◎ ずっと傍に居る
俺連れ去り事件が終わってから、平和だ。
見事に何もない、学校生活は順調だし骸はいなくなったし、ディーノさんはここ二ヵ月ほど帰ってこないし。
そう思うと、最近まで起きていたあの騒がしい日々がすごく楽しいものだったと思う。
現に楽しかったのだ。
ネコとわかったリボーンだが、いつものように昼寝をしているし…でも、変わったことが一つだけ。
「師匠に会わせてくださいー」
「フラン…」
ぴょこんと飛び出た耳、珍しいウサギの人型動物。俺が連れ去られたときに知り合い、そうして雲雀さんが研究所を焼いたおかげでここに避難してくることになってしまったやつだ。
当初はたくさんの人型動物が所狭しといたのだが、今ではこのフランを残すのみとなっている。
それはディーノさんのお陰だ。イタリアの本部へと掛け合って里親をさがしてくれているらしい。
フランにも話がきているが、ここを動かない理由は師匠と言う存在に会いたいかららしい。
聞けばそれは骸らしいことが判明して、昨日メールを白蘭へと送った次第だ。
けれど、そんなにすぐにくるはずもない。返事もあれきりこなかった。
白蘭は骸との生活を楽しみにしているようだったし、この話はスルーされるんじゃないかと俺は思っていた。
「さっきは雲雀さんがここに来たし」
今日来られるのは何かと困るなぁと感じて、俺は寝ているリボーンを見た。
相変わらず日当たりのいい場所を占領している。
獄寺と山本は部屋でなにやら二人で遊んでいるようだ。ディーノさんがいなくて散歩にもだしてやれなくなってしまったのだから仕方ないとため息をついた。
「フラン、今日はこないかもしれないから…もう部屋に戻って。きたら、呼んでやるから…な?」
「しかたないですねー、ミーを放置したら許さないですからー」
ぶつぶつと文句を言いながら部屋に戻ったのを確認すると夕食の準備を始めようかと腕まくりをしたところ、入口から音が。
「はい?」
「やぁ、綱吉クン。久しぶり…といっても、あまり面識ないね」
「白蘭、さん…と骸?」
「綱吉?」
顔を出した白蘭に本当にきてくれるなんてと驚きながらもその後ろでもぞもぞとしている物体を見ればひょこっと覗き込んだ。
すると、別れた時よりも大きくなった骸がいて俺は少し嬉しくなる。
骸も俺をみるなり顔をほころばせて、前に出てきてくれた。
「久しぶりだな、髪も伸びてる」
「はい、綱吉は何も変わりませんね」
「わるかったな、背はそのままで」
若干視線も近くなったみたいで、ちょっと悔しい。
成長スピードが違うと言ってもこれは結構なダメージだ。
骸はまだ成長期だからまだ大きくなるだろう…きっと、追い抜かれるのも時間の問題だ。
すると、上からドアの閉まる音が聞こえた。
まずい、と思ったの時にはすでに遅く階段を雲雀さんが降りてきていた。
そうして、骸もきていた上着を脱ぐと白蘭に預けている。
「え、なに…骸クン!?」
「最近身体が鈍って仕方ない、少々手加減できないかもしれませんよ?」
「手加減?そんなの必要ないよ」
挑戦的な視線、普通だったら逃げ出したくなるはずなのに、お互いは一歩も引かないのだ。
これはまずいと、俺はそっとリボーンの方へと避難した。
「なんだ、逃げてきたのか?」
「あれの仲裁に入れるわけないだろっ!?」
白蘭もあっけにとられているし、骸をとめたところで雲雀さんを止める人がいなければどうにもならない。
このまま店が壊れていくのを見ているのか、そのまえにリボーンが動いてくれるか…。
はらはらと成り行きを見守っていれば俺の肩をぽんっと叩いて雲雀さんのもとへと向かう背中があった。
「ディーノさん」
「あいつ、ようやく戻ってきたか」
ディーノさんは白蘭に視線を向けると、二人で二匹を止めていた。
店の危機になんとかどうにもならずに済んでよかったとほっとため息を吐く。
「リボーンも傍観してんなよ」
「ディーノ、これはお前が雲雀を放置するからだろ」
「俺のせいかよ」
「うーん、明らかに最近雲雀さんの機嫌が悪かったので、俺もそう思います」
「ツナもかよ…」
まったくとディーノさんがリボーンのことを言うか、ことの次第はたぶんディーノさんも関係しているだろということで責任を押し付けた。
なんとも言えずに、雲雀さんを抱きしめたままでいたが雲雀さんは逃げたくてもがいている。
白蘭と一言話しているのを聞いていれば、リボーンは徐に立ち上がった。
「そういえば、雲雀…お前、なんでここにきたんだ?」
「…ああ、忘れていたよ。会いに来たんだった」
「いや、それ忘れることなのか?」
リボーンが聞くと素直に答えた雲雀さんは突っ込むディーノさんの手にひかれて二階へとあがっていった。
そうして、俺はようやく思い出したようにペットの個室の部屋をノックした。
「フランー、骸来たぞ」
「フラン?」
「ああ、呼んだのはこいつが会いたいって言ってたから」
骸が驚いたように言って、やっぱり面識あったんだなと感じつつ部屋からでてきたフランは骸を見るなりいつもの無表情が少し和らいだ気がした。
「師匠…」
「お前もここに来ていたんですね」
「師匠、その人は…どうして、一緒に居るんですかー?」
「これでいいんです。フラン、お前にもきっと現れますから」
