パロ | ナノ

 気付かされた想い

リボーンのバイト先であるバーに通うのが最近の日課。
私は逸美。
リボーンの幼なじみで、昔はよく美男美女なんてはやし立てられていたこともある。
だからこそ、私の周りには男の人が絶えなかったしリボーンの周りの女の人ばかりだった。
私は、私だけを好きになってくれる人を探し続けて付き合い続けた。
リボーンからはまともな男と付き合え、なんていつも言われ続けていたっけ…。
けれど、私はあれで私を好きになってくれる人を好きになったつもりだし、どんな風にされても愛情だと言われればそうだと思ってきた。
でも、最近はそれがただの自己暗示だってことに気づいた。
その人が好きで、好きだからこそこれでもいいんだって思い続けていた。
それは、とても怖いことだった。
今ではそれから逃れて一人、ここに来ることが多くなった。

「だって、あの顔は幼なじみから見ても惚れぼれするわ」

働くリボーンの姿を見つめて呟く。
恋心があるわけではない、そこは断言できる。
いつも近くに恋人がいた環境から一人は慣れない。
少しでもその寂しさを紛らわせるためにこうして、リボーンを眺めにきているのだ。
けれど、さっきからどうにも違和感がある。
いつもみたいに気だるそうだが、覇気がない。

「いつもはもう少しなんかありそうに働くんだけどなぁ」

綱吉くんとやらと何かあったのか。
原因があるとしたらそこかしらと予測を立ててみる。
というか、最近女の話しなんか全然しなくなった。
綱吉の飯が美味いというのを聞くようになって、うざいなと思い始めたのだ。
そして、その綱吉くんがどんな人なのかも少し興味がわいた。
けれど、リボーンが見に来るなよと釘をさすのでいけず仕舞いなのだ。

「あーあ、出会いが欲しいわ」

今度は二股なんかしないカッコイイ人と。
なんて性懲りもなく考えながら頬づえをついた。
それよりも気になるのはリボーンだ、私と出かけた日のあとにあんな顔されていると何か原因なのか気になるじゃないか。

「リボーン」
「なんだ?」
「終わったら、一緒に帰ろうか」
「ああ、いいぞ」

半分冗談で言ったのにあっさりとOKをもらった私は少し驚いた。
いつもは一人で帰れるだろ、とか子供じゃねぇンだからこんな遅くまでいるな、とかぐちぐちいうのにそれもない。
おかしい…。
私はますます不審に思いながら、リボーンのあがり時間まで過ごしていた。
そして、リボーンが中に入ったのを見計らって会計をし、外に出た。
社員用の入り口前で待っていれば着替えたリボーンが出てくる。

「なんか、元気ないね。どうかした?」
「綱吉が、戻ってこなくなった」
「は!?」
「だから、俺が一人で飯作ってんだ」
「え、なにそれ」

初耳だ。
リボーンの言葉に私は驚いて、なんでそうなったのか、いつ?と聞いてみたら、それは丁度私がリボーンを誘って買い物をした日だった。
もしかして、見られていたのかもしれない。
綱吉は、リボーンが好きだった…そして、私がリボーンの恋人だと勘違い…そして、潔く自分が身を引こうと出ていった…なんてこと。

「ねぇ、それってやばいんじゃない?誤解とか…」
「いや、あいつは好きな人がいるってでていったんだ」

リボーンの言葉に安心しかけるが、それどころではない。
好きな人って、リボーンじゃなかったんだ。
てっきり、私はリボーンが好きだと思っていたんだけど、この男の嫌なところでも見てしまったのだろうか。
いや、それなら最初から全部嫌なやつだっただろう。
私だって、リボーンのこの性格には少々慣れが必要だったし…。

「綱吉くんが好きだったのって、リボーンじゃなかったんだ」
「そうらしいな…」
「戻ってきてほしいなら言えば良いじゃん」
「言えるわけねぇだろ、こっちが下手に出るなんてやってられるか」

私の家に帰る道すがら恋愛相談室の様なものをしていた。
つくづくリボーンはプライドが高い。
こんな男のどこが良いのか、私はいつも思うのだった。
だから、綱吉くんにも逃げられたのだ、そうに違いない。

「俺が男に惚れるなんてあってはならないことだったんだ」
「ふぅん?」
「女集めるぞ」

ケータイを操作しはじめるリボーンに、そんなことをすればきっと取り返しのつかないことになると私は思った。
綱吉くんがどういう経緯でリボーンから離れたのか知らないが、リボーンはこれ以上何かしたらいけないんだ。

「じゃあさ、私で満足しない?」
「……は?」
「なにその、お前を女として見れるわけないだろ的な目」
「事実だろ」
「けど、私なら一番あとくされないよ。身体だけなんて簡単だし、リボーンは優しいだろうし…私がリボーンに惚れる心配なーし」

こんな安物件他にないと思うんだけど。
なんていって、リボーンを誘ってみる。
こんな会話聞かれれば援交か恋人同士かの二択しかなくなるのだが、私たちはただの幼なじみ。
遊ぶには少し身体が大きくなりすぎたが、悪くはないと思うのだ。

