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▼ コスプレ、好きですか?



「ねぇ、名前。これすごく似合ってると思わない?」
「あー、似合ってる似合ってる」

ここは折原臨也の仕事場兼自宅のリビング。
俺はひらひらくるくる回る臨也をチラリと一瞥して適当な言葉を述べた。
季節は秋だというのに今一暑さが抜けない昨今、臨也はある伝手からヴァンパイヤの衣装を借りてきたらしい。
上機嫌で着替えたと思ったら見せつけてきている。
臨也自身、ノリノリである。

「シズちゃんはいいのか?」
「ああ、今日は飽きちゃったから」
「そー」

いつもバイト中と知っていても茶化しに行くぐらいシズちゃんのことを気に入っている臨也。
どうやら今日は飽きて、コスプレに夢中らしい。

「名前は何か着ないの?いっぱいあるよ、猫耳、セーラー、包帯、眼帯、あっエクソシストの衣装もある」
「俺は着ないぞ。臨也だけで楽しめばいい」
「つれないねぇ、そんなに素っ気なくすると血を抜き取って俺の栄養にするよ?」

臨也は俺の足を跨ぐようにして向かい合わせに乗ると首筋をすすっと撫でてくる。
その誘うような仕草に視線を臨也に向ければ自分の唇を舐めてみせる。

「波江さんは?」
「こんなことするのにいるわけないだろ。今日は臨時休業」
「道理で朝からコーヒーが運ばれてこないわけだ」
「名前に上げるコーヒーなんて一杯も無いけどね」

波江さんはとても俺に優しかった。こうしてソファに座ってるだけでちゃんと働きなさいよと言いながらもコーヒーを持ってきてくれるのだ。
意地の悪いことを言う臨也の服を掴んで引き寄せた。
うるさい口はこいつの場合すぐに塞いでしまうに限る。

「あはっ、ヤる気になった?」
「ヤらないと無理やりヤられるからな」
「名前は飲み込み早いなぁ」

いつまでも馬鹿にする態度は口を塞いだところであまり変わらないことも学習しておいた方が良いだろうかと呆れたようにため息を吐いた。
大体、俺はこんなことをするためにここにいる訳ではない。
俺はしがない物書きで、目の前のテーブルにはしっかりとノートパソコンがある。
どうして、そんな物書きがこんなところにいるのかと言うと、とあるマンションに住んでいたのだが臨也に買収され行くとこがなくなり、"偶然"臨也の部屋に空きがあるからと転がり込むことになったのだ。
それで漸く安心して書くことができるかと思ったらそうじゃなかった。
誘われたのはものの弾みとか、そんな感じだった。
九十九屋に薬を盛られたとかで出来上がった臨也を介抱しようとしたら食われたのだ。
こちらとしても抵抗しようとしたらできないわけじゃないし、男に抵抗なかったわけじゃない。

「ノリで男抱くなんて…ホント変わった人間だ。名前」
「ノリで抱かれる方もどうかと思うけど」

まぁ、臨也が筋肉ムキムキの彫りの深い顔だったならごめん被ったとは思うが、ヘタにいい顔だからか気にならなかった。
そして、俺は物書き兼ダッチワイフとなったのだ。

「これ、どうなってるんだ?」
「こっちにボタン、マントは流石に邪魔だな」

これがあれで、と少し苦戦しつつ臨也の服をはだけさせると白い肌に赤い痕をつけていく。
最後にヤったのは一週間前ぐらいまえになるだろうか、いつもつける痕が消えたのは少しばかり不快に思った。

「名前って、痕つけるの好きなの?この前至るとこについてて流石に引いたんだけど」
「んー、どうだろ?でも、なんか臨也の肌って吸ったら赤くなるから楽しい」
「そんなんで付けられてたら俺外出られなくなるんだから止めろ」
「…覚えてたら」

臨也の言葉に頷きながらまったく改めようとは思わなかった。
現に返事をしながらまた痕を残す。
首筋に付けないだけマシだと思ってもらいたいものだ。
突起をチュッと吸ってもう片方を指でこねる。
小さく身体を跳ねさせる臨也に優越感を得る。
期待にズボンが盛り上がってきているのを見れば身体は正直だなとそっと笑ったつもりだが、頭を叩かれた。

