パロ | ナノ

 答え合わせのキス

「はぁ…」
「今度は何が原因だ?」
「え…?」
「俺を振って、ため息つくとはどういうことだ」
「あ、あはは…ごめん」

授業が終わってもぼーっとしていたらしく、俺は高梨に声をかけられて首を傾げた。
振ったというのはこの前のこと。
そもそも、俺は高梨が俺を好きだったなんてほとんど知らなかったのだから振った感覚もあまりない気がしている。
というか、リボーンと付き合う=振るという感じなわけだ。
それに、今までとなんら関係が変わったわけでもないのであまり意識はしていなかったりする。

「で、何でため息?」
「…あー、いや…これって人に言いづらいんだけど…」
「…ははーん、なんだリボーンが絶倫で仕方ないとかか?」
「だったら、まだよかったよ…っ」

高梨の言葉につい言葉を漏らしてしまってばっと口を自分の手で塞ぐ。
そう、リボーンはあの日以来俺に触ってこないのだ。
一緒にゲームをやっていてもいつもの調子だし、夜だってたまに寝る前部屋に行ってキスするぐらいで触ってくることをしない。
それに、名前で呼ぶのもあれきりないのだ。
もしかして、やっぱり嫌だったんだろうか…。

「……もしかして、逆…?」
「いや…気にしないで」
「まぁ、ツナがいいって言うならいいけど」
「うん…大丈夫だから」

もうこの話題を友達にできるはずもなく俺は次の授業の準備を始めた。
正直なところあれから一カ月になろうとしている。
あれだけ煽られたのに、何もないというのはキツイものがある。
昨日なんてリボーンが俺を組み敷く夢を見てしまったのだ。
欲求不満なんてどころじゃない、俺の身体がリボーンを求めていた。
それなのに、触ってもらえない…言葉も、好きと言ってもらったのはあれきりだ。
リボーン…本当に俺のこと好きなのかな…。
悶々とする思考回路に、俺はまた小さくため息をついた。




「…やりてぇ」
「お前、それ恐いよ」
「は?」
「女子が聞いたら引くぜ?」
「そんなの関係ないだろうが」

小さく呟いた言葉だったが、友達にはしっかりと聞こえていたらしい。
同じクラスで小西という男だ。
唯一俺に普通に話しかけてくる男だったりする。
俺はというと学校ではあまり喋らないしツルまない。
そもそもあまり興味ないことだ。
でも、小西がこうして一緒にいることでつまらない学校生活もまぁまぁ楽しめているのも事実だ。
で、さっきの話に戻るわけだが…やりたいというのは勿論兄である綱吉のことだ。

「誰をやるんだよ。不穏すぎる」
「関係ないだろ」
「なんだよ、またそこらへんの女か?」
「…本命が手に入った」
「うっそ、マジで!?あれほど本命は無理だって言ってたくせに」

おめでとうっ、と自分のことのように喜ぶ小西にクスリと笑みを浮かべる。
こいつのこういうところは嫌いじゃない。
だが、問題は解決しないのだ。

「なぁ…お前なら、二人きりになるために何をする?」
「えー?…だったら、こんなのは?」

なにかこいつからでも知恵をもらえたらと問いかければ、耳を貸せと言われてこそこそと耳打ちしてくる。
その提案に俺は笑みを浮かべた。
今週末ぐらいには…整いそうだ。

「小西、ありがとな」
「いえいえ、今度ハンバーガー奢り」
「気が向いたらな」

俺はさっそくケータイを取り出し、準備のために検索機能を最大限に駆使した。
俺がここまで我慢しているのは気が向かないとかではない。
初めての身体なのはわかっているし、そもそも知識だって自分にはないのだ。
それで誰かのいる家で気を張りながらできるかと言えば、無理だ。
こういう時ばかりは、自分が綱吉と同い年ではないことを恨みたくなる。
アイツは絶対俺を弟として見るし、恋人であっても変わることなんてない。
それは変えられない現実だということは、嫌というほど思い知った。
授業が終わって、帰る時間になればいつものように家路を急ぐ。
とりあえず、両親にはゆっくりと休暇を楽しんでもらおうと俺は考えた。




