パロ | ナノ

 ティラミス

三日間俺は久しぶりの休みをもらった。
倒れたせいか綱吉はいくら大丈夫と言っても離れようとせず、俺のマンションで一緒に過ごした。
ああ、幸せだった。
最近本当に顔を見るのも久しぶりで衝動のままに貪ったと言ってもいい。
三日目にはもう嫌だというのを丸めこんでヤった。
そして、四日目俺達は二人揃って社長に呼ばれた。

「うー、まだ眠い…」
「しっかりしろ、俺だって寝てねぇんだぞ」
「お前は、満足したからいいだろ」
「お前も満足しただろ」
「うっ…」

ぶつぶつ文句言う綱吉に言ってやれば、何も言えずに唇をとがらせている。
男の身体というのは単純だ。
自分でもそう思ってしまうほどに枯れたような心が今は溢れんばかりの潤いで満たされている。
そして、俺達は社長に呼ばれたスタジオへとやってきた。
ここは昔俺達がデビューCDを録音した場所であの一回きりここでの収録はしたことがなかったのだが何の因果か、またここにくる羽目になろうとは…。

「懐かしいね」
「そうだな」

綱吉と同じことを思っていたことに笑みを浮かべて、二人で中に入って行く。




「二人とも、すっきりいい顔になったねぇ」
「なんだよ、こんなとこに呼び付けて」
「言葉づかいは相変わらずだ。俺さぁ、ドルチェの歌久しぶりに聞きたくなっちゃって」
「え、でも…」
「ツナは声がでねぇだろ」

社長の我儘、といっても過言ではない言葉に俺は綱吉をかばうようにするが社長はうーんと顎に手をあてて悩む素振りをしながら俺達を見やった。

「でも、普通にしてたら出るよね?ね、綱吉君?」
「…はい、今は一人の時だけ」
「リボーンなら平気でしょ?それに、俺の前でも歌ってくれたじゃない?」
「そう…ですけど…」

尋問の様なそれに俺はたえられずに手を出そうとすれば鋭い視線で睨まれた。
まるで、その過保護が綱吉を駄目にしているんだと言わんばかりのそれについ、俺は手を出すのを諦めた。
これは、いい機会なのかもしれない。
このまま声が出るようになれば少しでも希望が湧いてくる。
社長が綱吉を試しているんだと気づけば、もう助けることもしなかった。
それが、綱吉のためになると思っていたから。

「歌ってくれる?」
「ここで、ですか?」
「うん、だから貸し切りにしたんだよ?どうしても、聞きたくて」

お願いとそこまで言われて綱吉は俯いてしまう。
歌うだけなのに、それをここまで臆病にしてしまった。

「そこまで渋っちゃうか…しかたないなぁ、とっておき見せてあげる。じゃじゃーんっ」
「は?」
「え?」

今まで歌うということに真剣に悩んでいた俺達のことは無視をして社長はどこからか大きな袋を持ち出し、中身をその場にばら撒いた。
なんだとそれを拾い上げると全部手紙のコピーでそれは全部俺達の二人揃っての復帰を願うファンの手紙だったのだ。

「これぜーんぶ君たちのものだよ。全部、全部、君たちを待ってる手紙。ホモだ消えろだなんて、ファンが言うわけないでしょ?」
「いたっ」

社長が手紙を俺達に突きつけてあまつさえ綱吉にデコピンをした。
たしかに、あそこにいたのはファン以外も混ざっていただろう。いや、ファンじゃない人の方が多かったかもしれない。
そう考えれば、綱吉が気にすることなんて少しもないんだ。

「閉じこもってないで、出てきなさいよ。嫌なことなんて歌えば全部忘れるよ?俺の為でいいから、歌ってくれるよね?」
「……はい」

綱吉は手紙を読んだためか、デコピンされたためが少し涙ぐんでいながらも今度はしっかりと頷いた。
それにほっと胸をなでおろして、社長はマイクつけるからとスタジオをでて録音する方の部屋へと入って行った。

「歌えるか?」
「…大丈夫、リボーンは?歌えるよね?」
「当たり前だ」

こうなってくれることをどれだけ望んでいたか、お前は知らないだろう。
一人になってもボイストレーニングは欠かさずやっていたし、俺がここまで働いてきたのもお前と一緒にまた歌いたかったからだ。
二人ヘッドフォンをして流れてくる懐かしいメロディーに目を閉じる。
俺達のデビュー曲、始まりの歌。ここから全部が始まった。
一番歌い込んだ歌で、忘れようと思っても忘れられない位だ。
前のように視線を交わす、同時に息を吸った。




