パロ | ナノ

 お泊まりしましょっ

「おじゃましまーす」
「さっさとはいれ、誰もいないんだからな」

高らかな声に俺は自分の部屋を出てツナを迎えに階段を下りた。
今週は両親が旅行に出かけて、学校でうっかりとそれを言ってしまった俺にツナは食いついた。
『いないの!?リボーン一人!?なら行く、行かせて、行きたい、行ってもいいよね!?』
とまくし立てられてその食いつきのよさに首を横に降ることは許されなかった。
あそこでダメだと言ってもどうせぐずられるんだろうということは目に見えていた。
年上な癖に、どこまでも子供っぽい奴だと思いながらも内心俺も嬉しかった。
ツナが受験生なため、あまり会えなかったり、家には親がいるからと部屋で過ごすことが少なく青少年としては悶々としていたのだ。
目の前に現れたツナ、いつものはしゃぎように呆れつつも二階の俺の部屋へと入る。

「何する、どこいく?」
「いや、どこかいっていいのかよ」
「いやん、ちょっとした冗談だろ」

おどけて言いながらもツナはリボーンの部屋久しぶりにきたと嬉しそうに本棚を眺めている。
霊体でいた時にはこの部屋を自分の部屋とばかりにくつろいでいたが、暫くこないうちに本棚には少しばかり本が増えた。

「俺知ってるよ、ここにさ…隠してるよね」
「何でてめぇが知ってんだよ」
「なんでだと思う?」

にやにやと笑われて本棚の奥、何気ない本を引いて見せた。
それは俺が秘かに隠しているエロ本だ。
いや、別に自分で本屋で買ったというわけでもなくクラスで回ってきて適当に処分してくれと押し付けられたものだった。
わからないようにして、霊体だった当初ツナに聞かれてもしらを切りとおしていたのに、どうしてそれがばれていたのか。

「返せ」
「やだよ、リボーンって巨乳好きだったんだねって俺はこれをみつけたとき思いました」
「なにしみじみ語ってんだよ」

俺が手を出してもするりとかわされてしまう。
そうして狭い部屋をちょろちょろと歩きまわるのだ。
俺は腕を限界まで伸ばしてツナの腰を掴むと引き寄せて手から参考書のカバーを被ったエロ本をとり上げた。

「ああっ、俺もエロ本みたいのにぃ」
「俺がいるのに、見るのか?」
「っ……ちょっと、遊んだだけだって」

俺はツナの言葉に耳元でそれっぽく囁いてやる。すると、動揺したツナは少し恥ずかしそうに視線を逸らしながら身体から力を抜いた。
そうして、身体を離してやればツナはこちらを向いて自然と顔が近づく。
ちゅっと唇が重なって、そのあと何度かキスをした。
けれど、今は昼間だ。それに、ツナがここに来るにあたっていろんな遊び道具を用意していたのだ。
このまま流されるわけにはいかないと身体を離した。

「あー、なんで」
「時間見ろ、まだ昼間だろ。それに今からシて、夜起きてられるか?お前、俺ん家にいったらあれやりたいこれやりたいって言ってただろうが」
「…それもそうか」

すっかり忘れていたのか俺がゲームを示してやればぱっと気持ちを切り替えた。
こいつの切り替えの速さが時々恨めしくなるのは…今は気のせいと言うことにしておこう。

「じゃあ、まずはこれな」
「はいはい」
「なんだよ、リボーンがゲームしようっていったんじゃん」

負けねぇと楽しそうに言うツナを見てしまえば、どうにでもなるのだが。
あのころの無理やり好きになって、俺はリボーンが好きだよ。絶対惚れさせてやるっ、と言っていた通りになっているなと感じて少し頭を抱えたくなる。
ツナの泣き顔をみたとき、こんなにも愛しいものはないと思ってしまったんだ。
これがギャップ萌えってやつなのかと余計なことを考えつつも隣のツナはあのころと違いちゃんと温もりもあって、壁を通り抜けることもない。
それに、幽霊が見えると俺は悩んでいたが最近だんだん見えなくなってきているのだ。
何でかは知らないが、幽霊を感じることができるのは主に子供だと聞いたことがあるし成人するころには霊感もなくなるというのも聞いたことがある。
多分、俺もその部類なのだろう。
嫌な身体だったとも思うが、こうしてツナに会えたのも何かの縁があってのことだ。
そう考えたら、霊感も悪くないものだなと感じ始めていたのだ。





