パロ | ナノ

 間違いと修正

目を開ければそこは知らない天井が広がっていた。
俺は一瞬何が起こったのかわからず顔をあげて、周りを見渡す。
自分の身体を見れば裸で、リボーンにやられたのだと気づいてここはリボーンの部屋だったと気づいた。

「ああ、そうか…」

ドアノブを回してみるが開かない。
捕まってしまった…。別に逃げるつもりはないけれど、どうしたものかと考える。
会社に連絡するのだけはさせてほしい。
どれぐらい眠っていたかわからないが、無断欠勤はいろいろと今の時期ヤバいと思う。
でも、これでリボーンと二人暮らしが実現するのだ。
なんとも嬉しいことだろう。
でも、肝心のリボーンがいない…それに、誤解も解けていないのだ。
俺はまったくそんなつもりじゃないのに…。
どうしたらいいのだろうか。

「リボーン、俺の話し聞いてくれるかな」
「起きたか?」
「リボーン」

俺が呟いたと同時にドアが開いて、リボーンが顔をのぞかせた。
俺はリボーンに近づいて口を開くが、その前に唇で塞がれる。

「んんっ…」

俺はキスしたいわけじゃないのにと首を振るのにリボーンは俺を抱きしめて、無防備な自身へと触れてくる。

「んあっ…リボーン…」
「気持ちいいだろ?綱吉、これからずっとお前は俺が囲ってやる」
「だめだって、それ……そうじゃ…あぁっ」
「駄目じゃねぇだろ?あいしてる」

冷たく響く愛の言葉。
俺は何度もそうじゃないと首を振った。
俺がしたかったのはそうじゃない、こうなりたかったわけじゃない。

「りぼーん、りぼーん…」
「ずっと、一緒だ」

リボーンの腕が俺をベッドへと押し倒してくる。
リボーンに開発された身体は触れられれば簡単に火がつく。
俺はリボーンをじっと見つめて、リボーンは極めて普通の顔をしているが…違うのだ。
瞳が…俺の言葉を飲み込まないとして俺を見ていない。
これは違う。
俺がしたかったのは、こうじゃない。
でも、リボーンの瞳に悲しみを見つけてしまえば抵抗らしい抵抗もできなくなった。
俺が悪いんだ、リボーンをこんなふうにしてしまったのも…俺がもっとちゃんとしていればよかったんだ。

「うん…ずっと、一緒だよ」

俺は手を伸ばして、リボーンの背中に手を回した。
ぎゅっと抱きしめてキスを強請れば応えてくれる。
甘く吸われて、甘噛み、俺の身体に触れてくる手は暖かくて心地いい。
すりすりと撫でて、もっとしてと身体を寄せる。
俺はリボーンの服を引っ張った。

「ん?」
「リボーンも、脱いで」

抱くときはしっかりと肌を触れ合わせていたい。
俺だけなんて嫌だと見つめたらリボーンは俺の上にのったまま脱ぎ始める。
いつみてもたくましい身体に俺はほぅっと見惚れて、早くちょうだいと自分からリボーン自身へと触れた。
少し硬くなっているのを感じればベルトを外して、下着を下げる。
シュッシュッと扱きながら俺はそこに吸い寄せられるように顔を寄せた。

「なんだ、してくれるのか?」
「ん、ここ…ローションなさそう」

ホテルなら大体の準備は整っていたりするが、ここではと思ったまま告げると置いておくのを忘れたとリボーンは苦笑した。
とすると、用意はしていたのかと考えて明日からは大丈夫そうだと笑みを浮かべる。
四六時中一緒という環境が初めてだから俺は閉じ込められたと言っても嬉しかった。
俺だってリボーンが好きなわけだし、俺の言葉を聞いてくれないからと言ってもリボーンが俺を好きでいてくれるのに変わりはない。
逃避を続けたいというのなら、俺も一緒が良い。
一人で閉じこもってしまわないでくれて、嬉しい。
俺は握ったそれに挨拶代わりに口づけると、舌で全体を舐めた。
リボーンの弱点は雁首の部分だ、ここを甘噛みしたり舐めたりすると先走りが溢れてくる。
とろとろと溢れてくるそれをすすりながら玉袋も丁寧に揉んで先端をチュッと吸うとリボーンの呼吸が乱れる。
俺で感じてくれるのが嬉しいから、自然と俺の身体も感じ始めてくる。

