パロ | ナノ

 白夜

冷え込み始めた夜、俺は駅前に来ていた。
着慣れないスーツに周りの視線が気になってここに呼びだした張本人であるリボーンを待っていたのだ。
今日が二十五日というだけあって、街はクリスマス一色に染まっていて、俺の周りにも待ち合わせしているのだろう女性や男性が立ち並んでいた。

「まだこないのか…」

リボーンは仕事を早抜けしてくると言って俺にここで待つように指示をした。
俺は普通の恰好で出てこようとしたのだが、服が見つからずこれ見よがしに置かれたスーツに身を包んだのだ。
そして、誕生日にプレゼントされたトレンチコートを羽織ってここに来ている。
リボーンの考えそうなことだったのだ、最初から。
くれるのがコートだけだなんてなんでそのとき納得してしまったんだろう。
だから、今日は少しばかり怒ってやろうと思ったのに待ち合わせより三十分の遅刻だ。
ホストなんて職業だから少しぐらい遅くなるのは、仕方ないと思っているけれど…季節が悪い、息を吐きだせば白い息が出てそれほど寒くなっているということを知らせてくる。
天気予報じゃ、今日の夜は一番冷えて雪が降る可能性もあるらしい。
電車に乗る用事はないが、雪が降るって言うだけで寒く感じる。
マフラーを持ってくればよかったと思いながら、通りに目をやればようやく待たせた本人が足早にこちらへと向かってくる。

「遅い…」
「すまん、抜けるに抜けられなかった」
「…別に、いいけど」

素直に謝られるとは思ってなかったため、怒るに怒れなくてリボーンの手を握ることでむしゃくしゃした気持ちを落ちつけようと思った。
ぎゅっと握っただけなのに、指を絡めて握りなおされて俺が恥ずかしくなる。

「待たせたな…指が冷え切ってるぞ」
「いいって、ほら…行くんだろ」

俺がスーツを着ているからか、リボーンの機嫌がいいみたいだ。
笑みを浮かべて目的地へと向かうため手を引いてくれる。
というか、俺はどこに行くのかも知らされてないんだけど。

「どこに行くの?」
「すぐそこだ」

言いながら本当に近くだったらしい大きいビルの中に入っているらしく高級感漂う店に入って行く。
もう、なんか嫌な予感を覚えている。
だって、リボーンがスーツを着せたがった理由が見つかってしまったから。

「いらっしゃいませ、お客様失礼ですがお名前を」
「予約してたリボーンだ」
「はい、リボーン様…お待ちしていました、中へどうぞ」

なんで様付けっ!?
驚いた顔でリボーンを見るが、こちらを見ようとはしない。
なんなんだ、これはと思いながら中に進んでいくがどこも個室になっているらしく他の客とすれ違うことがない。
こちらです、と丁寧に案内してくれたウェイターが個室のドアを開ける。
そして、お待ちくださいと言い置いてそのまま出ていってしまった。

「なんだよ、ここ」
「何ってレストランだ」
「いや、レストランってもっと賑やかでいいと思うんだけどっ」

なんでこんなに物静かなんだ、逆に落ちつけない。
俺の知っているレストランはもっと家族とか沢山で子供の笑い声や話し声なんかが聞こえてくるアレで…。
混乱しそうと頭を抱えそうになる。
時々、リボーンは俺の知らない男になる、それは多分ホストとしてのリボーンで俺の知らない顔を他の女性たちには見せていると言うこと。
でも、やっぱり皆の知らないリボーンを俺は知ってるから、それで良いと思う。

「いいだろ、一度ぐらいお前をつれてきたかったんだ」
「なにそれ、これから何度もあるんだろ…」

言ってから何度もここに来たいみたいな言い方だったと思いなおして慌てて言いなおそうかと口を開きかけるも、リボーンの顔が幸せそうに笑っていたからつい…言う気が失せてしまった。

