パロ | ナノ

 甘い香り

ケーキ屋にとって忙しい時期というのは、大きく分けて三つある。
一つ、バレンタインデー。二つ、ホワイトデー。三つ、クリスマス。
俺とリボーンが付き合って二カ月が経とうとしていたが、それどころじゃない位毎日が忙しい。
クリスマスケーキの予約、新作ケーキの試作とやることがたくさんあり過ぎた。
けど、それも今日で終わりだ。
今日がそのクリスマスだからだ。
久実はもうイヴとクリスマスとレジをしているからか笑顔を浮かべてはいるが疲弊しているのがよくわかる。

「久実、今日は早めにあがれ」
「え…どうしてですか?まだ、時間あるのに…」
「愛実ちゃんが寂しくなっちゃいますよ」

リボーンが話しを切り出したところで、俺はひとつ箱を冷蔵庫から取り出す。
そして、最近知った久実の愛娘である愛実の名前を出した。
聞く話によれば、彼女はバツイチのたくましい女性だった。
旦那のことについて話しをきくとこれまた頼れない男だから切った、の一言。
でも、愛娘には二人とも甘いらしく別居していると言うだけで食事に行ったりなどはしているらしい。
その方がいいのかもしれない、実際久実は旦那に対してそっけなくしているが旦那が溺愛で、離婚した時も君がその方が楽だと言うならそうしようと言った男だそうだ。
寛容というかなんというか、どこまでも甘い男である。
だが、離婚するときに一つだけ条件を突きつけられたらしい。
それを聞いた瞬間、本当に俺達はそのことについて話しを聞いたことを後悔したのだ。
久実の旦那が離婚する際に突きつけた一言は、他の男をつくらない、だそうだ。

「少しぐらい平気ですよ?」
「はい、これ。三人分ありますから」
「沢田さん…」
「俺が作ったので申し訳ないんですけど…」
「いえ…有難うございます」
「これが俺達からのクリスマスプレゼントだ」

ありがたく受け取れとそっけなくいうリボーンに苦笑を浮かべる。
まったく、ホント素直じゃない。
それを久実もわかっているのか、嬉しそうに笑みを向けて、じゃあお言葉に甘えてと更衣室へと入って行った。

「今日も、閉店まで忙しそうだね」
「今日がピークだろ、売り切るぞ」

忙しくなる店内に振りまわされているうちに久実は帰って行き、俺達が気付くころには閉店時間を回っていた。
丁度ケーキも売り切れてしまい、時間的にもベストだと言うことで店のシャッターを下ろした。
二人で店を綺麗に掃除して、俺は今朝やってしまった失態を今更ながら思いだした。
あとで言おうと胸に秘めていたがこの忙しさでそんなことなどすっぽりと飛んでしまっていた。
怒られるなら最初に白状してしまおうとリボーンを探した時、厨房にいるとわかってますます焦る。

「リボーン……さん?」

ひょこっと顔をのぞかせれば、白状する前にリボーンは怒りの根源を見つけてしまっていて上目づかいで可愛く名前を呼んでみる。

「ツナ、これはなんだ?」
「あ、あはは…生クリーム…泡だてすぎちゃった」
「てめぇ、あれほど分量はちゃんと量ってからだと教えただろうがっ」
「ひーっ、ごめんっ…ケーキ作るのに夢中で」

無駄遣いに厳しいリボーンに怒られて、殴られるの覚悟で居たが拳は振ってこなかった。
代わりに、大きなため息だ。
どうしたのだろうと、リボーンを見れば生クリームの入ったボールを俺に渡してきた。

「え、なに?」
「何って、食べるに決まってんだろ。イチゴが少し余ってたしな。今日はクリスマスだケーキが余らなかった代わりにこれがケーキ代わりならお前は嬉しいだろ?」
「リボーンのケーキが一番だよ。でも、生クリームにイチゴって美味しそう」

今日限りの贅沢、少しぐらいなら許されるだろう。
残りの片づけを終えると、二人して二階へと上がる。
ご飯には久実が置いて行ったおにぎりを食べる。
足りないかもしれないが、デザートに甘いものを食べるならこれぐらいがちょうどいい。