「綱吉、腰揺れてるぞ」
「んっんんっ…だって、はっ…これ、ほしくて」

口の中に入れていると、リボーンのものが奥を貫くのを想像してしまう。
これが、中を好き勝手動いて俺を感じさせる。
甘い媚薬のように腰から溶けてしまって、世界が二人きりになった気分で溺れていくのだ。
早く欲しい、これで何もかもわからなくしてほしい。
強請るようにリボーンを見上げて、見せつけるように口の中から自身を出し入れして見せる。

「ったく、誘い方も覚えやがって」
「リボーンの好きなことは、全部覚えてるよ」

自身がずるりと口から抜けて、俺は再びベッドへと押し倒された。
足をM字に開かされて指が入ってくる。
リボーンはもう入りたいらしく乱暴にかき回してきて、最近はいつも優しい刺激だったから乱暴にされるのが心地よくなった。
指が一本から三本になっても俺のそこは苦しくなくて、ひたすらリボーンが入ってくるのを待っている。

「ねぇ、ね…ほしいよ…りぼーん、あぁっ…りぼーんっ」
「いいか?」
「ちょっとぐらい、痛くてもいいから」

リボーンの問いかけにこくこくと頷いてリボーンの自身が秘部に触れた瞬間ひゅっと喉が鳴った。

「あぁっああぁぁっ」
「いれただけでイったのか?」
「はっああっ、もっと…ちょうだい、たくさん…突いて」

一気に入り込んできた自身をきゅうきゅうと締めつけてしまい、意図せず腰が厭らしく揺れる。
リボーンが欲しい、膝を掴まれて腰が送り込まれてくる。
奥へ奥へと進んできて、感覚だけでまたイった。
リボーンの部屋で、リボーンが俺を見て…リボーンが俺を愛してる。
そのどれもが俺を感じさせる要因だった。

「お前、監禁されてるって自覚あるか?」
「んんぅ…かんきん?…リボーンと一緒だったら、なんでもいい」

逆に離されてしまう方が罰だと笑えば変なやつと、笑われてめちゃくちゃに突き上げられた。
俺の育てたものは俺の感じる場所を擦り上げて、気持ちよさそうにでたりはいったりしている。
今度、俺の中は気持ちいかきいてみたいなぁなんて考えながらリボーンを見つめた。
さっきまでのあの寂しそうな光は消えて、いやらしく俺を見つめている。
俺の乱れる様をみて、欲情してる。
ああ、俺は愛されてるよ…こんなに、愛してくれる人…リボーンしかいない。
リボーンしかいらない。

「りぼーん、リボーン…おく、だしてよぉっ…あついの、ほしぃ…」

あのネバついたそれで俺の中を濡らして、と自分の思いつく限りの厭らしい言葉でリボーンを誘えばますます抽挿が激しくなる。
しまいには足を抱えられ、胸につくかと思うぐらいに押し曲げられて揺さぶられた。
それが、俺の中のいいところを存分に擦ってくるから口から溢れる喘ぎを止められなくて、首を振って身悶えた。

「うああぁっ、イく…イくぅっ」
「つな、つな…」

ぎゅっと抱きしめられて中へと注がれた。
何度かに分けて注がれるそれに俺は満足げなため息を吐く。
リボーンの種…俺にしか出しちゃだめ。
俺が女だったら、こうして避妊もしないでして孕んで縛り付けられるのに。
けれど、それも違う。
仮定の話しじゃないんだ。
これから、ずっと一緒に居るためには…これじゃいけない。
呼吸を整えている間俺は考えていた。
どうすればリボーンにわかってもらえるのか。どうすればリボーンは、俺との正しい未来を作ってくれるのか。