「そうだな、何度もあるな」
「でも、こういう時だけでいいから」
「善処する」

なんでこんな甘い雰囲気なんだろうと少し不安に思いつつ、待っていると前菜から運ばれてきた。

「コース料理っ!?」
「驚くことか?」
「驚くよ、平凡な一般市民を舐めんな」
「ニートは一般市民なのか?」
「うるさいっ」

リボーンの調子に乗った言葉にまったくと呆れたため息をつきながらも料理を食べる。
一口食べれば、すごくおいしくて悔しいがすぐに食べ終わってしまった。
そして、それを見計らったかのように次々と運ばれてきて俺はどれも美味しくてそれだけで幸せだった。
この時、人間は美味しい食べ物でも幸せを感じることができるんだとしみじみ感じていた。
二人でデザートまで食べ終えると暑くなってコートを脱ごうとするとリボーンがこっちを見ていた。

「脱いでもいい?」
「まだ、脱ぐな。そろそろ、行くか」
「どこに…?」

食べ終わったら次だと個室をでようとするリボーンに問いかければ上を指さして笑みを見せたあと、こういった。

「天国だ」





「うわ〜、すごい…」
「ここからの景色は絶景らしいぞ?」

意味深な言葉を言ったリボーンが俺を連れてきたのはレストランの上のホテルだった。
高級レストランと隣接しているだけに、見劣りするものでなく手が届きそうにないほど高級感漂うフロント、鍵を渡されてエレベーターで昇って行けば部屋に入ったとたん広がる室内。
マンションと同じぐらいはないだろうかという広さだ。
というか、これの値段って……。
リボーンがプレゼントしてくれるのだ、ここは気前よく何も考えずに受け取っていた方がいいのだろう。
それに比べて俺の考えていたプレゼントなんてなんて安上がりなのだろうとちょっとへこみそうになるが、あり得ない位の羞恥を味わうことを思えば同等だと思うんだ。
そんなことも忘れてしまうぐらい、窓から見える外の景色は最高だった。
下を見下ろせば街のネオンがきらめいて、星のように鮮やかだ。
絶景というだけあってすごく綺麗だ。

「つな、他も見ないのか?」
「もうちょっと、みる」

飽きもせず五分ぐらいそうしていると呆れた表情でリボーンが言っている。
窓に映り込んだリボーンを見ながら外を見ていれば、雨ではなく白いものがパラパラと降り始めた。

「あ、雪だ」
「ホワイトクリスマスか…」
「積もるかな…?」
「このまま強くなれば積もるんじゃないのか?」

言いながらリボーンが後ろから抱きしめてくる。
窓から一向に離れない俺に痺れを切らしたのだろう。
クスリと笑みを浮かべて前に回ってきたリボーンの掌に手を重ねる。

「意地悪してんのか?」
「そうじゃないって…」

俺は恥ずかしいけれど、行動を起こすのなら今だとスーツのポケットに忍ばせていたものに手を伸ばし、自分の首に巻き付けた。
窓で確認して振りかえる。

「俺、ニートだからさ…お前に気の利いたもの一つもあげられなくて、でもなんかあげたいって思ってこれしか思いつかなかった。今晩リボーンに、俺をあげる」
「ばかが…十分だろ」

リボーンを見つめれば、ぎゅっと抱きしめられて痛いぐらいに抱きしめてくる。
なんだか知らないが、成功したのかと納得すれば俺も抱きしめ返してどちらからともなくキスをした。
ちゅっちゅっと音を立ててキスをして、少し触れるともっと欲しくなって深く重ね舌を絡ませる。

「ん…んんっ…ふっ…」

するりとスーツの間から手を入れてワイシャツの上から肌を撫でられて温かい掌に胸を突き出すようにしてもっとと強請る。
キスをしたまま、ボタンを外され突起を摘ままれると甘い痺れが体中に行きわたり息を乱す。

「最高だな、俺の服を着ているお前を脱がせてみたかったんだ」
「なんか、変態っぽいよ…」
「なんでもいいだろ、ロマンだ」
「また、それ…」

リボーンのロマンという理想像はどんななのだろうと少し心配になるが、もう知らない。
リボーンの指が好き勝手蠢いてそれが気持ちいい。
自分からキスを強請って、首に腕を回そうとしてそれは止められた。
前はいつの間にか全開で今度はズボンに手をかけてくる。
いくらなんでもこんなところでするのかとちょっと心配になった。