「今頃、久実ちゃんたちも楽しくしてるかな」
「二人きりなのにあいつの名前だすな」
「はいはい」

会話がなくてちょっと盛り上げようとしたのに嫉妬されてしまった。
もう、毎日のように顔を突き合わせる店員の話しでどうして嫉妬されなくてはならないのか…。
嬉しいやら鬱陶しいやら最近よくわからなくなってきた。

「こっち、こい」
「は?なんで?…ベッドで食べるのは行儀が悪い」
「…たく、しかたねぇな」

おにぎりを食べ終えれば寝室へと誘われてなんでいく必要があるんだと言えば、ならここでいいとちょっと拗ねたような声音でいう。
顔は無表情なんだけれど、なんとなくリボーンがだしているサインが最近になってわかるようになってきたのだ。
気だるそうに髪をかきあげたかと思うと、俺をソファに押し付けてきた。

「え?」
「お前がここでいいって言ったんだろうが」

いやいやいや、ちょっとなんで服たくしあげてんの?
ここで良いと言ったけど、何する気なんだ?
混乱している間にもリボーンの手は止まることなく、俺にいきなり口付けてきた。

「んんっ…ふっ……」
「はっ…もう、待ったはなしだ」

咥内を好きなだけ貪られて離されればとろとろととろけて、力が抜けていく。
まず最初に待ったなんてかけた覚えはないけれど、もう甘く痺れている手はソファを力なく掴んだままだ。
リボーンは近くに置いてあった生クリームのボールを手にとり俺の服を完全に丸裸にしてしまうと胸に塗りたくってきた。

「なっ…リボーンッ」
「全部食べるんだから文句はねぇだろ」

文句というか、それは結構変態だ。
恥ずかしくて腕で顔を隠せば胸に顔をうずめられて舌の感触が生々しい。

「ひっ…あぁっ…やぁっ」
「甘いな…」

生クリームを舐めているから隅々まで舐められていつもは舐めないところまでされると知らなかった快楽を知らされてしまい堪らないとリボーンの頭を押し付けるようにしてしまう。
それに気をよくしたリボーンは俺の突起を、水音を立てて吸ってきて、言い知れぬ感覚に腰が自然と揺れて擦りつける動作が止められない。

「もう濡れてるぞ?」
「いうなぁっ…ああっ…そこは、しないでっ」

意地の悪い言葉に笑みを浮かべてまたボールに手を伸ばしてクリームまみれにしたそれを下肢に伸ばされて嫌な予感がして腰を逃がそうとするがそれはできずに自身に思いっきり塗りたくられて死にそうなほどの羞恥を味あわされる。
寄りによって商売道具である食べ物を使われるなんて思ってもいなくて、泣きたくなってきた。

「綱吉、泣くな…気持ちいいなら感じろ…」
「そっ…できる、わけ…あっ…やっやっ…ああぁあっ」

慰めるような言葉が聞こえるが容赦なくそこに顔を埋めてしゃぶられる。
全体をくまなく舐められ、もう無理だと首を振る。
もう、こんな快楽しらない。

「ああっ…おれだけ…やだぁっ」
「なんだよ」

それでも自分だけやられているのは気にくわなくて、リボーンのそこに手を伸ばす。
俺と違ってまだ服を着ているためわからなかったが、リボーンのそれも大きくなっていて俺はついそれを舐めてみたいと思ってしまった。
いつもはこうしてやられるばかりだが、たまには俺もしてみたい。
俺も男なんだ、気持ち良くさせてやりたいとも思う。

「…これ、俺も…なめたい」
「は?」
「リボーンの…舐めさせて…?」
「お前、何言ってるかわかってるか?」
「わかってるよ…そういう、気分になる時もあるんだ」

驚いたリボーンの顔がつい面白くて愛撫の手が止まれば身体を起こして立ち上がる。
ソファでやるのは、やはりせまいと思うんだ。
でも、上手く立てずにふらつけば支えられて手に生クリームのボールを持たされ、そのまま抱きあげられて寝室まで運ばれる。

