で頷いた。
そのままゆっくりと布団に押し倒される。

「そう言えば、お前…ヒバリにキスされてたな…」
「へ?あれは、挨拶だろ?」
「挨拶なわけあるか、俺に自慢して出ていったぞ」

目が挑戦的だったと言われてそんな風にしていただろうかと首を傾げるが、その感触を消すように顔中にキスをされた。
気持ちいい感触に目を閉じれば着物を一枚一枚脱がされていく。

「この仕掛け…もしかして、リボーンが用意したの?」
「当たり前だろ?よく似合ってる…やっぱりお前にはオレンジ色が似合うな」
「…もしかして、すごくお金使ったんだろ?」
「そんなの気にすんな。お前が俺の手の中に居る、これが良いんだからな」

確かに、綺麗な色だとは思うが…きっと、俺の想像もつかないぐらい大変だったんだ。
俺は労わるようにリボーンの頬を撫でて、キスをした。
俺をもらってくれて、ありがとうと感謝をこめて。

「んっ…ねぇ、リボーン…今日はずっと顔見たまましたいよ」
「奇遇だな…俺もそんな気分だ」

俺の軽いキスではなくて深く官能を揺さぶるような口づけを合図にして、行為が始まった。
まずは、突起を優しく摘まんで…だんだん強弱をつけてされるときゅんっと尖って腰が自然と揺れ始める。

「相変わらず、我慢の利かない身体だな」
「リボーンにだけだよ…リボーンだけ、こんなに感じるのは…」

焦らすことなく自身に触れて来たリボーンに息を乱して、俺もリボーンのものを握って同じように扱く。
お互いを高ぶらせて、我慢比べをしているような気分になる。
だが、最初に根をあげたのは俺だった。
仕方ないことだ、俺は快楽に従順だと自負している。

「ねぇっ…もっ…イっちゃう、から…これ、欲しい…なかに、そそいでっ」
「んなやらしい言葉を、教えてんのか?」
「店に嫉妬、しないでよ…あっ…くるっ、あぅっ…リボーンッ」

教えるのは店でも、行為の最中に言えるかは本人次第だと言ってやりたかったが、それはそれでいろいろ追及されそうなので言うのは止めて潤滑剤で濡らされたそこにリボーンが潜り込んでくる感覚を堪能した。
充分にならす時間もなかったが、俺の中は待ち望んでいたようで痛みを少し感じたが心が満たされていった。

「はっ…キツイ、少し…緩めろ」
「無理っ…リボーンが、ほしかったんだ…ここに、ずっと…ああっ、やっ…おおきく…しなっ…ふああっ、やあっ…きもちいっ」
「おまえが、煽ること…言うからだろっ…ふっ、いっぱいそそいで欲しいんだろ?」

リボーンの問いかけに俺は夢中になって頷いた。
リボーンが動く度に俺は感じて、いつもよりどこもかしこも感じるから自分がどこにも行かないように背中に掴まると力強く抱きしめられて、そのまま身体を起こして座って俺は重力に従いリボーンを奥深くまで入れられた。

「あああっやぁあっ…はふっ、ふかぁい…ああっ、うごかなっ、やっ…あ、たま…おかしく、なっ…ひゃああっ」
「なっちまえ、ここも…こんな、どろどろにしてんだろ」

深く入れた瞬間に俺は放って、それでも止めることなく腰を掴んだリボーンは待ってと言う静止の言葉も聞くことなく突きあげ続けた。
そんな強引なところにも俺はかっこいいと思ってしまっているのだから、もう何も言えない。

「んッ…ぅっ…ふあっ…あああっ、やあっ…もっ、くるしいよ、中に…ちょうだいっ、ほしい…リボーンのっ」

俺だけがイかされ続け、中が渇いたようにリボーンを締めつけ絞るように蠢くのを感じた。
それに、感じて息を乱すから…早くと耳元で囁いて甘く口付けた。

「ふっ…んっ…ツナ、イくぞ…全部のめ」
「あっあっ、リボーン…好き、すきぃっ…ああああっ」

思いっきり突き上げられた後最奥で放たれて感じたこともない感覚に俺は何度目ともわからないほどイって、くったりと意識を手放した。




「ツナ、起きろもう朝だ」

リボーンに揺すられて目を開ければ、部屋に朝日が差し込んできていた。
身体を起こして窓から外を見ればいつもより綺麗な陽の光のような気がした。
隣に寝ているのは、リボーンで…これからここを出る。
リボーンと一緒にだ。

「最後の朝だからな…目に焼き付けとけよ?」
「…うん。忘れないよ」

そして、俺達は着替えた後店を出た。
見送ってくれる人もいて俺は、つい泣いてしまった。
上の方を見ればヒバリさんが窓から見下ろしていて、目が合うと手を振ってくれた。
その後ろからディーノさんが顔を出して大きく手を振ってきた。
俺はそれに会釈して大門に向かった。
いつもは、ここまでしか来れなかった。
けれど、今日は違う。

「ツナ、こい」
「うんっ…」

リボーンと一緒にくぐったそこは、とても檻のようには見えなかった。
これからは、ずっと二人で。
この街のことは忘れはしないだろう、だからこそ…リボーンをずっと好きでいられる。
リボーンだけを…想い続ける。


END

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