パロ | ナノ

 愛すべきばか

「ただいま…」

声に出してみて誰もいないことに気づくが、部屋の電気がついていることに気づく。
それに、中から美味しそうな匂いまでしてくる。
どうしてだ、と不審に思いながら靴を脱いでいればばたばたと足音がして、いきなり腰のあたりに衝撃を感じた。

「はっ!?」
「おかえりなさい」

そこには綱吉がいて俺は驚いた。
どうしてこいつがここにいる?
しかも肩が揺れているようだ、俺は宥めるように背中を撫でてやり、なんでこいつがここにいるのかを考えていた。

「お前、出てったんじゃなかったのか?」
「え?」

顔をあげた綱吉は目元を赤く染めていて、寂しくさせていたのだと感じる。
そりゃ、二週間も音信不通でいれば心配させたりするだろう。
でも、いないと思ってしまったから仕方ないだろ。

「なんででていくんだよ、俺バイトもしてたし一人でちゃんとしてたよ、褒めてよぉ」

うわぁぁあ、と大声で泣き出した綱吉に面食らった。
かつてこんなにも感情的に泣いた綱吉をみたことがあるか、なかった。
本当は寂しがり屋な綱吉をこんなにも放置したのだから。
バイト…。

「お前、いつもバイトは何時に終わるんだ?」
「…へ?えと…夕飯すぎぐらいだから…八時ぐらいかな。今日はやすみなんだ」
「……はぁ」

そうか、俺があの時電話をかけたのは五時過ぎぐらいだったはず、当然部屋に誰もいない。
勘違いだ。

「すまん、いないかと思った」
「な…なんでっ!?どうして、俺はリボーンが出ていけって言うまでいるのに」

信じられないとまた泣く、今日のこいつは泣きっ放しだな。
仕方ない奴だと思うのに、もう面倒と思うことはなかった。
想い一つでこんなにも変わってしまうのかと思ったら、綱吉を抱き締める腕に力を込めていた。

「ここ…怪我?」
「ああ、ちょっとな」
「ニュースでやってるの見た、あれリボーンだったんだ」
「…みたいだな」

まさか全国ニュースで流れたんじゃないだろうな!?俺は場違いなことを思いながらも返事をしてやれば、ばっと顔をあげて俺を見つめてくる。

「なんだ?」
「嘘つき、自分を大切にしろって散々俺に言ってきたくせに、リボーンはそうやって自分で危ない目にあうんだ。自分を大切にできてないのはリボーンじゃんッ」
「…そうだな」

こんなにも他人のために泣いてくれる奴がいるというのも今初めて知ったことだ。
出ていくどころか、粘り強く待っているなんてそこらへんの女ができないことを平気でやってのける。
それは、俺にこいつを信用しろと言っているのか。
こんなにも、自分を想ってくれた奴なんかいなかった…ならば、自惚れてもいいんじゃないか。

「おい、綱吉…病院はどうなんだ?」
「病院、別に変わらずだよ」

試してみる?と誘うように言われた声に、そうだなと返してやったらびっくりした顔をしていた。
そうして、また涙をあふれさせるのだ。
なんだこいつは、喜ばそうとしても泣くのか。
どうすれば笑うのかわからずに、頬を摘まんでやる。

「しゃに、すんだよぉ」
「笑えよ」
「なんでだ」
「嬉しいだろ?まだ不満か?どういえばお前は満足すんだ?」
「え、りぼ…?」

一方的に言っているのはわかっているが、言葉が止まらない。
綱吉がいてくれたのはとても嬉しかった。
けれど、あれほど気持ちに整理をつけていたのにここでこんなに簡単に、目の前にいるのだ。
当然のように、当たり前みたいに…俺の目の前にいる。

「なんだ、好きって言ったら離れないのか?どうしたら、お前は笑うんだ」
「う、そ…」
「嘘はつかない、俺はお前が好きだ。この前自覚したところだけどな」

言ってやればまた泣く。
こいつの涙腺はきっとそこらへんの土砂よりも崩れやすい。俺は仕方なく綱吉の頬を撫でて拭ってやると、ぎゅっと抱きつく。
いい加減痛くなってくるのだが、引き離す気にはなれないまま…。

「お、おれも…すき、おれ…でていきたくない」
「ばかだな出ていく金すらねぇ癖に」

ずるずると鼻をすすって言う綱吉に笑わされて、ご飯よりも食べたいものができたなと思う。
少し考えて、俺は綱吉の脇に手を入れるとそのまま抱えて寝室へと運んだ。

「な、なに!?」
「前言撤回はなしだ…もし、まだ感じることができなかったら…手で我慢してやる」

ベッドに寝かせて綱吉を見下ろす。上着を脱いでネクタイを緩める、我がことながらこんなに興奮を覚えているのは恥じてかもしれない。
すると、綱吉の足を広げさせていたために太ももに違和感を感じた。
それは男とすればとても当たり前の感触で…。