「たまにはいいな…」
「楽しんでるだろ?」
「楽しませてくれるんだろ?」

ベッドに下ろされればリボーンは自分で服を脱ぎ、そのたくましい身体に目を奪われる。
なんでこんなにかっこいいんだろう…パティシエのはずなのに、俺との体格差を見せつけられて嫉妬するところなのにかっこいいと感じてしまう。
その間にも俺は生クリームを準備しようと手に取るが、少し味見してみようと自分の指を舐める。

「あ…美味しい」
「泡だてただけで早々味は変わらねぇだろ」
「でも、美味しいよ」
「おら、続きするぞ」

腕を引かれて抱きしめられると舌を絡めてお互いの唇を貪る。
俺が座ったリボーンの自身を握れば小さく息を乱すから煽られる。
リボーンをベッドに押し倒して自身を生クリームまみれにする。
ごくりと生唾を飲み込み、そこに顔を埋めようとすれば止められる。

「こっちに乗れ」
「え…やだ、恥ずかしい」
「早くしろ」
「…ぅう」

有無を言わせない言葉に仕方なくリボーンの上に乗り上がり尻を向ける。
もう嫌だと泣きそうになりながらもやっと舐めることを許された自身に舌を這わせる。
いつも俺の中に入り込んでくる熱いそれは近くで見るとグロテスクでそれに何故か愛おしかった。

「ん…ふ……んんっ…」
「…っ…はっ…やばいな…」

リボーンは吐息交じりに呟きながら秘部にクリームを塗りつけられてそこに舌を這わせてくる。
今日は何が何でも舐める気なのかと背筋を震わせながら、自身を先端から全体を舐める。
だんだん硬く、大きくなってくると腕を引かれてもういいと言われる。
今度はなんだと振り向くとそのまま身体を起こされて腰を落とそうとすると腰を掴まれ秘部に合わせられる。
熱いそれが触れれば一瞬ピクッと震えるが、腰を離されて中腰が今の俺に出来るはずがなくゆっくりと自身を飲みこみ始める。

「あっあああぁっ…やぁあっ、ふかいっ」
「っ…しめつけも、すげーな…」

一気に自身を飲みこんでしまえば反動で動けずにいたが、中で脈打つのを感じれば自然に揺れ始める。

「んっ…ああん、とまらな…とまんなぃっ」
「ああ、顔がみれねぇな…こっちむけよ」
「ひっ…むり、むりぃっ」

そうなればどうなるかわからないと首を振って嫌がるが足を動かされ腕を引かれればゆっすりと身体の向きを変えさせられる。
中全体を擦られる感覚に痺れて、リボーンを向くころにはろくに力が入らず胸に手をつくと泣きそうになりながら助けてと縋る。

「んんっ…あっ…」
「ここからだろ?」
「ひっあっ…やぁっ…もう、むりっ…いくぅっ…」
「ここも生クリームかわからないな」

自身を撫でられて淫らな声をあげてしまう。
リボーンも限界なのか中でぐぅっと大きくなって腰を掴まれると乱暴に突き上げられて身も世もなく泣き喚いてしまう。

「ああっ…いくっ、いくっ」
「イけ…中で出してやる」
「ひっ、ああぁぁっ!!」

ついリボーンの胸に爪痕をつけてしまいながらも白濁を吐きだし、暫くして中へと放つのを感じればそのあと俺は一気に力が抜けて意識も途切れた。



「ん……」

目を開ければ、もう朝で忙しい日が通り過ぎたことに安堵して小さくため息をついた。
隣を向けばいつもはこの時間起きているリボーンが寝ていて、平気そうな顔をして疲れていたんだなとそっと唇を寄せて口づける。
こんな顔を見るのも一年に一度だけだと思えばもう少し見ていたい気もする。
それに、まだ起きるけはいもないし…。
今は、まだ柔らかいまどろみに身を任せよう。



END





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