黒バスBL | ナノ

理性が切れるぐらい


今年から住み始めたマンションの寝室で、俺は待っていた。
先日京都に出かけたときに見つけた、素敵なものを恋人にプレゼントしたのだ。
今はそれをきてくれている…はず。

「レオ、できたかい?」
「ちょっと、待ってっ」
「さっきからずいぶん待ってるよ、いつまで心の準備をしてる気?それとも、着かたがわからないのかな…タイガに電話して」
「そ、それはいいからっ」

着れてはいるけど…ともごもごしているのを聞けば、遠慮はいらないとドアを開けた。
そこに深紅の着物を着たレオの姿があった。
しかも、少し恥じらってか頬が紅潮している。

「とても綺麗だよ」
「あんたね、それは女子にいう言葉でしょ」

褒めたつもりだが、嬉しいのと男の自分としては複雑なのか変な顔をしている。
そんなところも、可愛いんだと言えばまた怒られかねないのでそれは口にすることなく、ぐるりとレオの周りをまわってみる。
帯を前結びにしてしっかりと着てくれたらしい。

「ここも、ちゃんとしているね」
「辰也が指示したんでしょ、本まで買ってきて」

びしっと指さされたそれは、真新しい着物雑誌だった。
前結びの結び目が綺麗にできたそれをしっかりとやってくれるのだ、これ以上要求することなど何もない。

「うん、嬉しいよ。レオ、寝室に行こうか」
「せっかく着たのに?」

俺はレオの手を引きながら寝室へと入った。
わけがわからないと言った表情をしているレオに笑みを向けて、ベッドに座らせる。

「レオ、知ってる?恋人に服を贈る場合…着てもらいたいって言うのもあるけれど、その服を着た恋人を脱がしたいって言うのもあるんだよ」
「…っ…あんたねぇ」
「嫌?」

髪を優しく梳いていえば、顔を背けられてしまう。
着物を無理やり着せたのが悪かったかな、と苦笑して襟にそっと手を添わせた。

「せっかく着てもらったのに、ごめんね」
「そんなこと、微塵も思ってない癖に」
「そうだね、俺はレオのこと脱がしてぐちゃぐちゃにしたくて、たまらないよ」

肩に手を添えて力をいれる。
そんなに力をいれずに押し倒されてくれたところを見ると、満更でもない様子だ。
ちゅっと音を立ててかわいらしいキスをすると腕が伸びてきて頭を引き寄せられる。
深く重なった唇はお互いに唾液を交換し、好きなだけ舌を絡ませた。
振り袖のそれは、ベッドに綺麗に広がって加虐心を煽ってくる。
真ん中で綺麗に蝶のように広がる帯を解いて行く。

「着物って便利だよね」
「…は?」
「一気に脱がせられるからね。下着…つけてなかったってことは、誘われているんだろう?」

腰骨をするりと指先でなぞればピクッと震えて、視線を逸らす。

「あんた、恥ずかしいのよっ」
「別にそれが特別嫌いじゃないってことも、知ってるんだけど?」
「っ…」

分が悪くなると口を閉ざしてしまうのはレオの癖みたいなものだ。
足を開かせて間に身体を割り入れるとすべすべな肌を眺める。
それにキスを落としていけばだまって息を殺している。
左胸に手を当てればどくどくと早鐘を打っていてレオも期待しているのがわかった。
突起を指先で捏ね、凝ってきたのを見て舌で嬲る。
レオは片手を口に持っていき、甲に噛みついて声を抑えているようだ。
そこだけでも感じるように開発したのは俺で、すっかりと俺の好みに身体が変わっている。
一緒の大学にいって四年間を共にした。
社会人になって離れるのかと思っていたけど、当然のようにレオは近くに居て…俺も離したくないと思っていてちょうどよかった。
最初こそ、偶然のようにルームシェアしてお互いの生活リズムにはぶつかったことも多々あるが、結局一番居心地のいい場所になってしまった。
それが恋人になったのはつい最近のこと。
お互いに相手の恋人に、もっとマシなやつにすればいいのにと思っていたことから、この関係に発展した。
思えば、お互い相手のことしかみていなかったというわけだ。
俺はレオに隠れてこっそり買っていたローションに手を伸ばす。
少なくなっていたから俺に全部任せていたのが悪いんだよ、と内心で言いながらそれを手に出した。
太股に塗って冷たさに一瞬震える。

「っ…」
「すぐいれる?それとも、前戯はたっぷり?」
「どっちでも、いいっ…いちいち聞かなくてもわかりなさいよ」
「わからないよ、レオの趣味なんて」

言いながら指をいれた。
もっと塗りこめるようにローションを足して、ぐぷぐぷと吸いつく感触を楽しむ。
入口を指でひっかけるようにして抜き差しすると、それが気持ちいいのか時折息をつめて耐えている。
そのうち、反応が変わった。
切れ切れな呼吸を繰り返して、頬は羞恥でなく紅潮している。