「なんでお前なんか」
「ようは、自分が本気で綱吉くんに惚れてるか試したんでしょ?なら、私の方が楽」

そう思わない?
首を傾げれば少し迷うそぶり。
まぁ、あれだけDV野郎はやめとけ、遊びで付き合わされてるだけだぞ、と忠告してきた男がいざ抱く側になれば同じようなことをしているのだ。
ためらうのもわかるかと苦笑を浮かべてリボーンの返事を待っていれば、やがてわかったとしぶしぶ頷いた。

「そうと決まれば、早速私の部屋ね」
「…お前、それただ一人が嫌になったんじゃねぇか」
「そうともいう」

一人の部屋が嫌だったのもあるし、最近リボーンは綱吉くんばかりだったから少し寂しかった。
ずっと傍にいたそれがなくなると少しばかり拍子抜けしてしまうのだ。
そして、私はリボーンを部屋に呼んだ。
まぁ、いつものことだ。
違うのは、これが男女の関係を目的としているってこと。
私としても身体まで繋げるつもりはない、もしできた時が困るし。
それに、リボーンが女の身体を見て勃つかどうか、そこが問題だからだ。
触って勃てば問題なし、全くの無反応だったら…もう。

「あー、なんか楽しくなってきた」
「何想像してるか、わかるのが尚更苛立つな」
「いいじゃない、そこらへんの女の子で勃たなくて恥かくより全然安いじゃない」

シャワーを浴びるかと問いかければ面倒だからいいと寝室へと入っていった。
私も別にいいかと上着をハンガーにかけて服を脱いでいく。

「リボーンも脱ぐのよ」
「なんで俺まで巻き込まれてんだ」
「当たり前じゃない、勃起してるか見るんだから」

そこの変化も見逃さずに見るんだといってやればイヤイヤ服を脱いでベッドの上に。
私も下着姿になり、向かい合うようにベッドに乗った。

「キスはダメ。いれるのもダメ。どうせなら、きもちよくして」
「面倒だな」

言いながら私を押し倒してくるリボーン。
胸を揉まれて、乱暴な中に優しさが含まれる。
やっぱりリボーンはセックスが上手いのだと安心して身体を預ける。
乳首をくりくりと弄られて、感じる。
はぁ、と熱い吐息を吐きだせば気分が乗ってきたのかもう片方も愛撫してくる。
お互いどこかさめているところがあるセックスは、探り探りで確実に気持ち良くなるところを探しているようだった。
私ばかりがされているのは癪で足をリボーンの自身へと触れさせてみると少し勃っていた。
けれど、硬さも中途半端でいれるにもまだ先は遠い感じだ。

「反応ないわね」
「そうだな」
「んんっ、そこまでしなくていいって…あっん…ひぁっ」
「気持ち良くなっとけ」

リボーンは自分の快楽は後回しに、密部へと指を忍び込ませてきた。
ぬめりを広げるようになぞったあと一気に含まされる指。
リボーンの長い指が中をぐるりと撫で、抜き差しを始める。

「やっんんっあん、あんっ」
「はっ…」
「あーっ、いく、いっちゃうぅっ」

指がどんどん増えて、じゅぷじゅぷと卑猥な水音が響いていた。
こんなに早くいくこともないというのに、限界が近い。
リボーンの腕を握りしめてビクッと身体を震わせた。
全力疾走したかのような疲れが襲ってきてベッドに身体を預けた。

「早いな」
「あのね、あんなテクみせられたらイかないほうがおかしいわよ。で、それ…なんにも反応してないけど?」
「ああ、そうだな」
「…もう駄目なんじゃない?よかったわね、私を実験台にしといて」

ちらりと見たリボーンの下半身はさっきと同じ状態だった。
人をイかせておきながらその冷めたモノはなんだと殴りたい気分になるが、リボーンの心を占めているものは中途半端な気持ちでないと知れた。
ならば、応援してやるのが良い。

「好きな人がいても告白してみれば?」
「綱吉が帰ってこないのにか?」
「そう何日も部屋を空けていれるわけないじゃない。いーい、誤解されるようなモノ言いは避けて率直に簡潔に伝えること」
「……」
「今さら男は無理だなんて言える身体じゃないじゃない。リボーンの身体は綱吉くんしか感じないの。ものにしなさいよ」
「軽く言ってんな。まぁ、待てばいいんだろ」
「そうそう、待てばいいのよ」

リボーンの様子はさっきよりマシになったといったところだろうか。
好きかどうか不安だったんだなと気付いて、笑いそうになるがそれは怒らせてしまうだろうから必死で押し込める。
男の人というのはどうしてこんなにも可愛い生き物なのだろうか。
女のどろどろしたところを考えると全然ピュアだ。
恋する乙女よりも恋してる目に私は、少しの安堵を覚えたのだ。
いつも取り繕ってばかりのリボーンが本心を見せて生活をしている。
それは、それなりに心を許せる人だったということ。
どうか、幸せになってほしいと願うばかりだ。







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