◎ 傍にいてくださいっ
「綱吉、気をつけるのよ?あんたドジなんだから」
「わかったよ、じゃあ行ってきます」
ピシッと紺色の渋めの浴衣を着て俺は心配する母さんに手を振った。
家を出ればそこにはもうリボーンが着ていて俺は下駄をカラコロと鳴らしながら近づいた。
だが、近くに段差があってガッと思いっきり躓くとリボーンの腕に支えられる。
「あのなぁ、言われた傍から躓くんじゃねぇよ」
「…はは、聞いてたんだ」
俺は途端恥ずかしくなりながら体勢を立て直せば普通にいつもの私服を着ているリボーンに頬を膨らませた。
「俺は浴衣っていったじゃん」
「俺も着るなんて一言も言ってねぇ」
「着てきてよ、かっこいいと思ったのに…」
「残念ながら俺の家にそんなものはない」
ツンッと言われてしまえば俺は仕方なくため息を吐いて、リボーンの隣を歩いた。
今日は地元の夏祭りで花火がメインだが露店も出るから行こうと誘ったところ、リボーンは渋々だが頷いてくれたのだ。
俺は今年卒業なため試験勉強に追われて忙しくて、リボーンはそんな俺を最近ずっと見ているからこの日のデートを承諾してくれたのだと思う。
俺が幽霊になっていた期間は一ヵ月、だが今になってその一ヵ月は大きな重荷になってきていたのだ。
勉強もすこし遅れてしまっていたし、休んだだけ成績に響いてくる。
俺は必死で、リボーンはずっと近くで見ていてくれるのだ。
「まぁ、いいや。また今度で」
「だから、ないって言ってるだろ」
「俺がもっと早く約束して浴衣一緒に選んであげるよ」
「…はぁ……」
へへっと笑って言えば返す言葉がないのかため息で誤魔化した。
リボーンは優しい、どこまでも俺に甘い。
時々言い過ぎればまだ殴られるけど、最初にあったときより全然優しい。
俺を好きなんだって、わかってしまうぐらいには。
ぎゅっと腕を掴んで抱きつけばするりと腕が逃げて行く。
「ああっ」
「まだ明るいだろうが」
「けちー」
まぁ、そんな照れたとこも好きだよ。
悔しいぐらい、大好きだ。
「おお、すごい人」
「はぐれるなよ」
祭り会場である河川敷までくれば道に添うように並んだ露店に目移りしてしまう。
声をかけられて頷くが俺は露店に釘付けだ。
「ん…ねぇ、なんか食べようよ」
「何食べるんだよ」
「えっとねぇ、焼きそばにからあげでしょ?かき氷とわたがしは持って帰る用で、たこやきも……あれ?」
歩きながら言っていればそろそろ突っ込みがあるころだと振り向くと、リボーンの姿がない。
俺は周りを見回すも人ばかりで、一瞬にして一人ぼっちになったような寂しさがこみ上げて来て、幽霊だったころを思い出す。
誰も気づいてくれなくて、皆が自分を無視していく。
たった一人だけ、自分に気づいてくれた存在。
「りぼーん……うわ……」
小さく呟くも、人が多くて自分ももみくちゃにされてしまう。
人並みにゆっくりと流されてしまい、元いた場所も分からなくなって。
怖くなって唇を噛みしめた。
このまま一人で、リボーンが来てくれなくて、帰ってしまったらどうしよう。
ひとりきりに、残されてしまったら…。
「リボーンッ…リボーン…」
「ツナッ」
声をあげて呼んで、何かにまた躓いて転びそうになったところを名前を呼ばれて腕をひきあげられた。
そのまま抱きしめられて顔を胸に押し付けるようにされる。
「何泣いてんだ」
「泣いてないもん」
「泣き虫、かき氷買いに行ってた。ごめんな」
涙を拭ってリボーンの手を見れば片手で二つ持っていて俺は思わず抱きついてキスしようとしたら顔を押しのけられた。
「ばか、場所を考えやがれ」
「もう、それ…リボーンもだから」
今の状況を思い出して、こちらをちらちらと見て行く視線を感じてしまえば俺は真っ赤になって人の通らない露店と露店の間に移動する。
かき氷を受け取って美味しいと食べながらたこ焼きを指さすと自分で買えと言われた。
今度は離れないようにしっかりと手を繋いで歩き出した。
「…あ、射的があるのか」
「リボーン、やるの?」
「一回やらせろよ、欲しいもん取ってやる」
なんだかリボーンには珍しく楽しそうにしながらニヤリと笑って言ってくる。
不覚にもかっこいいとか思ってしまう俺に気づかずお金を払って弾を貰っていた。
標的にはお菓子やぬいぐるみ、よくわからないものも並んでいた。
