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 君に素直



終わったらすぐに行くという言葉通り、リボーンの仕事が終わる時間の少しあと俺の待つ場所へと姿を現した。
リボーンは俺の顔を見るなり少し驚いた様子で俺にかけよってきて、顔を覗き込んだ。

「どうした?なにがあった?」
「大丈夫だよ、寝れなかっただけだから」

心配する声に笑って、上手に笑えていたかわからないけどとたん苦しくなって、泣きそうになる。
リボーンが来てくれてよかった。
こうして顔を見るまで安心できず、不安で、何度も泣きそうになっていた。

「俺のうち、きて」
「わかった、初めてだな。お前が俺を家に呼ぶのは」
「リボーンが初めてだよ、俺の部屋にくるやつなんか」

ホテルでは、眠れる気がしなかった。
少しでも俺のテリトリーにいれたかったのもある。
リボーンの手を引いて、にぎわってきた繁華街を歩く。
俺の家は、職場より少し遠い、リボーンから一番離れている場所だ。
そう思うと、俺とリボーンの間は遠いなぁと自嘲美味に思った。

「もしかしてさぁ、リボーン俺が他の男を誘ってるところ、みちゃった?」
「…ああ」
「だから、距離置かれたんだ。じゃあ、なんで今日きてくれたの?」
「別れ話なら、いつでも聞けるからな」

なんでもないように言われた言葉に、俺はますます苦しくなる。
だって、リボーンの声少し震えてるじゃん。
それは、俺と別れたくないって思ってくれてるって高望みしてもいい?

「残念だけど、別れ話じゃないよ。来るのやめる?」
「呼び出しておいて、卑屈になるな」

振り返れば、苦笑いを浮かべたリボーンが頭をクシャリと撫でた。
マンションについて、俺の部屋まで案内して中に入るがリボーンはまだ何をすればいいのかわからないようだ。

「コーヒーでも飲む?」
「その前にお前は寝ろ」
「無理だよ、俺寝れないから」

どうやって切り出せばわからなかったが、リボーンが寝ろと言ってくれたからすらりと出てきた。
自分にはホットミルクを作って、はちみつを入れる。
寝る前には飲んでみるのもいいと医者に言われたのを思い出して、時々作っているがこれも効果はない。
おいしいから飲んでいるという感じだ。

「なんでだ?」
「こういう体質になっちゃったんだ。誰かとセックスしないと寝れない」
「まさか」
「そう、そのまさか?寝れないから誰かとホテルに入らなきゃいけなかった」

これは俺にとって日常欠かせないことだったんだと苦笑すると、リボーンは疑うような目で見てきた。

「俺とはなにもなかったじゃねぇか、それに寝てただろ」
「それが不思議なんだ、なんでかリボーンの隣だと普通だった。まぁ、一回ださなきゃ無理っぽかったんだけど…でも、なんにも苦しくなくて、びっくりした」

時には手酷い扱いも受けてきた、疲れ果てて寝る事だってあったのに、リボーンの前では痛みどころか気持ち良くなれて眠れていたなんて。

「不思議だよね」
「その理由、お前はわかってんだろ」
「…うん、お試しじゃなくて…本気で好きになったっぽい」

わざとふざけて言ったけど、それを言うのに勇気が要って握りしめたマグカップが少し震えた。
リボーンを見ていられず俯くと、リボーンがこちらに歩いてくる気配がして顔を上げると顎に手をかけられて見つめられる。

「真っ赤だな」
「ねて、ないから」
「泣きそうな顔してか?」
「…意地、わるい」

せっかくこらえていたのに、涙を見つけられてしまえばとたんあふれて止まらなくなって、マグカップを取り上げられて、近くのテーブルに置かれると俺の身体をそっと抱き寄せてきて、暖かい胸に抱き込まれた。
じわっと何かが満たされる気がして、俺はそれにすがるように腕を回していた。

「リボーンがいないから、俺眠れなくて…誰かに寝かせてもらおうと思ったのに、もうそれも無理で…リボーンじゃないと、もう寝れなくなっちゃったぁ」
「泣くことないだろ、それならそうと俺を呼べばいい」
「だって、だってリボーン…忙しそうにしてたし、俺」

少し笑われて言われたのが悔しくて、鼻水をスーツにこすり付けてやるのにリボーンはそれすらも嬉しそうに受け止める。
全部リボーンのせいなんだ、と責任を押し付けるのに、リボーンは悪かったの一言で全部済ませようとする。

