◎ ミルフィーユ
「「ライブ!?」」
「うん、してみたいでしょ?」
ドルチェ復活、再活動をし始めて三年が経とうとしていた。
綱吉は相変わらず、綺麗な高音を響かせて俺はというとドラマやバラエティの方もある程度兼用してちょっとずつ歌を出していた。
三年経ってようやくアルバムをだそうという話しになり、それにあたって社長に呼び出されていたのだが、そこでライブをやってみないかといつもの嘘くさい笑顔で言ってきたのだ。
勿論俺と綱吉は驚いた。
俺はともかく、綱吉はあれ以来復帰してもずっとファンの前にすら顔を出さなかったのだから。
「してもいいのかよ」
「俺がいいって言ってるんだから良いに決まってるでしょ。それより、綱吉君きみはどう?できそう?」
「…できれば、やってみたいです」
「よしよし、一ヵ月後予定入れてあるから。衣装合わせとか、大変だけどよろしくねぇ」
一ヵ月後と言われて、俺達がもうライブに同意する予定だったんじゃないかと社長の根の回しようにため息をついた。
まぁ、こんなことにも慣れ始めてしまったのだが。
「君がライブやりたがってるの知ってたからね、うれしいでしょ?」
「人の心読むなッ」
「俺、そう言うのは得意だから」
嫌な自慢をされてますますため息をつきたくなったが、ライブと言われて素直に喜んでいる綱吉を見てしまえば俺はだまるしかない。
綱吉はなんだかんだいいつつ皆の前で歌いたいと思い始めていたから、今の時期にして正解ではあるな。
「もうチケット完売してるし、頑張ってね」
「…そうかよ」
「がんばりますっ」
社長の自分勝手には早くなれないとと思うのだが…一生かかってもなれそうにないのは俺だけだろうか…。
そのあと、アルバムに収録する曲などを検討してマネージャーに案内されるまま衣装選びもして早急に準備がはじめられた。
「まったく、いつもいつも突然なんだよ」
「まぁまぁ、俺嬉しいよ?ライブ」
「そりゃ、俺だって嬉しいが…もう少し手順とか段取りとか…ゆっくりするもんだろ」
「あんまり時間かけ過ぎると…俺の決心が鈍るからじゃないかな…とか」
事務所からの帰り道他愛ない話しをしながら歩いていれば、綱吉はすこし照れくさそうに頬を掻いた。
俺は綱吉を見つめれば苦笑を浮かべる。
まだ、こいつは誰かが恐いのだろうか。
理不尽な感情を押しつけられて恐怖した記憶はやはりそう簡単に拭いされるわけでもない。
俺は綱吉の頭をくしゃりと撫でて肩を抱き寄せた。
もう辺りは暗くて男と判断できたとしても俺と綱吉だとは誰も気づかないだろう。
「リボーン」
「黙ってれば、誰かなんてわかるわけねぇだろ」
それに、もう公にしたようなものだ。
もう俺達の関係をとやかく言う奴等はほとんどいない。
それすら、まだ綱吉はわかっていないのだ。
それを早く教えてやりたい。
俺は綱吉のこめかみにちゅっとキスをして綱吉のマンションにつけば部屋まで送る。
「泊らないの?」
「明日仕事だ。お前は喉の調子整えとけよ。ライブ前に風邪とかひいたら許さないからな」
「そんなことにならないようにするよ」
「おやすみ」
「ん……」
玄関で言われて揺らぎそうになるが、俺は明日早い時間からロケに向かわなくてはならなくて苦笑を浮かべた。
せめて接触だけでもとキスをして離れるが物足りなさげな視線を向けられて綱吉の腕を引く。
「えっ」
「んな物足りねぇ顔すんな」
抱きしめて耳元で囁いてやればうっと恥ずかしそうに背中に腕を回してくる。
最近はまったく相手できてないから抱いてやりたいと思うのだが、時間がない。
これも社長の策略かと勘ぐれば、あながち当たっていそうで怖い。
「…リボーン、いいよ。俺待ってるし」
「俺だって溜まってんだぞ」
聞き分けよく離れようとするのを腰を抱いて引きとめた。
そんな風に甘えられて煽られない方がどうかしてる。
