◎ 離れればいいんだ
「ひっ…ううっ……いた、いっ…んあっ…」
隣に住むリボーンに俺の弱みを握られてからというもの、毎日とは言わないが結構な間隔で俺は抱かれた。
それでも、リボーンのするセックスは乱暴で慣らされていないところに突っ込むものだから必ずと言っていいほど俺のあそこは切れていた。
痛みに耐えるような行為は苦しかったし、満たされもしなかった。
それなのに、命令で抱かれる。
今日もそうだ。
突然仕事中に部屋に入ってきたかと思えば、中をのぞいて締め切りそっちのけで俺を押し倒して、今に至る。
中に入ったリボーンの自身は普通の人より大きくより入念に解してもらわないといけないのだが、それすらも無視をする。
反論する暇も与えあられないのだ。
だから、俺はただ喘がされているだけ…もう痛みで喘ぎがホントに喘いでいるのかもわからないがこの苦しみから逃れたかった。
「リボーンッ、も…イって…イってぇっ…はあっ、うんんんっ…」
「はっ、仕方ねぇな…お前もイけよ」
「あっ…はっん…やっやっ、そこぉっ、かんじちゃうっ…あああっ!!」
嘘だけど、それで満足してもらえるなら俺は構わなかった。
演技なら、少しは自信あったし。
乱暴な手つきでモノを扱かれて無理やり吐き出されてそのときに秘部をきゅっと引絞ってやれば上から苦しげな喘ぎが聞こえて、中へとあつい飛沫が打ちつけられた。
呼吸も荒く、動く気力もなかったが俺はリボーンの下から自身を抜き取って出れば身体を隠すためにシーツを引き寄せた。
俺が許すのはここまでだ。
いくらリボーンが事後処理をしてやりたいと言っても俺は拒否してきた。
リボーンだけじゃない、バーで知り合った人とも俺が身体を全部許せる人間なんて誰ひとりとしていない。
それでいい、自分のことは自分でできる。
無言の時間が流れてどうしようかと視線を彷徨わせれば、偶然にもリボーンの服のポケットから携帯の着信音が鳴り響いた。
「早く出ろよ」
「チッ……なんだ…あ?…んなの無理やりやっちまえ」
いまだに俺はリボーンの職業がわからない。
時々こうやって誰かから電話がかかってきて、リボーンはそのまま話しながら隣の自分の部屋へと戻っていくのだ。
俺も俺で身体だけの関係のつもりだから何をやっているかとか、聞かなくてもいいと思っている。
それが一番、後腐れない関係だからだ。
俺しかいなくなった部屋で俺は一人立ちあがって、ふらふらとしながら風呂場へと向かった。
「っ…てぇ……病院、行こうかな」
シャワーで身体を流すと秘部がお湯に沁みる。
中に出されたものも洗い流さなくてはいけないのに、これではもっと酷くしてしまいそうだと痛みに唇をかみしめて耐えながら中の白濁を掻きだした。
身体が温まっているせいか流れ出る血が止まらない。
行き付けの病院は昔から俺が怪我をするたびに言っているから、俺のことをよく知っている。
この頃は仕事も軌道に乗って、遊びをしようとも思っていなかったので久しぶりだが薬ぐらいは処方してくれるだろう。
俺はため息をはくと身体を適当に洗ってそれだけで済ますと風呂場から出て描き途中だった漫画を眺める。
締め切りを見れば、なかなか追い詰められてきてしまっている。
これはもうリボーンに会っている場合じゃないと改めて認識すれば、俺はあるところへと電話した。
「よし、やるか」
次の日俺はホテルの一室に居た。
目の前には描き途中の漫画が下書きの途中で広げられている。
まるで小説家みたいだと感じながら、意気込むとそれに手をつけ始める。
ペン入れを始めるにはあの部屋では気が散って仕方がなかったのだ。
リボーンがくれば嫌でも相手をしなくてはいけないし、そもそも漫画を描いていると知られているとしても俺の居る前で見てほしくないというものもある。
だったらあの部屋をでて近場のホテルで一人静かに仕事をすればいいと思った。