もぞもぞと隣に寄り添う衣擦れの音がして俺は目を開いた。
横を向いて寝ていたため、目の前にツナの顔がアップで映った。

「っ!?」
「ありゃ、起きちゃった」
「……なにしてんだ?」
「うーん、ちょっと襲ってやろうかなぁって」

ニッコリ笑って俺の服に手をかけるツナを俺は容赦なく叩いた。
ゲームをやっていたが、そのうち飽きて本を読みたいと言いだしたので、ツナに読ませていたら俺はうたた寝をしていたようだ。
そうして、ベッドにもぐりこんできたツナを叩いて、しかもそのままベッドを落ちた。
下は絨毯なのでそんなに痛くはないだろうがとりあえず覗き込んで見る。

「いったぁああっ」
「良い音したな」
「ばかぁ、俺ますますばかになったらどうするんだよっ」
「将来俺が養ってやる、感謝しろ」
「嘘、プロポーズ」
「冗談だ。…もう夜か、風呂入ってくる」
「一緒に…」
「入るか、ばか」

けちーっと叫ぶツナの声を背に俺はバスルームへと向かった。
なんだか、あのころに戻った時のやりとりだなと感じつつも俺はさっさと服を脱いで中に入る。
いきなりツナの顔のアップは正直目の毒だ。
性少年でもある俺には、なかなか耐えられないものもある。

「少し落ちつけられるか…」

蛇口をひねり、後からツナが入るだろうからと湯をため始める。
すっかり勃ちあがってしまったものをどうしたものかとため息をつきつつ、身体を洗っていれば収まるだろうかと思っていた。





一人の部屋、テレビを見ていたがつまらない。
面白くない、この感情をこの部屋に来てからよく思っていたことがある。
何にしてもリボーンはこの部屋にいろと言ったし、まぁ無理やりついて行ったこともあるけれど。

「じゃあ、今回もついていっちゃおうか」

ふふっと笑って俺は立ち上がった。
一度殴られたぐらいで怯む俺ではないわ、と高らかにいいながら立ち上がり部屋をでて階段を下りた。
バスルームの前に来ると中からシャワーの音が聞こえる。
どうせ二人だけなのだから一緒に入ればいいのに、意地悪だ。
そっと脱衣場に忍び込んだ、リボーンは気付いた様子はない。
そうして、ドアに背を向けているのを確認した。
俺は服を素早く脱いでそのまま、取っ手に手をかけ勢いよく開いた。

「大人しく俺が待っているとでも思ったかっ」
「は!?…お前」

こっちを振り向いたリボーン、びっくりして俺はしてやったりと思った。
のだが、上から下を眺めて俺はぱちぱちと瞬きした。
勃ってる。

「わぉ、ご立派」
「もう一発殴っとくか?」
「やめて、痛いからっ」

からかうつもりはなかった、というかリボーンのはいつみても大きいなぁと思うから素直な称賛なのにそんなこというのか。
というか、これ…もしかしてさっきの?