チッと舌打ちすれば綱吉の身体を壁に押し付けるようにして噛みつくようにキスをしかける。
「んっ…ふぁ…んんっ…」
「ここ、もうこんなだぞ」
「だって…ぇ……どれだけ…っ」
キスだけで反応を始めた身体を指摘してやると半べそになりながら肩を叩いてくる。
どれだけ、ヤってないか…。
それを言われてしまうと強くは出られない。
しらずしらずに放置してしまう形になったことは俺だって気になってしまっていたのだから。
「すまん」
「いいけど…忙しいの、わかってるし…し、したくないなら…」
「ばかか、もう止まらねぇよ」
「ん、なら…して」
煽られてんのはこっちもだと腰を押しつけてやればぎゅっとしがみついてくる。
ホント、かわいいな。
綱吉には心乱されてばかりだ。
それが意図していないからこそ余計に俺だけが振りまわされている気分になる。
ズボンをくつろげて自身をとりだし自分のも同じようにすると重ね合わせて扱きだした。
最後までできないが、少しでも満足できればということだ。
「つな、お前もしろ」
「んっ…はずかし」
「早くしねぇとお前だけイかせねぇぞ」
「や、それは…やだ」
顔を真っ赤にして嫌がるのを見るが俺だってオナニーじみたことはしたくない。
できれば綱吉の手でイきたいのだ。
おずおずと手を出してくるのを早くしろと二つのものを握らせると綱吉の手を一緒に握るようにして扱き始める。
「ひっ…あ、あっ…やんっ…」
「気持ちいいだろ?」
「んっ…りぼーんも?」
「ああ、俺もきもちいいぞ」
優しく囁いて先端を指で強く撫でてやると甘い声を上げる。
その声だけでも十分いけそうなぐらいだ。
危ないと我慢しながら扱く手を早めてやると綱吉の指が感じるたび握りこむのでいらず感じさせられる。
二人して手を先走りで濡らしながら息を乱す。
その間にもキスは欠かさずして、お互いの唾液を混ぜ合わせる。
「も…だめっ…ああっ、りぼーん…っ」
「…もうか?仕方ねぇな…イけよ…」
自身を激しく扱いて、綱吉の手も動きに合わせてくるのを感じれば先端を集中的に責めてやると耳元で押し殺したような喘ぎを漏らして掌を濡らし俺も後を追うようにして白濁を放っていた。
「はっ…はぁっ…はぁっ」
「綱吉、キスしろ」
「ん…リボーン、りぼーん」
唇を出せば必死に唇を重ねてきてもう離れなくてはならないのに後ろ髪を引かれる。
だが、俺はそっと身体を離した。
キスしたせいでまた止まらなくなってしまいそうだ。
「綱吉、またくるからな」
「ん…わかった」
「しっかり練習しておけよ、振り間違えたらお仕置きだぞ」
「…うっ…できる限りは…がんばる」
冗談交じりで話しを振ってやればようやく雰囲気が柔らかくなる。
これで一時回避はできたなと安心してもう一度くしゃりと頭を撫でてから離れた。
名残惜しいがこれで離れなければ、明日から怒涛の仕事が待っているのだ。
自分に言い聞かせるようにしてドアを開けてようやく綱吉から離れることができたのだった。
そうして自分のマンションに戻って過眠をとり朝から仕事に明け暮れたのだ。
ライブの関係もあって俺に休みはなかった。
気づいた時にはもう、次の日がライブで綱吉ともプライベートで顔を合わせることもなかった。
だが、リハーサルの様子を見ればやはり楽しそうな顔をしていて、俺の頑張りが無駄ではなかったことが知れる。
位置を確認しつつ広い客席を眺める。
「緊張するか?」
「当然だろ、リボーンはテレビ出てるけど…俺なんか、久しぶりだし…」
「緊張しても大丈夫だろ?お前にはまじないがあるんだ」
「ん…今日、最高のライブにしようね」
「ああ、当然だろ」
二人顔を合わせて拳を突き合わせる。
もし最後になるかもしれないライブでも終わりまで楽しもうと決めた。
「ドルチェの二人はこちらに、衣装お願いしまーす」
「「はいっ」」