一人の方が気楽でこの前までこんな生活だったのだからなにも困ったことはない。
それから時間を気にすることなく取りかかり過ぎたせいで、終わったころには五日が過ぎていた。
締め切りには間に合っているので、ファックスで原稿を編集部に送る。
その間に俺は久しぶりの外を味わうためにホテルの近くのコンビニへと買い物に出かけた。
適当に買って部屋に戻る。
仕事をしている間、お腹がすいたらバターロールを食べるという食生活をしていたせいでなんだか身体が軽くなっている気がする。
あまり寝た記憶もないから寝不足もあるのかもしれない。
部屋に戻ってお湯を沸かし、カップラーメンを作ってすする。
身に沁み渡るような感じがしてほうっと一息つくとリボーンを思い出す。
何も言わずに出て来たが大丈夫だっただろうか…。
俺がいない間に近所に変な噂流されて居たらどうしよう。
今更ながらそんな心配が浮上するが、食べ終わってベッドに寝転がっていると瞼が重くなってくる。
するとパソコンにメールが届いて、慌てて開けば担当の藤崎さんからで原稿の完了メールだった。
これで安心だと、再びベッドに戻れば今度こそ俺は眠りに就いた。
「ん………」
唇に何か触れる感触がした。
何故か、暖かいはずなのに…冷たくて、そのあとに俺を呼ぶ声が聞こえた。
だんだんと頭が覚醒してくれば、その声がリボーンのものだとわかった。
綱吉、綱吉、と俺を呼んでいるはずなのに小さな声で自信がないようにも、俺を起こさないようにしているようにもとれる。
こういうとき一体リボーンは何を考えているのかよくわからない。
目を開ければ、案の定リボーンがいて俺を見ていたにもかかわらずさっと顔を逸らしてしまう。
「リボーン……あれ?なんで、いるの?ここの場所、教えてないよな…?」
「探したんだ、お前が何日も帰ってこないからな。どこかで野たれ死んでるのかと思っただけだ」
「そう…まあ、生きてるけど…。あー、まだ眠いや。……するの?」
ようやくリボーンがいるのがおかしいと気づくが、リボーンはおおざっぱに答えただけで俺の顔の横に手をついて見下ろす形で居るから欠伸を噛みながら問いかける。
すると、無言で胸に手を這わせてくるからこれは了承と言うことだろうか。
身体の方は休んだとはいえあまり無茶はしたくなかった。
リボーンに触れられない間に、薬を塗っていたから少しは良くなっているがちょっと不安が残ると言うところか…。
だが、リボーンの手つきからしてききっと今夜は激しくされるんだろうなと予想すれば、無駄な抵抗をするより身を任せてしまえと身体の力を抜く。
「リボーン、痛く…しないで」
「そうだな、今日は優しくしてやってもいい」
そう言って降ってくるキスは優しいもので初めて味わうものだったのに心が小さくしびれた。
俺はリボーンの首に手を回して引き寄せる。
キスは欲しい、もっと…貪るぐらいに。
リボーンのキスはなんだか不思議だ。
無理やり抱くときは噛みつくように激しくて食べられてしまうかのような恐怖があるのに、少し優しい気持ちが垣間見えると包み込むように甘い。
俺は自分から舌を絡めた。
リボーンからも絡められて強く吸われるとそれだけで脳がしびれた気がした。
「やさしいの、すき…」
「優しいのだけ、だろ?」
リボーンの言葉に何のことなんだろうとしびれたままの脳では上手く考えることもできず首を傾げればもういいと服をたくしあげられて突起に吸いつかれる。
甘噛みして、ちゅっと音をたてて吸われる。
甘くしびれるままに腰を押しつけるようにすれば、じらすことなく自身に触ってもらえる。
嬉しくて、自分もリボーンのものに手を伸ばせばズボンの上から扱く。
「ツナ、それは止めろ」
「な、で?…きもちい、だろ?」
「いいから、お前は感じてろ…今日は感じさせてやる」
なんだか意地になっているような声に、ますますよくわからなくなるが触ってもらえるだけで良いなんてなんていいことなんだと楽観的な思考でリボーンの与える快楽に素直に感じていた。
「あっ…はああっ…やだぁ、もっ…しないでっ、いれてっ…」
疲れているのに、眠いのに…そう言っていたはずの俺はどこに行ったのだろうか。
微弱な電流を流されるように決定的な刺激がないまま身体を嬲られ続け、最初こそ心地よいと感じていた愛撫が今となってはもどかしいことのうえない。
やっと秘部へと指を入れてもらったと言うのに、ローションをたっぷりと垂らして痛みを感じないまま前立腺をこれでもかと擦られて身悶えた。
「優しくするって言っただろうが」
「やだっ、いたくていっ…ねが、ほしいのっ…ああっ、とける…なか…あつくなって、ふといの…ほしい、のっ…うあんっ、あぅっ…はあっああっ…」
行き場のない快楽をどうにか受け流そうとぱさぱさと頭を振るがシーツに打ちつけられただけでどうにもならず、ギュッとシーツを握って引き寄せなんとか自分を保とうと必死だった。
自身の先端からは止めどなく先走りが溢れててらてらと光っていやらしい。
いつまで続くのかと思ったところでやっと二本目の指が入り込んでくる。
途端に圧迫があって、ようやく一回イくことが許された。
だが、止めるつもりはないのか放った後でも構わず指を蠢かせて中を広げるようにしているから多分リボーンが入る準備をしているんだろう。
それまで、自分は意識を保っていられるか不安になりながら与えられる快感は嫌じゃなかった。
「ねっ、なんで?…いれて、いっのに…」
「切れてんだろ?俺はお前を壊したいわけじゃねぇからな…だから、もう少し開くまで我慢しろ…それもこれも、お前が仕事でこっちを疎かにした付けだ」
「ひどっ…おれが、どれだけ…ふあああっ、やぁっやっ…んっ、だ、めぇっ…」
優しい言葉を掛けてくれたと思ったらニヤリと嫌な笑みを浮かべて感じる場所をぐちゅぐちゅと卑猥な水音をたてて責め立てられる。
その刺激に反応してきゅっと指を締めつけてしまう慣らされた身体。
腰も淫らに振って、もっととリボーンを誘う。
俺の頭ももう熱くて太いものが欲しかった。
あの、どうしようもなく大きなもので中を思いっきり擦られたい。
指でもこんなに感じる状態で、どうなってしまうのか怖いと思うのに好奇心が勝る。
「もぉ、だめ…指じゃ、足りないっ…ねぇ、ちょうだい…それぇ、ほしい…のに、リボーン、の…ほしい」
「綱吉……少しは、こらえろ」
「むりだも、ほしくて…まてないっ」
甘えた声をだしていると自分でもわかっているが、甘える癖は自然とついてしまったもので今更治すことなどできないだろう。
それに、リボーンも満更でもない顔をしている。
なんで、こんなになっているのに我慢しているのだろう?
さっきから俺の足に擦れる自身は熱く堅くなって、その熱さに触れられるたびきゅんっと秘部が疼く。
もう、駄目だと思った時ようやく指が抜けていった。
空洞になったそこは今か今かとリボーンの熱いものを欲しがって、腰が緩く揺れる。
「こういう焦らし方もいいもんだな」
「あそぶなって、ばぁ…あっ…あぅっ…んーっああぁあぁああっ」
リボーンは楽しそうに笑った後、自身を取り出すと秘部に擦りつけたと思ったら一気に中へと入ってきて、慣らされていなければまた裂けていただろうそこは柔軟に受け入れ、とてつもない快楽に入れた途端二度目の果てを味わった。
それなのに、リボーンは手加減もなく突き上げてきてそのたびに白濁を吐き出した。
「あっあっ、あぅっ…ふぅうっ…ああぁあっ、やっあぁっ…もっ、イった」
「まだ、だ…中に出させろ」
「ふあっ、やっ…こわいっ、こわっ…あーっ、あああぁあっ!!」
「ばっ…かやろっ」
際限なく与えられる快感に、俺はもう耐えられなくてリボーンの腕に爪を立てて握りしめるが、前立腺を突かれた途端何かが決壊するように俺は強制的に意識を手放していた。
遠くでリボーンの舌打ちを聞きながら…。