「うーん、あのウサギのぬいぐるみ」
「お安いご用だ」
鉄砲に弾を詰めて狙いを定める。
リボーンは言ったとおり一発でぬいぐるみを撃ち落として見せた。
こういうのに女の子はたまらないんだろうなぁと考えながら俺にと渡されたぬいぐるみを抱きしめる。
「なんでこんな才能もってるの?」
「こういうのは得意になっておいて損はないんだぞ」
ああ、楽しそうだ。すごく。
俺が誘うことにもいつも渋々と言った様子で、自分の趣味もあまりない人間の何かに夢中になった時のきらきらした顔というものは破壊的だ。
周りの人の中にもリボーンに魅せられたように立ち止まる人もいて、ちょっと納得いかない。
すると次のものに狙いを定めたリボーンは今度は簡単には行かずに苦戦している様子だ。
「何狙ってんの?コンドーむぅ」
「てめぇ、ここにきてもそれか?」
見たままで言おうとしたら最後まで言い終わる前に掌で口を塞がれた。
リボーンのこめかみに青筋がみえたのにはちょっと視線をそらした。
今機嫌を損ねてしまうと漏れなくその鉄砲でポコンとやられてしまいそうだ。
「ごめんてば」
「だまってみてろ」
そう言って一回もらった弾全部を使ってそれを落とせば俺に渡してくる。
もしかして、本当にゴムだったらどうしようとドキドキしながら開けると、その中は煙草の様なチョコだった。
「なーんだ」
「なに期待してんだ」
「だって、最近してないし…俺はリボーンが欲しいよ」
「時間がないのはてめぇだろ?」
だからこそじゃないか。
自分のせいだから余計意識してしまって、欲しくてたまらなくなるんだ。
結局たこやきも買うことができずに花火が始まってしまいそうになって俺はリボーンの腕を引いて人目のない場所へと移動した。
辺りは暗くて、少し茂みがあって隠れるには丁度いい。
それにここからの花火も絶景なのだ。
「なんだ、ここ」
「穴場なんだよ、人がほとんど通らないの」
ほとんど溶けてしまったかき氷を食べ終えて始まった花火を楽しんでいたが、隣のリボーンをつい、見つめてしまう。
花火を見る姿も様になるとか、ほんとなんてイイ男なんだろう。
年下なのに、俺より頼りがいあるし。
俺が卒業したら…取られちゃいそう。
俺はリボーンの肩に手を伸ばして優しく芝生に押し倒した。
それを見ても何も言わず俺を見つめてくる。
「ねぇ、シてよ」
「そんな思い詰めた顔でされても俺は嬉しくもなんともねぇぞ?」
「…リボーンは、不安じゃないんだ」
「なにがだ?」
リボーンは俺の頬を撫で言ってきて、それでも素直になれなかった俺はついムッとして言ってしまってから後悔する。
不安になるわけないじゃないか、だってきっとリボーンは俺を鬱陶しいと思ってるはずだし。
「何考えてんのかしらねぇけどな、離れて寂しくないわけないだろ」
「だって、リボーン…俺のこと鬱陶しそうにするじゃん」
「それは、お前が雰囲気読まねぇからだろ」
「そんなの、わかんないよ……あ、なんで勃ってるの?」
「そういうところだ」
リボーンのスイッチがわからないと腰に感じた温もりに首を傾げれば腰を掴まれてリボーンの身体を跨ぐように乗せられた。
リボーンを見下ろすのはなんだか優越感だが、浴衣が開いてしまって下着が見えそうで俺は前を隠そうと手を持って行こうとしたら指を絡ませられて握られてしまった。
「な、なにするの?」
「シてほしいんだろ?」
「いや、してほしいけど…なんか、これじゃ俺も動けないよ」
「それもそうか」
言うなり片手を離されてリボーンはその手を俺の浴衣の裾に伸ばした。
腰を撫でて下着越しに感じる熱だと言うのに、久しぶり過ぎてその感触だけで俺は感じてしまう。
「おい、なんでこれで勃たせてんだ?」
「だって、リボーンに触るのも触られるのも久しぶり過ぎて…ひあっ!?な、なんっ…ちょっ、いつからリボーンは変態になったんですかっ!!」
からかわれて渋々言い訳するも、腰を撫でていた手が下着の太ももの方の隙間から指が忍び込んできて秘部をつついてくる感触に、俺は混乱して年下なのに敬語で叫んでしまった。
すると、リボーンに引き寄せられて俺は身体を伏せると強引に口付けられていた。
咥内を舐めまわしながら、秘部の中に指が二本入りこんでくちゅくちゅと濡れた音が聞こえ始める。
なんで、俺も感じてるんだよっ!?