「じゃあ、いってきまーす」
「いってくるから、二人ともしっかり留守番してるんだぞ」
「わかったよ、子供じゃないんだから」
「大丈夫だ、俺がいるからな」

休日、両親は突然旅行の招待券があったからと出かけることになった。
ペアでご招待らしく俺達は留守番。
二人きりと聞いて俺は期待してしまっていた。
母さんのいない二日分の食料を買うためのお金をおいて二人は楽しそうに出かけて行った。
たまには二人でゆっくりとした休日を過ごしてきてほしい。
二人を見送った後二人きりになった家で、リボーンはさっそく出かける準備をしている。

「え、どこか行くのか?」
「買い物、先に買っておいた方がいいだろ?どうせ、兄貴はゲームクリアするために俺の部屋占領するんだろ」
「あ…そうだね」

リボーンに言われて最近始めたRPGのゲームを思いだせば、それをクリアするためにリボーンの部屋にいようと決めていたため、思い立ったように頷く。
言われれば先に買っておいた方があとあと外に出ることもしないで休日をめいいっぱい満喫できるというものだ。
俺も急いで支度をすると二人で家を出た。

「ご飯なににしようか」
「作れるものだぞ」
「リボーンが作るの?」
「少しはできる、兄貴は何作れるんだ?」
「俺?俺は…目玉焼き…とか?」
「焼くだけじゃねぇか」

くすくすと笑われてつい恥ずかしくなる。
だったらリボーンはたくさん作れるのかよと聞けば指折りレパートリーを上げていかれて俺は慌ててもういいとストップをかけた。
もうそこまで行くと男の料理だ。
とりあえず、休日ご飯に飽きることはなさそうだ。
近くのスーパーで食べたいものを考えながら食材を購入しゲームのお供にお菓子が食べたいと言ったら太るからやめろと言われ、リボーンはリボーンで途中どこかに行っていたようだ。

「たくさん買ったなぁ」
「まぁ、余ったら母さんが何とかしてくれるだろ」
「そっか」

結局は母さん任せなのは仕方ないかと笑って二人で家に帰る。
二人きりの家は少し寂しい気もしたが、期待してもいいだろうか。
たくさん、聞きたいことがあるのだ。
それを全部聞いてもいいだろうか…。
もしかしたら、この無邪気な笑顔をなくさせてしまうかもしれない。
楽しい休日なのにそれを台無しにしてしまうかもしれない。

「兄貴、どうした?」
「あ…う、ううん…なんでもない」

顔を覗きこまれて慌てて首を振る。
今から心配させてどうするんだ。
もう、いろいろ忘れるためにゲームしよう。

「早く帰ってゲームしようかなって」
「そうだな、兄貴苦手な面だし」
「うるさいなぁ、お前がなんでもかんでもできすぎるんだろ」

他愛ない話をしながら帰るなり、二人してリボーンの部屋にこもった。
リボーンの指示のもと進めていきながらつまっていたところもクリアできてひと段落ついたころ晩御飯を食べた。
そのあと風呂に入るかと言われてすこし悩んだ後に頷く。

「…リボーンは?」
「俺は片づけてから入るから、先に入れ」
「そう…わかった」

まったく甘い雰囲気のない言葉に俺は少し沈みながらも風呂に向かった。
冷たいタイルに足をつけば身体が縮こまりそうになる。
急いでシャワーを出して暖まるとしっかりと身体を洗う。
両親がいないから今日はリボーンのベッドで寝てもいいだろうか…。
触らなくても一緒に寝るぐらいは許してくれるかな。
さすがに、一人は寂しい。
浴槽に入れば肩までしっかりと沈んで身体をあっためる。
ぬくぬくとした感覚に頭がぼーっとなってくれば逆上せる前に風呂から出ていく。

「しっかりあったまったか?」
「ん…」
「なら、俺の部屋で待ってろ」
「っ…」

風呂から出れば今から入ろうとしていたのだろうリボーンが入ってきて入れ違うようにリボーンが俺の頬を撫でてくる。
それに頷くと不意打ちにちゅっと音を立ててキスをされた。
眠くなりかけていた意識が一気に覚醒し目を見開いてリボーンを見れば、くしゃりと頭を撫でられた。

「なんだよ?」
「…いや…まってる」

あの時の声音に不覚にもどきりとときめいて暴走しそうになる身体を押さえてリボーンに部屋に向かった。
ベッドに顔を埋めて肺いっぱいに匂いを吸い込むとたまらない。
もっとと求めるようにベッドに丸くなって枕を抱く。
とうとう変態になりさがってしまったかと呆れるもリボーンが戻ってくる時には元に戻せば大丈夫だと思っていたが、すぐに足音が聞こえ、リボーンが入って五分も経ってないよなっとおろおろしている間にドアが開かれた。