スタッフに呼ばれて控室に行けば時間までゆっくりしつつ衣装に着替える。
雰囲気がいきなり変わってくれば綱吉の緊張が伝わってきて俺は腕を引くと、ちゅっと口付けた。
「リボーン…」
「大丈夫だ、ちゃんと歌えてきただろ?」
「…うん」
「あれだけ、手紙もらってんだ。恐がらなくていいぞ」
「ん…」
優しく抱きしめてやればぎゅっと抱きついてきて背中を優しく撫でさする。
心臓がいつもより早いのを聞けば失敗するかもなと苦笑を浮かべるがきっと大丈夫だろうと感じる。
緊張しいはいつものことだったのだ、それに俺がフォローをしてやればいい。
前と変わりはないと自分にも言い聞かせて落ちつける。
それから、開演時間になりスタッフの声で俺達は壇上へと上がったのだ。
「みんな、ただいまぁー!!」
「復活ライブ、ノってくぞー!!」
一曲目が終わったところで挨拶をする。
すると皆からおかえり、待ってた、二人とも大好き、と声をかけられて緊張していた身体が和らぐ、相変わらず膝は笑っているけど笑顔で迎えられて嬉しかった。
思わずリボーンを見れば笑顔を向けられて、つい涙ぐむ。
「おいおい、今から泣いてんなよ」
「だ、だって…嬉しい」
リボーンに指摘されて溢れさせまいと思ってたのについ止まらなくなって、大丈夫?大好きだよ、ツナが出てきてくれてうれしいと慰めてもらって、ますます止まらなくなってしまう。
「もう…みんな、だいすきだよぉっ」
泣き叫ぶとわああっと歓声が上がって客席が盛りあがる。
だが隣からは無言の沈黙、あれ?と思ってみればリボーンは俺を見たままでいて、無言で威圧してくる。
「な、なに?」
問いかけると観客からは嫉妬だ、ヤキモチだ、と声がかかりリボーンを見ればそれを肯定するように舌打ちを漏らした。
リボーンがいない間寂しかったが、それほどまでに俺のことを想ってくれていると知れるのは嬉しくて、ついにんまりと笑う。
「いーこと、教えてあげようか?」
「なんだよ」
勿体ぶって声をかければリボーンからは不機嫌そうな声、観客からは声を合わせてなぁにーと聞かれて俺はリボーンに走って行くとガバッと抱きついた。
「リボーンは、愛してる」
わざわざリボーンのマイクから言えば全く予想してなかったらしく耳まで真っ赤にしてそれを聞いていた。
観客からはきゃあぁっと黄色い声が上がって嫌がられていないことがわかる。
時の流れというのは不思議だ。
あの事件からどれだけの時間が流れたかわからないけれどこうやって待っていてくれる人がいてくれたのは、本当にうれしいとおもう。
「ね、嬉しい?」
うれしい?と観客も一緒になって聞いてきて俺達の息はぴったりだ。
すると、俺を反射的に抱きとめていたリボーンは嬉しいに決まってんだろと自棄のように言って、両想い発言にまた客席は盛りあがった。
そして、その流れて曲が始まり歌い始める。
新曲を織り交ぜた二時間半にも及ぶライブが終われば俺は上機嫌だった。
歌うのが楽しくてしょうがない、前のときのような楽しさを改めて知って控室にいった後もテンションが抜けない。
「リボーン、たのしかった」
「そうか、そりゃよかったな」
「何で不機嫌なんだよ」
「…んなの、わかってんだろうが」
「へへ、でも…よかった。俺まだここにいていいんだね」
「当たり前だろうが、お前が帰ってくるのみんな待ってたんだぞ」
これでわかっただろうがと言われて頷くしかない。
着替え終われば、スタッフとの打ち上げが待っている。
本当ならこのままマンションにいって抱いてもらいたかったが、今の調子ならもう少し我慢してやろう。
リボーンは不機嫌だがライブは楽しんでいたように見えるし、打ち上げも行くだろう。
「二人とも、打ち上げ行きますよね?」
「ああ」
「うん、いく」
「じゃあ、準備でき次第車の方にお願いします」