「そうか、リボーン襲われたかっ…いひゃいへふううっ」
「そうか、そんなに痛い目にあいたいのか」

ぐぎぎっと頬をひっぱられて必死に腕を掴む。
痛い目にあいたいのかと言いながら痛い目にもうあっている。
やめてくれと嫌がればようやく頬を解放されて、ハムスターのようになってしまいそうだとリボーンをムッとして見つめる。

「ったく、相変わらずだな」
「俺、嬉しいよ?」

呆れたようにいうリボーンに首を傾げていう。
リボーンはこういうのを隠しちゃうことがあるんだよなぁ。
べつに欲しいなら欲しいって言ってくれてもいいのに。
俺だって離れていた時間、欲しかったにきまっているのに。
だからというわけでもないけれど、俺はわかりやすくリボーンに欲しいと言っている。
元からエロイことは好きなんだけれど、好きな人とすることは何でも気持ちいいじゃないか…と。

「俺さ、リボーン欲しくて我慢してたんだって…くれないの?それ」
「煽った責任取れるんだろうな?」

苦しそうに絞り出された言葉にもちろんだと頷こうとした顎はとられて深く口付けられてしまった。

「んんっ、ふうぅ…はっ、ぁ…」

唾液まで混ぜ合わせるほどの濃厚なそれが離れるころには俺の足はがくがくと震えていて、リボーンの肩に掴まった。
そうして、伸びてきたリボーンの掌にもうキス一つで感じた自身を擦りつける。

「ばか、そっちじゃねぇよ」
「こっちも触ってよ」
「あとでな」

リボーンは先端を一撫でしただけで手は後ろに回った。
秘部に濡れた指が入りこむ。
一本なら簡単だ、いくら時間が空いても一本ぐらいだったら気合いで受け入れるようになったが、それ以上は広がらないことはすぐにわかっただろう。
まずは一本でかき回してくる。

「このままここじゃ逆上せる…はっ…」
「場所移動するか?」
「んーん、すぐ…いれて」

多少乱暴でもいいからと久しぶりに性的な触り方をするリボーンに胸がドキドキと煩い。
そうして、中もなんだか疼いているのだ。
この状態なら、リボーンが上手くしてくれればそう時間をかけずとも出来る気がする。
リボーンの瞳を覗き込んで頬を包み込むなりちゅっと軽く口付けた。

「なら、アレだな」
「?」

リボーンがぽつりとつぶやき、湯船に視線を移した。
俺には何が言いたいかなんてわからず、首をひねった。
が、その答えをすぐに知る羽目になるのだ。





「ぁぁあっ、やぁっ、おゆ…はいるぅ」
「締めつけてれば、はいんねぇだろ?」
「うやっ、あつい…のぼせるっ…ひあぁっ」

ぐしゅっとリボーンに突き上げられて俺は目を見開いた。
いつも熱いそれが、湯を纏って中に入りこんでくる。
俺は浴槽に入れられてリボーンの身体を跨ぎ突き上げられていた。
リボーンが言ったのは身体を温めれば身体は多少柔らかくなる、そして無理やり入れたいというのなら俺が体重をかけた方が幾分か入りやすくなるだろうというものだった。
そもそも、無理やりのプレイを望んでいるわけじゃなかった。
けれど、すぐに入れたいんだろ?と言われて、疼き始めていた俺の身体は嘘がつけない状態だったのだ。
そうして、少し慣らしてすぐに指が三本入るようになったそれと同時にお湯まで入りこんでくるのがわかったのだがそれは後の祭りだった。

「ふぁぁ、あぁーっ」
「すごい、しめつけだ」

動く度中をお湯が入りこんでくる。
気持ち悪いのに、止めたくない。
リボーンは最初こそ動いていたが、今では俺が自分から感じる場所にリボーンのそれを擦りつけ感じている。
リボーンはそんな俺をみて満足そうに吐息を吐くのだ。
じっと見つめていれば手が伸びてきて、俺の突起を思いっきりひっぱった。

「ひぅっ…それ、しちゃ…だめぇっ」
「感じてるくせに何言ってやがる」

きゅっきゅっと捻るようにされて首を振った。
そこから伝わる電撃で、俺は秘部を締めつける。

「だってぇ、ちくび…じんじんするっ」
「俺がそうさせたからだろ?」

こくこくと頷いて、肩を掴んで尚も動き続ける。
最奥を突き上げるたび、びくっびくっと身体が痙攣する。
疲れるのに動きが止まらない。きもちいいと頭が支配して、キスを強請った。