「なにしてんだ?」
「え…これは、その…」
「そんなに待ち切れなかったか?」
「……そう思うなら…なんで放って置くんだよ」

濡れた頭を適当に拭いただけで下着一枚という姿だ。
急いできてくれたのはわかるが、昨日までの態度と違うじゃないかと言えばベッドに乗り上げて俺の顔の横に手をついて見下ろしてくる。

「準備がなかった、それと…綱吉に、痛い思いさせたくなかったんだ…恰好つけさせろ」
「恰好つけなくていい…それに、毎日キスしてくれるだけでも好きって言ってくれるだけでもいいんだ…何もしなくてもいいから、ちょっとは好きって言って」

リボーンが話すたびにちゅっちゅっとキスをされていつにない甘い雰囲気に、リボーンが俺を大事にしてくれようとしてくれるのは伝わってきた。
けれど、俺には昨日までのことがくすぶっていて寂しかったとリボーンの頭を引き寄せて自分から口付ければ確かな動きを持って俺の中に舌が侵入し、咥内をくまなく舐められた。

「っ…ん…ふぅ…」

キスが心地よくて声が漏れればリボーンの手が俺の服の中に忍び込んでくる。
胸を触られて、女の子じゃないのにと考えながら突起を摘ままれるとそこからじぃんと痺れるように感じたことのない感覚が押し寄せてきて、俺は思わず息をつめた。

「好きだ…好き、好きだから…兄貴…」
「なまえ、呼んで…リボーン…」
「つな、綱吉…」

切なげに呼んでくる声に胸が締めつけられた。
今からこんなにときめいてしまってこれから大丈夫なんだろうかと心配になりながらリボーンの手に身体を委ねる。

「どう、すればいい?」
「うつ伏せに…」
「う…リボーンの顔見てたい」
「文句言うなよ…」
「文句言う、ね…」

うつ伏せなんてリボーンが見えない上に何されるか心配で嫌だと首を振れば困った顔で戸惑っている。
いつも完璧主義に近いリボーンの意外な顔に俺は内心嬉しくて仕方なかった。
譲らない俺に諦めたリボーンはベッドの近くの引き出しからゴムとローションを取り出した。

「ローションはわかるけど…なんでこれ?」
「シーツ汚したら不審がられるだろ」
「あ、そうか…あっああっ…やめっ」

リボーンの言葉に納得すると雑談は終わりだと言わんばかりにリボーンの手が突起を摘まみあげた。
堪らない快楽に思わず声を上げてしまえば自分の声に口を塞ぐ。

「声、聞かせろよ…綱吉」
「ぅ…ずるっ…はぁっ…ああっ…やめ、あっそこ…だめっ」

耳元で送り込まれるような吐息に背筋を震わせて片方の手が俺の自身に絡みついてくれば自然と腰を突き上げる動きをしてしまう。
そのうちくちゅくちゅと聞きたくないところから水音が響いて恥ずかしい、やだと繰り返しながらだんだんと我慢ができなくなってくる。

「リボーン、りぼーん…イっちゃいそうっ…イくっ…」
「だせ、一回イっておいた方が楽だ」
「あっあぁぁああぁっ!!」

わかったような口調でますます追い詰められればあっけなく自身がはじけて大量の白濁でリボーンの手を汚した。
はぁ、はぁと呼吸を整えている間に白濁とローションを纏った指が忍び込もうと秘部をつついた。
初めての感覚に訳がわからず必死にリボーンの手を掴んでいたが太ももに熱い体温を感じてふっと視線を下げると、下着の上からもわかるほど張りつめていた。

「リボーンも…感じてくれてるんだ」
「当たり前だ…俺は、これでも我慢の限界なんだ」

よく見ると汗だくになっているリボーンを見つけてしまえばくすりと笑みを浮かべて手を伸ばして頬を撫でる。
必死の俺に追いつこうと背伸びをしているんだと気がついて愛しさが溢れてくる。
なんで、こんな俺に惚れてくれたのだろう。
リボーンなんて俺にはもったいないぐらいなのに…。
すると、待ってられないと指がぐっと入ってきて苦しかったが滑るお陰でいくら締めつけてもくちゅくちゅと指が出し入れされ、そのたびに感じる場所らしいところを撫でられて堪らない気分になる。
こんなに感じてもいいのだろうかと心配でリボーンを見つめると愛しげな瞳が俺を見つめていた。