何も変わらなかった。
あのとき壊れたはずの俺は、今はもう元に戻っていてリボーンの音と重なって気持ちいいほどの伸び。
あのとき消してしまったと思った音がするすると俺の口を出ていく。
時間というものは不思議だ。
あれほど嫌だと思ったのに、いつの間にかその痛みさえも消えてしまった。
それを忘れさせるぐらい、リボーンが頑張ってくれて支えてくれたから。
思い通りに出る声に俺は嬉しくて泣いた。

『良い声だったよ』

歌い終わって、社長から言われた一言に俺は泣き崩れるようにしてそこに座り込んだ。
また、歌える。
リボーンと一緒に、また同じ場所に立つことができる。
どれほど、一人でいることが辛いと思っただろう。
どれほど、またリボーンの隣に立ちたいと願っただろう。

「おい、そんなに泣くことか?」
「だ、だって…ふっ…リボーン…」
「わかったから、良く歌えたな」

くしゃりと撫でられて褒められてますます涙が溢れた。
こんな弱い俺なのに、なんでリボーンは優しくしてくれるんだろう。
本当なら、そんな相方いらないと見切りをつけるところなのに…。

「なんで、こんなにやさしいんだよぉ…」
「そんなの、相方で恋人だからだろうが」

当然のように返されて抱きしめられると俺もリボーンの背中に腕をまわした 。
たくましい、頼れる背中…でも、駄目なんだ。
俺だけが甘やかされるなんてそんなのは。
俺もいつか、リボーンの背中を支えることができるだろうか…。

「はいはい、いちゃいちゃするのはここじゃ自重してくれると助かるなぁ」
「「っ!?」」

突然聞こえた社長の言葉にばっとお互いに離れる。
今の状況をすっかり忘れていた。
いつの間にか録音室からスタジオの方に入ってきた社長に驚きながらもニコニコと笑いながら紙を俺達に差し出した。
なんなんだと受け取って見れば、あっと声をあげた。

「楽譜だよ。君たちの曲だからね、一週間で歌えるようにすること、はいこれデモテープ」
「うそ…」
「俺今日からまた仕事だぞ?」
「ないよ、そんなの」

ちょっと芹沢君っ、と混乱している俺達の説明役だろう外で待っていたと思われる芹沢さんが入ってくる。
俺は嬉しいけど、リボーンは複雑ようだ。
それもそうだろう、あんなにたくさんの仕事を抱えていたのだ、今更ドタキャンはできないだろう。

「はい、リボーンさんの仕事はありません」
「は?なに寝ボケたこと言ってやがる」
「彼の言うとおりだよ。今日スケジュールに入ってるもの全部他の子に入ってもらうことにしたから」

そんな自己中みたいなことしちゃうんだ、と妙に納得してしまった。
この社長に何言っても無駄だ、右と言ったら右に左と言ったら左に俺達は操られる側に徹するのが一番。
仕事がなくなったということは歌に集中できるということ、リボーンは複雑そうだが俺は嬉しくて仕方ない。
リボーンが仕事している間、ずっと俺は一人ぼっちだったから。

「ってか、ツナが上手く歌えなかったらどうなってたんだよ?」
「…それ聞いちゃう?」
「……いや、やっぱいい。何も言わないでくれ」

多分、上手く歌えなかったら仕事どころかここにいることもできなくなっていたことだろう。
俺は心の中で手紙を送ってくれたファンとずっと離れずにいてくれたリボーンにここの中で感謝した。



スタジオからの帰り道。
あのあと社長は、これから予約した子が歌うから早く帰ってと急かされるように放り出されてまだ日が高いうちから途中まで車で送ってもらってリボーンのマンションへと歩いて行く。

「よかった、また歌えるようになって」
「お前が望めばなんだってできるんだ」
「何それ、俺が中心なの?」
「そうだろ?お前がいなきゃ、何もできない。お前が居たら全部丸く収まる」

これを綱吉のお陰だといわずに何と言うと偉そうに言うリボーンに笑った。
俺の動力源はリボーンで俺はリボーンを中心として回っているのに、それではなんだかおかしいことにならないだろうかと本気で考えそうになって止めた。
何はともあれ、俺はリボーンと離れなくて済むのだ。
これ以上の幸せがあるというなら教えてほしい。

「いつか、またライヴできるかな?」
「もう少し歌だした後なら、できるだろ?」

見通しのない未来だったのに、リボーンはまるですぐに歌えるとでも言いそうな感じでいうからつい、俺もそう思ってしまう。
だって、一年以上の月日なんてなにも感じない。
あの時と同じような空で、空気で、隣には同じ人がいてまったく変わらない。
まるでずっと一緒にいたような感覚だった。