「ちょっとまって…」
「無理だ、お前が煽った」
「煽ってな、ぁい…はぁっんん…」

勝手な言いがかりだと抗議しようとするがするりとズボンが落ちて下着も落とされてすでに少し反応しかけていた自身を握って扱かれたらひとたまりもない。
気持ちよさで後半が喘ぎ声になってしまい、羞恥で頬が熱くなる。
腰まで痺れが回ってくれば掴まるところがないと手の置き場に迷っていれば身体を反対の窓側に向けられて今見ていた絶景が視界に広がる。
そして、そのあとも快感が持続するように自身をいじられ続けて窓ガラスに手をついて腰をリボーンに向けて振っていた。

「んああぁっ…ゆび…いれてぇっ…」
「もう欲しいのか?」
「ほしっ…あそこ、ほしいぃ…」

自身ばかりではとりあえずは気持ち良くなるが、俺の身体はリボーンに抱かれるようになってからというものそちらだけでは満足できない身体にされていた。
秘部が綻んで何もない中を締めつけている。
窓越しにリボーンに泣きそうになりながら訴えれば、何かを耐えるような顔で秘部へと指を貰った。
ぐちゅぐちゅと濡れた音を立てているのは、俺が最初からそこに少し塗りこんできたからだ。
なんだかんだ言っても、やっぱり恋人でクリスマスにデートなんて言うから、期待しても変じゃないだろう。
それに、こういうのも嫌いじゃないし…。

「綱吉…みんなにイくとこみせるか?」
「ばかぁ…やぁっ…」
「嫌?窓に擦りつけといて何言ってやがる」
「あぁぁあっ…いわな、でっ…はぁあっ、ああん…」

耳元でいやらしく囁かれるたびに俺の腰は俺の想いとは裏腹に窓に自身の先端を擦りつけ先走りを塗りつけている。
冷たくて、先端を刺激するその感触は一度味わってしまうとなかなか止められなくて後ろからリボーンが見ていると言うのに腰が止まらない。
こんな羞恥を味わうぐらいなら早くあの場所を埋めて、リボーンのことしか考えられなくしてほしい。

「りぼ…りぼーん…入れて、なか…たくさんしてっ…みんなに、見せても…いいからぁっ、りぼーんが……ほしぃ、よっ」
「綱吉…お前は、いつでも最高だな…」

後ろから伸びてきた腕が引き寄せるまま顔を後ろに向けて甘く口づけ、指が中から抜けていったかと思えば熱い男根が秘部に宛がわれて入れられていないと言うのに中が疼く。
早く入れてと腰を押し付けるとずるっと先端が入り込み、すっかり慣らされた身体は易々と太く長いものを飲みこんでいく。

「あぁっ…あっあっ…やっ、とまらなっ…はっあっ」
「とまらなくて良いだろ?…好きに乱れろ」
「ぅああっ…やぁあっ、イくっ…でるぅっ…あああぁぁっ!!」

耳たぶを甘噛みされたら、もう駄目だった。
好き放題に腰を振って中を締めつけ手が滑って立っていられなくなりそうになればリボーンの手が俺の手に重なって腰を思いっきり使って一番気持ち居場所を擦りあげられてたまらず身体を震わせ、窓に向けて白濁を放っていた。
くたりと力を失ってずるずると座り込んでしまえば、今度はリボーンに抱きあげられてベッドに運ばれてしまう。
そういえば、まだリボーンはイってなかった…と朦朧とした頭で考えてリボーンの頬に手を添えて自分から口づける。

「まんぞく、した?」
「そうだな…お前をみせるのは、あまり好きになれない」
「ははっ、なんだよ…それ」
「もう、これからの時間は俺だけのものだ」

最後まで自分勝手な理由で振りまわされている。
でも、そこも愛しいんだ。これからされるせいいっぱいの愛情が俺に愛してるを伝えてくる。
どうか、これからも…一緒に……。




END





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