マネージャーが顔をのぞかせてきて確認をとれば案の定頷くのを見て俺も同意する。
二人の時間はもう少し先だとはやる気持ちを抑えて、俺達は打ち上げ会場へと向かうため車に移動した。
「リボーン愛してる、大好き」
「わかった、わかったから少し静かにしろ。近所迷惑だ」
酒を一杯も飲めば酔う綱吉は打ち上げが終わったころには泥酔していてまともに歩けていない。
打ち上げが終わったら食ってやろうと思っていたのに、これでは俺のベッドについた途端寝てしまうのだろうと諦める。
仕方なくマンションまでくれば鍵を開けて中に入る、引きずるようにしてベッドまで連れてくれば綱吉がベッドにダイブして腕を掴んだままだったので一緒にベッドへとダイブしてしまった。
綱吉のあの行動が俺には驚きで、それだけにライブは良い効果だったのかもしれないと思った。
なにもかも社長の思惑通りに進んでいる感じが尺に触るが新たに何か進んだようでよかったのだ。
「で、お前はなにがしたいんだ」
「えへへー、一緒に寝よ?」
「寝てるだろ」
「うん、そうなんだけどねぇ」
綱吉は一回俺から離れて鞄を漁り始め、意味深な言葉と共に顔をあげたかと思えば俺の両腕をとってカシャリと金属音を響かせた。
は?と腕を見れば黒い手錠がかかっている。
これはライブの小道具で使用したもので、何でこれがこんなところにあるんだと綱吉を見ればよいしょっと俺の足に跨る。
「スタッフのおねぇさんに貰った。使い終わったからもってちゃっていーよーって」
「そんなんでいいのか…」
「いいじゃん、これで俺ようやくリボーンを食べれる」
「は?」
綱吉の言葉に思わず耳を疑った。
食べるって…食べるのか!?俺を!?
とうとうヤられるときがやってきたのか、と思わず身構える。
自然に綱吉が受け入れる側に回ってくれていたが、大体男同士なのだ。
綱吉が俺を抱きたいと思う時があってもおかしくないわけで…他の誰かを抱きたい、というよりはましだ。
それだったら、覚悟を決めようと一瞬のうちに俺は決心していた。
綱吉は俺の服のボタンを指を縺れさせながら外して腹の辺りにキスをして舐めながらベルトを緩めてきた。
自身をとりだせばうっとりしたような顔で扱き始めてそこの先端にもちゅっとキスを落とし、そのあと一気に口に含まれる。
「っ…つな」
「はひへひーほ?(だしていーよ?)」
「ばかっ、咥えたまま喋るなっ」
考えてそうしているのか考えなしなのかわからないが堪らない刺激に俺のものは一気に硬さをまし、チッと舌打ちする。
すると、綱吉は顔を離して服を脱ぎ出した。
ゆっくりと脱ぐ仕草に煽られる。
「リボーンさ…実は俺がリボーンのこと待ってるばっかだと思ってるだろ?」
「…そうじゃねぇのか?」
「ちがうよ、俺だって男だもん。リボーンが欲しいときは強硬手段にでちゃうんだよ」
ふふっと妖艶に笑う仕草に押し倒してやりたいと思うが両腕を塞がれたこれではどうにもできない。
そして、綱吉は下着も一緒に脱ぎ棄てると俺の腹に手をついて自分の唾液で濡らした自身の上に秘部を宛がう。
もしかして、と思う間もなく綱吉の腰が落とされキツイ中に入っていく。
「はっ…ああっ…きもちい…りぼーん、ほしかったぁ」
「食うって…そっちかよ」
「なに考えて…んっ、たんだよ…あんっ…くる、おく…きちゃう」
俺の上で腰をゆっくり落としていく綱吉を眺めながら最初はキツく締めつけてきた中が俺のを覚えていたらしく絡みつくように飲みこんできた。
奥までいっぱいにして一息つくのを見ればそれで終わりだと思うなと腰を揺らしてやる。
「やっ、うごいちゃ…らめっ…ああっ、やああっ…そこっ、しちゃ…やあっ」
「嫌?嘘ついてんじゃねぇよ。自分でも腰振ってんだろ?」
「いわなっ…ああっ、ああっ…だめぇっ、イっちゃう、でちゃうっ」
首を振っていやいやとする綱吉に手加減なしに突き上げる。