「痛い、乱暴すんな」
「なら、下品に笑わないでくれるかな?」
「下品じゃないっつの、相手の反応みて嬉しくなるのは当たり前だろうが」
「っ…そーですかっ」

こっちは悪くないだろと言ってやれば、ふいっと顔を逸らして投げやりに言った。
照れるならもっと可愛い反応を返してくれと思いつつ突起を痛いぐらいに噛んでやったら可愛い声が洩れた。
臨也自体も驚いているようで目をばちくりとさせている。

「ほう、痛いぐらいがいいのか」
「あっ、ちがっ…勝手に勘違い…んっ、するな」

カリカリと歯を当てて刺激してやると息を乱して気持ちよさそうな顔をする。
ズボンは苦しそうにしていてベルトを外すと手を突っ込み自身を揉み始めた。

「あっ…名前…」
「そういえば、ヴァンパイヤって自分に夢中にさせて血を吸うんだろ?今まさに吸い時じゃないのか?」

快楽に夢中になっている臨也にそんなことを言ってやれば一瞬なにを言ってるかわからないと言う顔をしたが、すぐに理解したらしく首筋に噛みついてきた。
でも、本気で噛む前に自身を扱けば力が抜けて俺にしがみつくようにして感じている。
快楽に従順なところは可愛らしいと思うのだ。
臨也の髪を指で撫で、こちらも満足させてもらおうと一旦臨也から手を離し自身を取り出した。

「下も脱いでここに来いよ」
「俺をそんな風に扱うのはキミだけだよ、名前」
「そりゃ、光栄なコトで」

寝てる体勢ならいいが、足を開いている状態では脱がせられない。
臨也が降りて脱いでいる間に此方も上だけを脱いでしまう。
これは俺の服が汚れないためだ。
セックスする度服を捨てる羽目になるのは避けたい。

「淡白な顔してガチガチ」
「欲情しないより良いだろ?」
「そうだね。じゃ、イタダキマス」

俺のモノを扱いて唇を舐めると俺の上に乗ってくる。
そのまま体重をかけて自分で飲み込んでいく様をしたから見ていた。
この、いれていくときにする少し苦しそうな顔が堪らなくそそる。
そんなことを言えばこうして乗ってくれることもなくなるだろうから一生言わないけれど、そのあとに気持ちいいとばかりにとろけた顔をするからそれも見ものだ。
ゆっくりと飲み込まれていく感覚にこちらも感じさせられて息を乱せば臨也は笑みを浮かべた。

「その顔、すごくいいよ」
「そーかよ」
「気持ちいいって言えよ」

そっちこそ気持ちよさそうな顔してるくせに、促されるまま気持ちいいと言えば楽しそうに笑って自分で腰を振っている。
厭らしい腰づかいに、他にもこういう経験があったのかと探りたくなる。
聞けば言うのだろうが、聞きたくないのでその話題は一生ないだろう。

「臨也…」
「なに、もういく?出していいよ?」

ぐちゅっぐちゅっと卑猥な音が聞こえてくる、臨也自身からは先走りも溢れているので感じていないわけではない。
こうも主導権をとられたままでは俺だって納得いかない。
俺は臨也の腰を掴んで深く中を突き上げる。

「ひっ…あぁっ…なにす、ひらがなっ」
「ほら、こういうときは一緒にいくのがセオリーだろ」

一人なんて都合のいいこと考えてるなよ、と笑ってやれば予定が狂ったとばかりに睨みつけるような顔を向けてくる。
そんなところも楽しいだけだというのに。
呆れながらもだんだんと余裕もなくなり身体を震わせて二人同時に果てた。

「ははっ、白…」
「お前がかけたくせに」
「顔射にならにくてよかったよ、実にね」

なにもよくないだろと突っ込もうとしたが話しがややこしくなりそうで無視をした。
上半身にかかった白濁を近くにあったティッシュを引き寄せぬぐい取る。
臨也は俺の上から降りると脱ぎ捨てた服を踏みつつシャワーを浴びに行ったようだ。

「ったく、飽きるの早すぎだろ」

俺は仕方なく服が汚れていないことを確認して服を畳んだ。
俺もシャワーを浴びたいが、臨也が入ってるところに行けば勝手に入ってくるなと言われるのでひたすら待つのだ。
必要以上に踏み込まれるのを極端に嫌う臨也、どうして俺を住まわせることにしたのか半年になるのにわからないままだ。
気紛れな臨也のことだから、飽きたら適当に部屋をあてがわれるだろう。
それまでは、こちらも暇つぶしだ。一緒にいるのも悪くない…。





END




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