「ひぁっ…りぼーん?」
「お前、勃ってる」
「えっ!?うそ、ホント!?」

あれほど何をしても反応を返してこなかったそれは俺が手で触れても萎えることはなかった。
綱吉は覗き込んできたが俺は構わずそれを服越しに扱いた。

「あ、あ…ふぁ、や…やだぁ」
「感じるんだろ?」
「け、けどぉ…ぁ…ひぁ、やだよ、びりびりする…」

でちゃいそう、と泣きながら言われてそのまま出せと促した。
びくびくと腰を揺らして達する綱吉に煽られて服を脱がせてやる。
胸を舐めればそこも感じるらしく小さく声を漏らす。
この前までは誘うようにしてきたくせに今では俺の身体の下にすっぽりと入ってしまって小さくなっている。
けれど、始終感じるようで下着と一緒に脱がせばどろどろになったのに加え、再び先端から先走りを溢れさせているようだった。
機能するようになった性器を今度は素手でつかんでやればますます感じるようで硬くなり俺の手を濡らす。
この前とは違う反応、身体を逸らせさっきから足には力が入ったり抜けたりシーツの上を彷徨う。

「もぉだめ…さわっちゃやだ、どろどろになっちゃう」
「もうなってるだろ、遠慮すんな」

意地悪く囁くとぽろぽろと涙が頬を伝う。
けど、完全に拒絶しているわけではないというのは綱吉が俺の腕を握っているからだ。

「ひぃ、ひぃ…やぁぅ…」
「綱吉…させてくれるんだろ?」
「っ…りぼーん」

身体がびっくりしているだけだろ、と言い聞かせてやれば少し正気を取り戻したのか綱吉の濡れた瞳が俺の目を写した。
じっと見つめていると、綱吉は俺の方に両手を差し出してきた。
俺はそっとその身体を包み込んでやる。

「ああ、なんかいきなり告白したな…好きだ。返事は?」
「…ははっ、もうなにそれ…唐突すぎ、それに順番めちゃくちゃ…でも、好き」

ふっと我に返った瞬間返事をもらっていないことに気づいた。
情緒も何も考えることなく言ってやれば、綱吉は破顔してそっと気持ちを与えた。
ようやく笑ったな、と思う間もなく引き寄せあうように唇が近づき口付けた。
何度も角度を変えながら深くして、どろどろのそこにまた手を差し伸べる。
秘部を探ればそこまで濡れていて、ローションも必要ないなと指を差し入れた。

「ん…」

二本目を入れるが抵抗は少ない。
綱吉の顔色にも変化がないことを確認するとそこでくちゅりと動かした。
浅い場所で慣らそうと広げる動きも咥えると綱吉の口から甘い喘ぎ声が漏れる。

「ひぁ、おれ…こんなに、きもちーの、初めて…」
「だろうな、俺もだ」

もっと気持ち良くしてやる、言うなり指を奥まで入れる。
少し苦しそうにしたが中で動かしているうちに感じるようになってきた。
後ろを使っていただけあって慣らすのは簡単だった、ただこいつが唯一許した相手が俺だったことに喜びすら覚える。
三本を入れて甘さが消えないことを確認するとゆっくり指を抜いた。
自分も服を脱ごうとして包帯を巻いていることに気づきシャツのままにすることにした。
ズボンを脱ぎ、自身を宛がう。

「恐いか?」
「抱きしめててくれたら、いい」

言われるまま綱吉を抱きしめる腕に力を込めた。
密着していないところがないぐらいに身体をくっつけて、結合が深くなる。

「ぁっ…まだ、くる?ねぇ、もう…はいんない」
「まだだ、奥までいけるだろ?」
「むり、むりだからぁ…ああん…ふぁ…やぁ、おくきちゃ…」

綱吉の否定は否定にならない、そんなことを言えばますます煽られるというものだ。
バカなのかと考えて、ばかだったと笑った。
涙の後をそっと拭いながら突き上げるとあられもない声をあげる。
声にも中の締め付けにも感じて、俺はもう限界だ。

「つな、つな…いくぞ」
「んんっ、ちょう…だい…ほしい」

全部が欲しい、と唾液を口の端から溢しながら言われてしまえば歯止めなんか効くはずがない。
ぱんっぱんっと腰がぶつかる音が響き、最奥で腰を止め注ぎ込んだ。
何度かに分けて注ぎ込むそれに綱吉も射精していた。
しっかりと感じることができたことにそっとキスをして涙まみれになっている綱吉の顔を舐めた。

「お前、泣きすぎだ」
「リボーンが、嬉しいことばかり言うからだ…」
「しょうがねぇだろ。俺にはお前がいて、たぶんぴったりだと確信したんだ」
「どこまで本当なんだか」

ふいっと拗ねたように顔を逸らす。
それは、放置したことを言っているのか。
そうなんだろうな、俺がいない間どれだけの涙を溜めこんでいたのだろう。
まったく、少し調べれば俺の居場所なんてすぐにわかっただろうに。

「もう放置しない」
「本当」
「ああ」
「絶対?」
「ああ」
「本気の本気?」
「…ああ」
「自信なくなるなよ」

少し視線を逸らせばまた笑ってすっかり綱吉はリラックスモードだ。
勢いで最後までしてしまったが案外いけるものだなと思ったのは口にしないでおこう。

「お前、今度ちゃんと引っ越してこい」
「え?」
「戸籍動かせって言ってんだ。まぁ、少し急かもしれないが…いずれな」

綱吉が落ちついたときにでもそうしろと言えば、泣き晴らしたかと思った目からまた涙をあふれさせて今日はもう止まりそうにないらしい。

「まったく、お前はどれだけ泣けば気が済むんだ?」
「リボーンが俺をよろこばせるから無理」

へへっと笑う顔はとても可愛い。
そう思えてくるほどに、俺には綱吉が足りてなかったのだと実感した。
たまには、甘えられる存在や待っていてくれると信じられる相手を作るのも悪くないなと思ったのだ。
そして、それは今後綱吉だけでいい。




END





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