自身はだらだらと先走りを溢れさせぴたぴたと自分の腹に当てるたびいやらしい銀糸が引いていて好き勝手してやりたいと思わせた。
「でも、先にイくのは…まだ、早いだろ?」
「やぁっ…ひど、やめてっ…だしたいっ…うあんっ…ひぃっ」
拘束されている腕が手前にあったのが幸いして、俺は綱吉の自身の根元を戒めた。
これで、イけないよなと視線を向けると欲望を押さえつけられたため癇癪を起したように泣きだしひいひいと俺の手を外そうとしつつ腰を揺らすのは止めない。
「だったら、どうすればいいか…わかってんだろ?」
「イかせて…りぼっ、おねが…あそこいっぱいにして…ぐりぐりしてイかせてぇっ」
綱吉は小さく喘ぎながら自分で足を立たせ秘部が見えるようにし、煽るようにゆっくりと腰を上下させぬらぬらとした自身が見え隠れするそれだけで俺は堪らない気分にさせられた。
ニヤリと笑えばそのまま腰を突き上げて勝手な動きに綱吉の足から力が抜けて一気に奥につきささる。
その衝撃で、空イキしはくはくと必死に呼吸をしながらきゅうきゅうと締めつけてくる。
もっていかれそうだ。
俺は限界を感じて自身から手を離すと片手を腰に持って行くと容赦なく突き上げた。
「あっあっあっ、やああっ…イく、イくっ…ああぁぁっ!!」
「はっ、つな…つなよしっ…クッ!!」
イく瞬間キツく締めつけられて中に放てば綱吉は背中を反らして全部受け止め、俺の腹に倒れこんで来る。
ちょっとまて、寝るなら手錠外してからにしろ、お願いだから。
「おい、ツナっ!?」
「………」
返事がない…嫌な予感に俺は背中を冷や汗が流れるのを知った。
「…ん、朝か…」
「朝か…じゃねぇよ」
朝目が覚めるとぼーっとした頭で小さく呟いたのだが下から声がしてん?と視線を向けて驚く。
俺の下にリボーンがいたのだ。
「なっ…なんでっ!?」
「なんでじゃねぇ、これ外せ…このせいでこのまんまだったんだぞ」
腕を見せつけられて昨日の記憶を掘りおこす、そういえば酒飲んで良い気分になって手錠使って……。
「ご、ごめん、今外すから」
「はやくしてくれ」
思い出せば慌てて鞄の中から鍵をみつけ手錠を外すがすっかり手首に痕を残してしまった。
これは当分消えそうにない…。
「ごめん、痕残っちゃって…」
「もういい、気にすんな…俺は寝てないんだからな」
「うん、ごめ…」
「お前も寝ろ」
「はっ?」
謝り続けてリボーンのいいなりになっているとリボーンに抱きしめられて今度はベッドに横たえられリボーンに抱きしめられた。
もしかして、リボーンは寝てなかったのかと考えてしまえば申し訳なさしかなくてすりっとすり寄る。
「気にしてないの?」
「何がだ?ようやく抱きしめられるだろ」
「うん、リボーンの腕の中あったかいよ」
暫く休みだし、今日はたっぷり寝ていよう。
再び来る睡魔に、俺は身を委ねたのだった。
後日、社長に呼び出されてまたまた大量の手紙を押しつけられた。
それは数えきれないほどのファンレターで読んでみれば二人ともお幸せにっとかまたやってくださいっとか今度はキスしちゃってくださいとかいろいろな祝福(?)の言葉があげられていてつい笑みを浮かべてしまったが、胡散臭い社長はそれを見せた後口を開いた。
「これで、好き勝手できるね、ドルチェのお二人さん」
「何企んでやがる…」
「ドラマの出演依頼。でるよね?」
「「…はぁ」」
ぴらりと見せてくるそれに、俺達は顔を見合わせてため息を吐いた。
どうせ、もう決定事項だ。
「じゃ、同意とみなすから。一ヵ月後クランクインね、台本読んでおくんだよ」
「しかたねぇな」
「わかりました」
社長の好き放題には呆れるけれど…二人でできることが俺にはやっぱり新鮮で嬉しかった。
何があるかわからないけれど、離れたくはない…。
それをお互いに思っていたら、離れないよね…?
END