「っ…すけべ…」
「かわいい…お前の全部見せろ」
「あっ、そこ…やぁっ…」
「感じるんだろ?沢山してやる」
「ふっああっ…だめ、だめっ…かってに、うごいちゃっ…」

指が感じる場所を的確に突き上げ始めれば堪らないと首を振って逃げようと腰を引けばもう片方の手が腰を支えてますますそこを刺激してくる。
すると、あまりの快楽にカクカクと腰が自然と突き上げる動きを模して揺れ始める。
それを見られたくなくて枕を引き寄せ顔を隠すが、小さな舌うちが聞こえて支えている手を離され枕がベッドの下へと放られた。

「やっ、みちゃ…ああっ、ひあっ…やぁあっ」
「全部見せろ…つな…」

恥ずかしいのに、リボーンの言葉に応えるようにリボーンを見た。
すると口でゴムの袋を破るところをみてしまい、すぐさま顔をそらす。
なんでそんな仕草もかっこいいなんておもってしまったのか…もう自分が変態の域まで達しているのかと思うと少し哀しくなる。
ゴムをリボーン自身と俺の自身に被せると指を抜かれて、腰を調節して秘部に熱いものが触れた瞬間、リボーンの手を握っていた。
恐くないなんて…そんなことはない。
あの大きさを見れば痛いのだってわかるし、リボーンだって緊張しているのはわかってる。
けれど、結局は一緒に気持ち良くなりたいのが一番なんだ。

「すき…りぼーんが…すき」
「俺も、好きだ…綱吉…」

優しい言葉と共にズッと入り込んできたものに思いっきり身構えてしまい、入ってきたリボーンを思いっきり締めつけてしまう。

「っ…つな、きつい…」
「はっ、ごめ…む、り……」

痛くしているのはわかるからできるだけ力を抜いてやりたいのだが、身体が全く言うことを聞かない。
どうしたらいいのだろうと涙で滲む視界を必死に瞬きしてリボーンを見つめると、唐突にキスが欲しくなる。
あの、甘い唇が欲しいとリボーンの握った手を引き寄せると指先を舐める。
すると、ゆっくりと近づいて唇が触れてすりすりと擦り合わせるようにすれば、いくらか緊張が解けてリボーンが再び中に進んでくる。

「おねが…」
「ん?…どうした?」
「やめちゃ、やだから…んっ…ね?」
「…もう、やめられねぇよ」

リボーンの言葉を聞くなり安心して、ほっとしたのもつかの間縮こまっている自身を掴まれて大きいリボーンの手で再び扱かれる。
すると、中の締め付けが緩んだのか腰を揺らされて二つの刺激にどちらが感じてどちらが痛みを覚えているのかが曖昧になり、快楽の方が勝ってしまえば限界は近かった。

「ぁ…やだ、イっちゃう…でるぅっ」
「つな、つな…すきだ、愛してる…」

感じるままに一気に押し上げられ、ゴムに白濁を放ち中でリボーンがぐぐっっと膨らんで一気に熱くなった。
耳元で甘い言葉を吐息を感じながら、疲れ果てて俺はそのまま意識を手放していた…。




「…恥ずかしい」
「兄貴、いい加減出て来いよ」
「お前、良く普通にしてられるよなっ」

次の日、夕方には帰ってくる両親にどんな顔をしていいかわからず混乱する俺とは裏腹にリボーンはとても満足そうな顔をしていて、ベッドから出られないまま俺はリボーンに拗ねて背を向けていた。
リボーンはご飯を作ったらしく俺をベッドから出そうと甘い声で急かしてくる。
なんだこの甘いのっ。
ありえない光景にもう、どうしようかと戸惑う。
母さんや父さんも困るけど…高梨が一番困るかもしれない。
意外に鋭いあいつに俺はこのことを隠せる気がしない。

「ばかぁ…」
「すまん…でも、あいしてる」

誰が、こんな弟に育てたんだっ。
どこまでも甘い腕に引かれながらしぶしぶ身体を起こすまであと三十秒…。








「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -