パロ | ナノ

 我慢は身体に毒ですよ


すっかり冬も深まった二月半ば。
俺は一枚の紙を片手にリボーンの家に全力疾走していた。
白い息を吐き、正月でなまっていた身体を叱咤しながら早朝、ランニングをしている人しかいない商店街を抜けて、立派なマンションにたどり着きなれた手つきでリボーンのいる部屋のボタンを押すとロックを解除して中へと入った。
エレベーターに乗り目的の部屋の前に来ると、合鍵で鍵を開けて中に入る。

「ただいま、おじゃましまーす」

声を上げるが返事はない。
それもいつものことで、俺は寝室の扉を開けるとリボーンが寝ているベッドの上掛けを開けてギュッと懐に入り込み抱き着いた。

「ん…ツナか?」
「おはよう、リボーン」

今日は休日で、俺も学校はない。
あのクリスマスから五年もの月日が経っていた。
俺の身体はすっかりと大人の体つきになったのに、背はあまり伸びなかった。
両親とも背が高くないからしかたないのかもしれない。
リボーンは、リボーンで大学を卒業した後とある企業に就職し、三年目を迎えるところだ。
寝起きにもかかわらず、リボーンの手は俺の腰を撫でて抱き寄せてくる。

「今日だったか?」
「うん、今日だったよ」

囁くような優しい声に俺は持ってきたものを目の前に突き付けた。

「じゃじゃーん、合格しましたっ」
「俺が教えたんだ、当たり前だろ」

俺の努力もほめてくれるかと思えば、やっぱり俺の予想した通りの反応を返して突きつけた紙切れを取り上げるとベッドの下へと放った。
そうして、俺の髪に指を差し込み撫でてきて俺はそっと目を閉じた。

「ん…ふ、ぁ…んん」

誘うように薄く開いた唇の隙間から舌が入り込んできて気持ち良さに背筋がしびれる。
キスに夢中になって、もっとと自分からも手を伸ばすとリボーンの足が俺の足に絡ませられて片膝を立てさせられた。
情交の予感に俺は勝手に高ぶり、リボーンの手にこすり付けるように腰を動かしてしまった。

「そんなに待ちきれねぇのか?」
「あ、たりまえっ…あれから、ずっと…待たされたんだからなっ」

そう、俺とリボーンの誤解が解けてそのままなだれ込むかと思ったが俺の風邪が原因でその時はなかったことになり、一緒にいる機会は増えたがリボーンは俺に手を出してこなかった。
さすがに一ヶ月経ったときに不安になり、なんで抱かないのかと聞いた。

『お前、俺とお前の体格差考えてみろ、あの時より広がってんだろ。無理してけがさせられねぇからな、身体が出来上がるまでお預けだ』

信じられない言葉に、俺は正気の沙汰かとなじった。
その甲斐あって、ためしにしてみようとなったが十分な準備をしても俺の身体はリボーンのそれを受け入れることができなかった。
鋭い痛みは俺を泣かせて、リボーンは申し訳なさそうにだから言っただろといいながら慰めてくれたのだ。
それから、俺はリボーンの許しが出るまではとフェラと擦り合いぐらいで済ませてきた。
俺は高校生になり、毎年春の身体測定を楽しみにした。
リボーンは就職して、なかなか会えなくなったけれど休みの日はずっとくっついていた。
これまでも幸せだと思える日々があったと思う。
でも、一度知ってしまったら求めずにはいられない。
受験生になり、リボーンに勉強を見てもらいながら大学をリボーンが通っていたところにした。
俺の決意を確かにしたのは、何気なく口にしたリボーンの一言だった。

『受かってたら、褒美にしてやるよ』

普通の人がきけば、なんて上から目線なんだと起こり散らしそうだが俺にはそれが本当のご褒美だった。
死ぬ気に慣れなくても死ぬ気になって猛勉強した結果、今朝届いた手紙。
今日俺が持ってきたのはその合格通知だった。
その約束をもしかしたらなかったことにされるのかと心配していたが、そんなことはなくリボーンは俺の官能を引き出すように触れてくる。

「あっあっあっ…リボーン」
「キスしろ」

甘く命令されて俺は自分からリボーンにキスをした。
自分から舌を伸ばしてからませていると、リボーンが手を伸ばし上の引き出しをごそごそと漁る音が聞こえる。
温かい手が俺の服の中へと入れられて、心臓の上を撫でられた。

「走ってきたのか?」
「ん…だって、早く…みせたくて…」
「セックスしたくて、が本音だろ?」
「…だって、したかった」

過去はまぁ、少なかったとはいえ身体を重ねようと思えばすぐにできた。
身体が未完成というだけで、一番欲しいものを取り上げられる苦痛はつらい以外何物でもない。
素直に口にすれば、煽るなと咎められる。

「煽ってない」
「ツナ、お前だけが我慢してるとか思ってんな。俺だって、ずっと我慢してんだ」

早く中に入ってかき回させろ、とあからさまな誘い文句を口にされて、煽っているのはどっちだといいたくなる。
けれど、そんな余裕もないぐらい高ぶってしまってもどかしい刺激に半泣きの状態でリボーンの太ももに自身をこすり付けてしまう。

「だ、だめ…もう…ねぇ、リボーン…はやく」
「ちょっとまて、準備させろ」
「む、むり…いきたい、だしたい」

もう我慢も何もできないと首を振ってリボーンの首筋に顔を埋めて匂いをいっぱい吸い込んだ。

「あっあっ、ぁあっ」
「おい、一人でイくな」
「やっ、よくなっちゃう…さわって、さわってぇ」

焦るリボーンに申し訳なさを覚えるが、胸に添えられていたリボーンの手をもつれる手で前をくつろげた下着の中へ入れる。
甘い声でねだれば、盛大な舌打ちとともに自身を乱暴に扱かれた。

「ひっ、あぁあぁっ…いく、いっく…いくっ」

呆気なく吐き出してしまうと、リボーンはそのままズボンと下着をずらして足を使って一気に引き下げ、今吐き出したぬめりを後ろに塗りつけられる。
けれど、横向きだからか動かしづらくうつぶせになれと言われた。

「ん、まって…」
「ついでにローションもとれ」

のそのそと這いながらもう掛布は用事がなくなって枕の上に放り出されていたローションをリボーンに渡す。
俺の膝を立たせて四つん這いのポーズに恥ずかしくなるが、広げるにはこの方がいいとわかっているので甘んじて受け入れる。
手で温められたそれが吐き出したものでは足りないところに滑りを足して、好き勝手に中を行き来する。

「…ふ、ん…んん」
「ツナ、痛くねぇか?」

リボーンの言葉に枕に埋めていた顔をこくこくと振って頷いた。
俺は、そっとうしろを向くとリボーンと目があった。

「どうした?」
「あの…俺の身体、リボーン…いれられる?もう、リボーンと繋がれるようになった?」

ここでまたお預けにされるのは苦しくて泣きそうになりながら聞けば、頭を優しくなでられたと同時に枕に押し付けられた。

「ん!?」
「ったく、何言ってんだこの馬鹿野郎。煽んなっつってんだろうが」
「な、なに!?…ぁっ、やっ」

意味が分からない理不尽な苦しさに頭の中に?を飛ばしていればいきなり中をいじっていた指が二本に増えた。
ぐちゅぐちゅと恥ずかしいぐらいの水音が立ってぎゅっとシーツを握りしめていると、三本目が入れられる。
最初は少し痛いと感じたが、いじられているうちに慣れた。
リボーンはずっと観察しているらしく、俺は恥ずかしくてもう後ろを振り返りたくなかった。
じっとその甘痒い刺激に耐えていると、ゆっくりと指が抜けた。

「ツナ、今日は入れるぞ。いいか?」

ようやく許しの出た言葉に、俺は顔を上げて頷いた。

「どっちがいい?」
「リボーンの顔見ながら…したい」

ねだれば身体を反転させて痛いほどに立ち上がっているものをリボーンが押し付けてくる。
そこに感じる熱にうっとりとしたため息が出てしまい、手を伸ばした。
指を全部絡めるようにして握られ、ゆっくりと覆いかぶさってくる。
それと同時に中へと入り始める自身に、俺は顔をゆがめた。

「ツナ、苦しいか?」
「ん…けど、やめたら…うらむから」

もうこれ以上の我慢はさせないでほしいとリボーンの手を握る手に力を込めた。
リボーンは小さく笑って、握ってない方の手を俺の自身に添えてくる。
いきなりの刺激に驚いてリボーンを見れば、チュッとかわいらしいキスをしてこっちでも感じろと言われた。

「もう少し緩まないと中にいけねぇ」
「わか、った…はぁ、ん」

扱かれて素直に感じる。
自身へと集中している間にリボーンは少しずつ進んできて、ゆっくりと、しっかりとつながった。
ようやく入れ終えた時には冬だというのにお互いに汗だくで、つい、おかしく笑った。

「っ…笑うな、響く」
「いいよ?リボーンが好きに動いても。平気だから」

中をゆるゆると締め付ける動きは止められそうになくて、早くもっと満たしてほしいと訴える。

「ったく、俺の理性を舐めるなよ」
「な、ん…あぁあっ、やっ、いきなり」

恨めしそうに言われたかと思えば何とも凶暴な一言が発せられた。
怖いと思う間もなく中を突き上げられて、俺は目を回す。
入れてしまえば恐れていたものは何もなく、むしろリボーンに的確に感じるところを突きあげられて怖くなる。

「ひっ、やぁ、そこ…だめだめっ」
「いいんだろ?俺が感じる場所を知らないと思ったか」

何度か指を入れられて、探られたことはあった。
けれど、結局入れないならもどかしくなるからやめてといったことがあるからそれ以上何もしてこなかったがそれはこうして入れた時に的確に擦りあげることが目的だったのだといまならわかる。
感じすぎて逃げたくなって、握った手に爪を立ててしまうのもかまわず腰が物欲しそうに揺れてしまうのを止められない。

「やだ、やだぁっ、いく、でるっ」
「だせ、たっぷりかけてやる」

突き上げるたびに自分でも恥ずかしくなるぐらいの喘ぎが出るのに、リボーンはどこまでも嬉しそうで、最初はあっという間に二人とも上り詰めた。
息を乱したまま、弛緩した身体を投げ出していると一回出したぐらいじゃ萎えないリボーン自身がゆるゆると動き出す。

「ンン、ちょっと…なにして」
「明日休みだろ、気が済むまでやらせてくれ」
「えっ、まっ…やぁ、かきまわしちゃ…だめ」
「無理な願いだな」

即座に却下されて腰を掴み、再び穿ってくる。
もう無理だと首を振り、それに振り回されるようにして朝から昼過ぎになるまで喘がされていた。




目をあけると目の前に入ってきたのはリボーンの寝室の天井。
重だるい身体がどうしてこんなに痛みを伴っているのかを、うっすらと覚えている記憶が教えてくれた。

「腰…砕けるかと思った」

いや、立ち上がれそうにないのですでに砕けているのだろうが…。
久しぶり…というには、何世紀も越えてしまっているが再びあの充足感に浸れる時間が来るとは夢にも思わなかった。
確かに苦しかったけれど、結局やってしまえば同じことだ。
俺を抱きしめてまだ寝ているリボーンの寝顔を眺めながら幸せをかみしめる。
もう一度、恋をさせてくれるだろうか。
全部忘れて、じゃなくて…今度はちゃんと好きと正面から言えるようなそんな関係になりたい。
そりゃあまぁ、大衆とかあるがあのときに比べたら今の状況は俺にとって幸せとしか言えない。

「もっと、もっと一緒にいたいよ」

離れていた分を埋めるように…。
今度から大学生だから前から約束していたこの部屋に寝起きすることになりそうだ。
まぁ、両親の承諾がまだだが、そこは俺に任せろとリボーンが胸を張ったのでいき過ぎない程度には見守ろうと思う。
新たなる人生、また二人で…今度は、終わりまで一緒に居よう。

「ん…ツナ?」
「リボーン…好き」
「俺もだ…どうした、突然」
「うん、あのね…」

秘密を囁くようにそっと、懲りない俺の身体がうずき始めたことを打ち明けるように耳元に口を寄せた。




END







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