「ねぇ、リボーン…」
「どうした?」
「すきだよ、大好き」

頭の悪い俺ではまだ考えがまとまらない。
リボーンの頬を撫でて、口付けを強請った。
もっと触れあっていたい、離れたら寂しい。
近づけは近づくほど貪欲になる。
いけないことだろうか?多分、間違い。
でも、この腕の中が温かくてもうどこにも逃がさないと言っているから、つい、何もかも許してしまいたくなる。
リボーンに惚れているのだ、求められたらそれに応えたくなるのなんてあたりまえじゃないか。
どうして二人だけじゃないんだろう、どうして…邪魔なものがあるんだろう。





「じゃあ、いってくるからな」
「うん、いってらっしゃい」

結局俺は部屋から出してもらえない生活を許してしまった。
それでも、無断欠勤はまずいからと会社に休暇届けを出すことだけは許されて俺はメールを打った。
これで暫くは大丈夫になるか、このまま仕事を放置して良いわけがない。

リボーンはちゅっとキスをして部屋を出ていき、かちゃりと鍵がかけられた。
暖房はきいているから俺はシーツにくるまってゴロゴロとする。
この時間が一番きつい。
だって、リボーンがいないんだ。俺も仕事に行ければこんな思いをする暇もないのに。

「やっぱり違うんだ」

俺はネコやイヌじゃない。
ペットではないんだ、人間でしっかりと地に足をつけていかなければならない。
いくらリボーンでもこればっかりはやりすぎなんだ。
これでは、いつ壊れてもおかしくない状態になってしまう。
それは、いやだ…俺は、ずっとリボーンと一緒が良い。
どうしたらわかってくれるのだろう。
どうしたら、俺の気持ちが伝わるのだろう。
結局誤解は解けたのか誤魔化されたのかわからないままで、この状態が続けばどちらかが我慢できなくなる。
俺はまわりを見回した、昼食用にと置いて行かれた食事。
パスタで、フォークがそこにあった。
俺はそれをとれば、じっと見つめる。
少し痛いかもしれない、いや…少しどころじゃないだろう。
けれど、俺がリボーンにしたことはこれぐらいじゃ足りない位だ。
もう少し時間をかけようか…でも、それでは溝が深まるばかりだ。
これ以上心が離れてしまわないうちに、リボーンが俺に耳を傾けてくれるうちに。

「ごめんね、リボーン…ごめんね」

これから俺はきみに酷いことをしようとしてる。
これも一種の試す行為なのだろうか…。
ごめん、ごめん。
でも、リボーンは俺を愛してくれてるって…信じてるから。
これは勝手な気持ちのおしつけだ。
もし、リボーンが俺の思ったような行動をとらなかったばあい…俺はどうにかなってしまうだろう。
もし、俺が少しでも躊躇えばリボーンに疑心を植え付けてしまうだろう。
妥協は許されない。一発勝負だ。
その日、俺はずっと考えていた…これでいいのか、本当にできるのか。
でも、俺の根本は変えられなくて…ただ、リボーンに嫌われなければいいってそれだけ考えた。
日が沈み、辺りが暗くなったころ、玄関から音が聞こえた。
俺は立ち上がり、シーツを纏ったままドアを見つめる。

「ただいま、綱吉」
「ごめんね、リボーン…ここから、出して欲しいんだ」

鍵が開き、リボーンと目があった。
あの居酒屋に居た時の気まずい気分になりながらも俺は笑顔を浮かべて、もっていたフォークを自分の手首へと突きさし思いっきり切り裂いた。
そこから、カランとフォークが俺の手から落ちて自分の腕を伝う生温かい物に怖くなって目を閉じた。
ごめん、とそれだけを唱えながらリボーンの劈くような声が聞こえて意識を保っていられずにその場に倒れ込んだ。
身構えた痛みはなくふわりと浮く感覚に俺は安堵を覚えたのだった。









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