「ん…ちょっ、あれほどシたじゃんっ」
「ここに来たってことは、お前もこうなることを予想してたんだろ?」

マンションに入るなり息つく暇もないくらいのキスの応酬に俺はリボーンの肩を押しやって抵抗する。
リボーンの言葉に気を許してしまいそうになるが、三日間みっちりと教えられた身体にはまだ辛いものがあるのだ。
まぁ、ここに来てしまう時点で俺の抵抗なんてたかが知れているのだけど…。

「でも、あんまり激しくしたら立てなくなる…」
「大丈夫だろ?俺達は暫く歌の練習だ」
「こんなにしたら声でなくなるっ」
「喉が鈍ってんだろ?発声練習してやるって言ってんだ」

そんなこじつけで誰が折れてやるものかと思うも、リボーンは軽々と抵抗する俺を抱きあげて寝室までを一気に突き進み、気がつけばベッドに下ろされて服をはぎ取られるところだった。

「リボーンっ…まっ、やっ…」
「気持ちいんだろ?」

突起をじかに触られて昨日までしっかりと愛撫されたそこは少し触られるだけで鋭い快感を生みつつも触られ続けていたせいかちくちくと痛む。

「やさしく、して…はっ…ああっ…」
「なら、舐めるか」

リボーンの言葉に、止まらないならもう痛みを覚える前に感じさせてもらうと諦めモードに入る。
胸に顔を寄せてぺろりと探るように舐められるとじいんと痺れて、電流が指先を通ったように落ちつかなくなる。

「ひっ…あんっ、はああっ…ひぃんっ…んんっ…」
「ツナ…足開け」

甘噛みされて痛みを感じる前に舐めて鈍らせられ、足を閉じ合わせていたが後ろが早くも疼いて、それを目ざとく見つけたリボーンが俺に命令してくるが恥ずかしくて首を振る。
すると、足に手をかけて開かれそうになるがそれも嫌だと足に力を入れた。

「強情張るな」
「やっ…だって…」

リボーンがクスリと笑って言ってくるがそれだけは聞けないと腕で顔を隠してしまえばふっと引っ張っていたリボーンの手から力が抜け必然的に俺からも力が抜ける。
その瞬間一気に開かされてズボンの上から勃起しているのがわかってしまうだろうぐらいに育った自身がリボーンに丸見えになる。
俺はますます恥ずかしくなって、涙が溢れる。

「みないでぇっ…ああっ…だめぇっ…」
「お前だって、待ってたんじゃんねぇか」

リボーンに指摘されてベルトをはずす音が響いてもう抵抗する気もなくなった俺は大人しく脱がされるままだ。
待ってたって、あれだけリボーンの手が気持ちいいことをこの身体に教え込まれたのだ、期待しないでいるという方が酷だろう。
腕から顔をのぞかせてリボーンを見れば、なんとも楽しそうな顔が俺を見下ろしていた。
俺は、つい反抗的になって足を上げるとリボーンの股間へと向かわせ自身を撫でるように動かしたらもうそこは熱くなって硬くなり始めていた。

「おまえ、いくらなんでも…節操無さ過ぎっ」
「それを宥めるのが、お前の役目だ」
「酷いいいか…あぁっ、やぁあっ…そこ、やあっ…あうっ…」

言葉の途中で濡れた指が後ろに触れれば、入口を撫でるようにねっとりと撫であげられ、もどかしい刺激に腰を揺らしてしまえば指先だけ入れられてぬぷぬぷと出し入れしてくる。
俺はそれが堪らなく感じてしまい、二日目ぐらいだったかそれをして苛められただけでイってしまい恥ずかしい思いもしていた。
それを今回もされるのかと思えばそれは嫌だと首を振って、指をもっと奥へ導こうと自分で腰を揺らした。

「そんなに欲しがるな、今日はたっぷりと濡らしてから入れてやる」
「もっ…焦らさすなっ…あんっ、んんっ…」
「焦らしてるんじゃねぇ、痛くないようにしてやってるんだろうが」

リボーンが言いたいことはわかっているが、俺だって枯れてはいない。
感じるところを触られれば身体が疼き始める。
じんじんとした痺れがどんどん酷くなって、俺を内側から蝕んでいくようだ。
まともな思考回路もなくなってきて、リボーンの腕を引いてほしいほしいと何度もうわ言のようにくりかえす。
いつまでも入れないというなら、煽るだけだ。