「ずるい、俺がいいたいのはそうじゃないのに…なんで、笑ってるんだよっ」
「なら、何をしてほしいんだ?」
「なにって?」
「俺たちは、とりあえず付き合ってる。浮気できなくなったって告白されて、喜ばない方がおかしいだろ」

とりあえず、というのにはもっともだと思ったが、嬉しいのかと気づいた途端自分がとんでもなく恥ずかしいことを言っていたというのにも気づいた。

「は、はなし…」
「はなさねぇ、寝るか?とびっきりきもちよくしてやろうか?」
「なに、ばかな…もー、やっ」

リボーンは甘くそそのかしてきて、耳たぶを甘噛んでくる。
舌が耳をなめまわしてぴちゃぴちゃと響く水音がそこから熱を灯しそうになって、必死に抵抗するのに俺の腕をとり離れることもままならない。

「寝たいんだろ?」
「寝たい…けど、ぉ」

リボーンのそれは大変たちの悪いものだ。
それに、なんだか俺ばかりが振り回されている。

「リボーンばっか余裕でずるい」
「信用できねぇか?」
「証拠、みせてよ」

俺と同じようにどうしようもなくなってるその証拠がみたいといえば、捕まえていた俺の腕をそのまま下におろして、とんでもないものを触らせてきた。
同じ熱を、教えるようにされて俺は頭が沸騰しそうになる。

「わかったか?」
「はずかしい…」
「恥ずかしいことしてんだぞ、ほら、ベッドに案内しろ」

急かされて、俺はリボーンを寝室に連れ込んだ。
ベッドに押し倒されて、もう抵抗するのもあきらめた。
それに、ようやく眠れると思ったら、嬉しくて自分だけの秘密だったはずなのに何もかもリボーンには離してしまった事実を知る。
本当は、誰かに教えてこうして助けてほしかったのかもしれない。
服を脱がされて、目の前で素肌をさらしてくるリボーンに手を伸ばして抱きついた。

「寝たいのももちろんあるけど、気持ち良くもなりたい」
「よくばりだな、全部かなえてやるよ」

両方とも余さずやる、とささやかれて小さくうなずいた。
もう待ってたんだ、ずっと、この時を。
だから、焦らさないでほしい。俺のほしいもの全部、中に欲しい。

「リボーン、俺のせいでこうなっちゃって…ごめんね」
「何言ってんだ、最初に言っただろ。俺から、お前に頼んだんだろうが、それを忘れるな」

目元をぬぐわれて、指が他へと移動する。
俺の感じる場所を探るように、撫でまわして、感じる場所は重点的に攻められた。
二回目なのに、リボーンは的確に俺のいいところを探ってきて自然と声があふれる。

「ひぁ、あっ…そこだめ、そこ…あっぁあっ」
「だめじゃねぇんだろ?おとなしく感じとけ」

中に入り込んだ指で、中のふくらみをなぞられるたび腰が逃げるのに何度も引き戻して丁寧に中を広げながら苛めてくれる。
シーツを握りしめて、理性がなくなりあられもない喘ぎを漏らしてもリボーンは嫌な顔一つすることなく俺の顔をじっと見つめていた。
恥ずかしいのに、指先に翻弄されてしまいには四つん這いになって逃げるのを腰を掴まれて後ろから入れられた。
正面から入れるよりも楽に入ってしまうそれに、抵抗もなく一気に来られて頭の中がかき回される衝動に泣き出すのもかまわず腰を打ち付けてくる。

「やだ、やぁっ…でちゃぅ、でるっ…そこ、しないで…ごりごりしちゃ、だめぇっ」
「それがいいのか?」
「ちがっ…やっ、やっ…あーっ、あぁああっ、でっ…!!」

でる、と声にならない声で最奥をその太いもので擦りあげられたとたん叫び、身体を震わせて白濁を放った。
ぎゅっと中を締め付けるとどくどくと中へ注がれる熱いものに腹を満たされた。
苦しい呼吸を繰り返しながら、そっと腹部に触れてそこからリボーンのものを触れているような心地で撫でるとゆっくりと中から抜けて俺はベッドに突っ伏した。
そして、呑み込まれるような酩酊感と脱力感。
リボーンの優しい声が、だんだんと遠くなる。
もう少し、リボーンの腕にいる心地を堪能したいのにともったいなく思いながら意識が途切れた。
何かささやかれた気がしたが、甘くて、くすぐったくて、何かわからなかったけどどうせ恥ずかしい言葉なんだろうと予想して、小さくばかと囁いていたようなきがした。



続く






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