「んんっ、く…ふっ…」
「んっ…ふ」

お互いの抑えきれない息が顔にかかって、ますます興奮を煽った。
溜まった分って言うのは結構すごいかもしれないと今更ながらに気づいた。
そうして、リボーンは自身に手を伸ばしてくる。

「いやっ、いやっ…あついぃ…あぁっああっ」
「いってるわりに、ここはもうでそうだぞ?」
「もぉ、いく…いくっ、中で出す?…っねぇ、だす?」

熱くて、動く度中を擦る熱が俺を焼くようだ。
すぐに限界が近づいてリボーンの顔を見ながら、頷いたのを確認して、腰を思いっきり落とし締めつけた中へと注がれるものを感じながら俺は浴槽に白濁を放っていた。
中で出された、リボーンの証しだ…。
ぼんやりとした頭で考えて、もっと欲しいと思うのに身体が動かなくてリボーンに凭れかかった。

「逆上せたか…」
「ん…疲れた」
「処理してやるから、ぼうっとしてろ」

リボーンが言うなり俺の身体から抜けていく。
そうして、指を入れられて中のを掻きだされるのだ。
リボーンの命の種が湯に混ざる。
本当なら、子を成すもの…それを俺は無駄にしてしまっているのかもしれない。
そう思ったら、なんだか勿体ない気がしてきた。

「…リボーンの精子、俺が吸収できたら…いい、のに、な…」

なんて、非生産的なんだろうと思うのにこの気持ちばかりは止められないのだ。
だからせめて、俺の身体でどうにかできたらいいのにと途切れる意識の中呟いていた。

「ばぁか…」

と残念そうな声が聞こえたのだが、それは果たしてどういう意味でのばかなのかわからずに意識を落としていた。





「やだやだやだぁ」
「駄々こねんな」
「だって、リボーンの部屋またこれなくなるのかと思うと寂しいんだ」

次の日、朝起きて朝食を食べて少し遊んでいたらすっかり日が沈んでいた。
義務教育の終わっていないツナは帰る時間だ。
そうして、それまですごく楽しんでいたツナは案の定というか我儘を言いだした。
帰りたくないのは、わかる。俺だって帰したくない。
まぁ、そんなことをいってしまえば頭に乗るのは目に見えるので言わないが。

「また、くればいいじゃねぇか」
「また、呼んでくれる?」
「ああ…機会があればな」

そっけなく言った言葉。
けれど、ツナには充分だったらしい。
にっこりと可愛い笑顔をみせて、なら待つと言ってくれた。
なんとか宥めることに成功したようだと安堵のため息をつきつつも、玄関のドアをあける前にちゅっと軽くキスをしてやる。

「っ…!?」
「おら、早くいけ」
「なっ、そんなことされたら離れがたいじゃぁん」

泣きそうな顔になったのを、ばかやろうと蹴り飛ばした。
いつまでも甘えるツナ、来年の春には卒業してしまう。
大学へと進学するつもりでいるツナを追いかけるかはまだ俺も悩んでいるところだ。
けれど、この不思議な縁が切れることはないと思う。
どうせまた、こいつはなんらかの理由をつけて俺とのお泊まり会を開くのだろうから。

「あ、エロ本…今度はちゃんとわからないようにしとけよ〜」
「……ああ、お前の記憶を飛ばしてからなっ」
「こわいよぉ」

減らず口をいつまでも言いやがってと思いながらも見送る背中はいつも寂しそうで、つい抱きしめてやりたくなる気持ちを必死で押し殺す。
どうせ、明日学校で顔を合わせるのになと感じつつもいつまでも俺はその背中を見つめていた。

今度は消えないと、ちゃんとわかっていた。




END






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