「てめ、そこまで言ってあとで泣く羽目になってもしらねぇぞ?」
「リボーン…あんっ…あっ…そんなことしないもん」
「…チッ」

リボーンの脅しもいつものリボーンをみれていればそんなことはないと自信満々に言ってやれば悔しそうに舌打ちしている。
そんなに悔しいんだ、しかもやっぱり泣かせるようなことはしないんだと思えばますます嬉しくなって自身にあてたままだった足をすりすりと撫でつけるように動かせば余裕そうな顔がゆがむ。
完璧な配置の作りをしている顔が俺のせいでゆがむなんて快楽の他にぴったりな言葉が見つからない。

「リボーン…かっこいい、もう…どんなかおしても…惚れる…どうしよ」
「そんな物好きはお前だけだ…」
「いいよ、おれだけで…ほしいよ、りぼーんのぜんぶ」

どこもかしこももうリボーンの形にぴったりはまるようにできていて、リボーン以外ではもう生きていけないぐらいなのに…。
両手を伸ばして、足を今度は自分から開いた。
あそこが丸見えになる体勢に、羞恥がないのかと言われればあると全力で答えたいところだがもう理性も切れているのだ。

「ねぇ、きて…たくさん、突いてよ」
「ったく、煽るのだけは上手くなりやがって」
「そうしたのは、リボーンだよ」

ちゅっと触れるだけのキスをしてかちゃかちゃとベルトをはずす音がする。
ああ、後で舐めてあげたい…。
あそこも綺麗な形をしていると見つめながら唇を舐めればそれに引き寄せられるように今度は深い口づけをされて舌を吸って夢中になっている間に自身がぬぐっと秘部に侵入してきた。
先端はきついぐらいだが、そこを過ぎてしまえばあとは快楽しかない。
指先から溶けてしまいそうな感覚に振り落とされないようリボーンの背中に手を回した。

「あっ…ああっ、やあぁっ…きもちい…あっ、あっ…」
「おら、もっと奥まで欲しいだろ?」
「ほしいっ、ちょうだい…あっああっ…おくっ、やあぁぁっ…」

乱暴なリボーンの言葉も興奮剤にしかならない、奥を突き上げられて意識が飛ぶような快楽に空イキした。
何度もされるうちに出さないでイクようになってしまったのだ。
空イキしたあとは吸いつくようにリボーンを奥まで吸って、うねって少し動かれるだけでもたまらないぐらいの快楽が身体を襲う。

「はっ…あんんんっ…やあぁぁう、ああうっ…ひっ、ぃんっ…あんっあんっ…も、だめ…イかせて…っ」
「もうすこし、待て…自分だけ感じてんじゃねぇぞ?」
「りぼーんだって…ああっ、やめてっ…だせないっ…あうっ…ふああっ」

自身の先からはいやらしいぐらいの蜜が溢れて秘部まで濡らしていて、もうイきたいと言えばすかさず根元を握られてせき止められてしまい、それだけはやめてと泣き叫びながら戒めているリボーンの手をかりかりと力ない指ではがそうとするがびくともしない。
そのうち、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てて感じる場所を何度も攻め立てられて身悶える。

「もう、もうっ…あたま、おかしく…なるぅっ…りぼーんっ、りぼーんっ…なか、だしてぇっ…あぁっ」
「仕方ねぇな、イけ…」

激しい動きはそのままに自身を締めつけていた指が解かれて解放されれば、俺はあられもない声を上げながら大量の白濁を放って中にも溢れるぐらいに注ぎ込まれた。
あれだけやったのにどれだけ絶倫なんだといいたかったがとてもそんな気力なく、俺は脱力すると同時に意識を飛ばしていた。




「もう、さいあくっ」
「最後はお前だってノリノリだっただろ」

俺は綱吉の腰を揉みほぐしながら平手の後が残る頬を隠しもせず不機嫌な恋人の機嫌をとる。
あんなにエロエロだったのにもかかわらず意識が戻れば元通り…いや、さっきのことを思い出して不機嫌丸出しの綱吉に俺はマッサージしているというだけだ。
まぁ、グーで殴られなかっただけましだと思うことにしよう。
綱吉はというと少し掠れた声でもさっきもらったばかりのデモテープをかけながら歌詞を追ってときおり口ずさんでいる。
それほど機嫌がいいのに、この差はなんなのだろうか。
このさき、尻に敷かれるようなことになることを予想しながらも再び取り戻した平和な日々の始まりに俺は満足げな笑みを浮かべていた。




END






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