自分のしかたない身体に泣きそうになりながら乱暴になる指を抜き差しされるころには俺も一緒になって腰を振って、リボーンの自身に時々俺の自身が擦れて布越しなのに感じた。
「んっ…もう、だめだよ…ここじゃ…」
「これで帰れるのか?」
言われて、答えられなかった。
こんな状態でなんて帰れるわけない、ここからじゃお互いの家まで少し距離があるのだ。
リボーンは自分の前をくつろげると、擦り合わせていた熱いモノをとりだした。
俺は久しぶりに見るそれに、吐息を吐きだし自然と乾く唇を舐めれば、えろい顔しやがってと唇をなぞられる。
「待てるわけ、ねぇだろ?少し濡らせるか?」
「ん……ふっ…んぅ…」
ぴちゃぴちゃと音を立てて自身に舌を這わせた。
感じる場所を舐めるたびぴくぴくと震えて、俺の秘部は早く欲しいとせっつき始める。
俺は顔を上げると、リボーンのモノの上に移動する。
すると、リボーンはどこに持っていたのかゴムを取り出して自分のに装着した。
下着をよけられてそこから秘部に入り込む気だろうかとリボーンをみれば、ニヤリと笑った。
…最近気づいたんだけど、リボーンって結構変態なんだよな。
身体を重ねるようになって気づいたのだが、リボーンはこういうちょっと変わったことが好きならしい。
別に俺は気持ちいいから問題なのだが、これはムッツリスケベというやつなのだろうか?
それはそれで、いいとおもうのだが…なんだが、騙された気がする。
「んん…あっ…はぁ、あっ…ちょっと、まって」
「腰振っておいてよくいう、身体もっと伏せろ」
中に入ってしまうと意外にも動きが制限されてもどかしい。
それなのに感じて、声が抑えられないとリボーンに引かれるまま身体を伏せてキスをした。
舌で咥内を抜き差しされて、それと同じように下もされて快感に背筋が震える。
ああっ、そんなにかき回さないで…だめ、もう…イく…でるっ
リボーンと繋いでいる手をぎゅぅっと握って、声を押し殺しながら俺はイって、リボーンもどくどくと吐き出している感触がした。
「あーあ、なんで俺だけこんな?」
「ゴムは一つしか持ってきてなかったんだ、俺の家で着替えてくか?」
「……ウン」
花火はすっかり終わってしまって、二人で夜道を歩きながら下着を濡らしたことに文句を垂れていると、リボーンが俺の手を握って笑みを向けた。
ウサギのぬいぐるみをだきしめながら夜いただかれてしまうのを想像して、こくりと頷く。
「俺は、離れても…離さないから」
「俺だって、惚れさせた責任はとってもらわねぇとな」
先を怖がっているのをリボーンはわかっていたのだろうか。
俺の呟きに、ニヤリと笑って繋いだ手に力を込めてくる。
ああ、もう…ほんとに幸せ。
こんなに幸せでどうしよう、と顔を赤くしているとばぁかと言われた。
そのくせ、リボーンの耳もほんのりと赤かったから、なにもその言葉に説得力はなかった…。
END
ずきん様へ
幽霊パロで花火大会、でいってみました。
変態チックになってしまったのは私の趣味です。すみません。
気に入らなかったらピンポイントで直させてもらいますっ←
夏らしく色々させてみました、書いててとても楽しかったです。
リクエスト有難うございましたっ。