フランは白蘭を見て少し怯えた顔をした。それもそのはずだ、きっとフランが庇われたのはこの男からなのだろうから。
白蘭は何を言うでもなく、興味を失くしたようにリボーンのところへといって、なにやら話している。
骸はなんとも幸せそうな顔で、こっちが羨ましくなるほどだ。
「骸、幸せそうで何よりだよ」
「そのために、僕はここをでたのですから…当たり前でしょう?」
くふふといつもの笑みを浮かべて、フランはまだ戸惑っている様子だったが、一緒になって遊んでいる間に慣れてしまったようだ。
時間をみて、早々遊んでられないと俺は夕食の準備に取り掛かったのだった。
「うー、つっかれたぁ…」
夕食が終わり白蘭と骸は帰っていった。
フランはいつもより楽しげな表情で自室へと戻り、俺は今日一日の疲れを癒したのちリボーンと交代で風呂へと入ってきた。
リボーンのベッドに潜り込めばふぅっと力を抜いた。
久々に騒がしい時間に疲れたのだが、あんな雰囲気自体久しぶりだったため嬉しかった。
それに、白蘭に自慢されているリボーンの顔にも嬉しさが見えて、あの二人を呼んでよかったと改めて思ったのだ。
うとうとしてきて、今日はこのまま寝かせてくれるかなと思いつつリボーンを待っていれば、ドアが開いてリボーンが入ってきた。
そうして、そのまま俺の隣に…とはいかず、覆いかぶさって額にキスをされた。
「ん、なに…もしかして…」
「するだろ?」
「やだよ、疲れた…俺、寝たい」
まさかの一言にそれは止めてくれと俺はリボーンの下でもがいた。
けれど、離してくれる様子はなく布団をはぎ取られてしまう。
「やだって、リボーン…」
「ヤダヤダ言うな、萎える」
「萎えてないものが、俺のにあたってるんですけどぉおっ」
迫りくるリボーンにもう無理、疲れた、寝かせてと何度言っても聞いてもらえず、むしろそれに生返事をしながらリボーンは俺の服を抜かせてくるのだ。
あっという間に下着だけの姿にされて、突起をぺろりと舐められた。
「ひっあっ…あぁっ」
「ここはもう尖ってるぞ?」
それはリボーンの舌がいけないんだと、罵ってやりたかった。
ネコの舌はまさに猫と同じ作りをしているのだ。
あのざらりとしたそれで舐められるとなんとも言えない快感が俺の身体を突きぬける。
そうして、ひとしきり突起をなめたリボーンは身体をずらしていく。
下着に手をかけられて、まさかと下をみれば案の定な光景に俺は慌ててリボーンの頭を押さえた。
「何すんだ、舐めさせろ」
「ばかっ、そんなことして…そんなこと…したら、あっ…やめぇえっ」
俺の静止なんで聞いてくれることなく、リボーンは俺の自身へ舌を這わせてきた。
初めて味わう感触に腰がびくびくっと震える。
やばいと思うのに、感じてしまいシーツをキツく握りしめた。
「やあぁっ、ざらざらするぅ…やめっもう…りぼーん、りぼっ…ひぅっ」
先端を一舐めされたところで俺は腰を震わせて白濁を放っていた。
感じすぎてどうなるのか怖いとリボーンを見れば足を抱えられてその奥へと指が入りこんでくる。ぐちぐちと弄って、そのあいだ尻尾で自身を扱かれる。
どこもかしこも感じると身悶えて、首を振った。
「もうだめっ、しんじゃうっ…かんじすぎるっ…」
「これが、気持ちいいんだろ?」
「やっああぁっ」
もう無理だと泣きだせばリボーンの愛撫が一旦止まる。
そうして、宛がわれた自身に俺は息を吐きだした。
硬くて大きいそれは、呼吸を整えないと苦しい。
ゆっくりと入りこんでくるモノを受け入れ、手を伸ばした。
身体を寄せてくれたリボーンの背中に腕を回してぎゅぅっと抱きつく。
足までもリボーンの腰へと回して全部を預ける。
全部を入れ終わると、リボーンは少し呼吸を整えて動きだした。
「はっああぁん…きもちい、おく…きてる」
「ツナ、つな…絡みついてくるな。そんなに欲しかったのか?」
「ばかぁ…もっ、あした…立てなかったら、おまえのせいっ」
いざとなったらだっこして連れていってやるという言葉を吹き込まれて俺は真っ赤になりながら感じた。
悔しくてリボーンの耳を甘噛みすると中のものが震えた、
したり顔でリボーンを見れば、余裕だなと笑われ、俺はやりすぎたことを知るも、一旦日がついてしまったリボーンは止まるはずもなく、激しく突き上げ始めて、上下左右がわからなくなるまで揺さぶられつづけた。
ひたすら感じさせられて二人で駆けあがる、最後は手を繋いで一緒に果てて…さすがに、もう喚く気にもならなかった。
「疲れた…ホントに、疲れた」
「それぐらいで疲れてどうする。言っとくが、俺は満足してないからな」
「なんでだよぉ…」
リボーンの一言にあれだけでして、まだってどれだけだと信じられない気分になりながらも俺は仕方ないとため息一つでどうしようかと考えるんだ。
それほどに惚れているんだと知らされて、もうどうしようかと思う。
こんなに、溺れて…また、いなくなってしまう。
それを考えたら…もうどうしていいかわからない。
「ねぇ、ずっと傍にいるよな?」
「いるだろ?生まれ変わっても、そばにいてやる」
何を言っているのかと言われて、リボーンを見れば優しく笑みを浮かべていた。
そうか、ずっといてくれるんだ。
なら、俺もリボーンを離れずにいよう。俺が先にいなくなったら…今度は俺が生まれ変わってお前に会いに行くよ。
END