「辰也、なに…した?」
「気づいた?ちょっと、媚薬入ってるローションなんだ」

気持ちい方がいいだろ?と言ったら、容赦なく足が飛んできたのでとっさに足首を掴んだ。

「乱暴だよ、レオ」
「うっさいわよっ…あんたこそ、こんな…あっひぁっ…やめっ、もう…」

悪態をついているあいだにも媚薬の効果は増していて、切なげに眉を寄せ腰を揺らすレオは着物と相まって媚態にしか見えない。
指を抜き差しするだけで先走りを溢れさせ始める。
ぎゅっとシーツを握り涙を浮かべて嫌がるように首を振った。

「だめ、たえられない…っ…んっんーっ」
「すごいな、指だけでイった」
「はっ、はぁ…私だけなんて、卑怯よ…はやく、きなさいよ」

レオの手が伸びてきて無理やり自分で抜くと、秘部を見せつけるように開いて見せた。
そこはもうヒクヒクと俺を誘うように口を開閉させていた。

「今日はどこまで耐えれるかな?」
「ばかじゃないの、それは…あんたでしょ」

先端を宛がえば、息をつめそれを意識的に抜こうとする瞬間に入りこんだ。
いつもは少し痛がったりするのだが、今日は誘いこむように中が蠢いている。
最初から持っていかれそうだと思いながら唇を舐めると不意に手が伸びてきて引き寄せられた。
無理やりキスをして、舌を舐めとられる。
中もそれに連動してしめてつけてくるからこちらも慌てて腰を振った。
レオとのセックスは時々どっちが主導権を握っているのかわからなくなる。
感じるポイントを擦り上げると明らかに反応が変わった。

「はっ、やめっ…そこ」

唇を離して、逃げようとする腰を引き寄せた。
信じられないという顔で睨まれたが、こちらも媚薬の効果がだんだんと発揮されていくのだから仕方ないだろう。

「気持ちいところ擦ってあげるからね」
「たつや、ちょっ…もう、またぁっ…」
「いいよ、たくさんイって?なんなら、ここも触ってあげようか」

ぐりぐりしてあげるね、とあえて卑猥な擬音をつかって言えば、ますます締まりが良くなって、恥ずかしいことが好きなのかなと次からも使う気で笑って、自身の先端を指先で文字通りぐりぐりと撫でる。

「ああっ、やっ…あぁっ!!」
「すごいな、今日はどこまで出せるか試してみようか」
「ん、んっ…あ、あ…もっと、あつい…」

理性が切れてきたのか、朦朧とした目で見られて腰を揺らす。
奥へと突き上げるとあられもない声が上がった。
そのたびのぷしゅっと自身からは溢れている。
潮噴きでもしたのかな、と楽しそうに眺めて腰を振った。
どろどろに下肢はぬれて、レオの抵抗がなくなってくる。

「あん、うあっ…っと、おく…そこ、そこっ…もっと、してぇっ」
「やらしいな、レオは乱れるとこんな風になるんだね」

ますます好みだと笑って、俺も感じるままに奥を突き上げて、出したいと思った時にはもう射精していた。
一般に向けて売られている合法のものなのに、こんなに効果が強くていいのだろうかと不審に思いながらも止められない。
突き上げるたびに、中からぐしゅぐしゅと溢れてくるのも卑猥だ。

「あ、れお…もう一本入りそうだ」
「やめ…ひっ、やめて…またぁ…ああっ」

擦ってすっかり赤くなってしまっているそこに指先で触れればまだきゅっと締めつけている。
もう出るものも少なくなって、精液も水っぽくなってしまっているのに感じて仕方なくて、熱が去らない。
しまいにはもう終わってとレオは泣きだして、慰めるようにキスをした。

「や…もう、はやく…」
「これが最後だ」

多分これで俺も打ち止めだ。
笑ってレオの腰を引き寄せ、最奥を突き上げて腰を回した。
俺の手を握って爪をたて、イキっぱなしになっているらしく常に締めつけてくる状態だ。
のどがかれてきていて少し痛ましい、舌を差し込んで唾液を流しこんでやれば、わずかな水分も欲しいと絡みついてくる。
レオの視線を感じて、目を開けるともうイきたいと訴えていた。
涙を拭うように頬を撫でて、腰を抜けそうになるほどに引いて一気に突き上げた。

「ぁっあああーーっ!!!!」
「っ…はぁっ」

次が来る前に抜いて、ようやく打ち止めとなった。
お互いにベッドに身を沈めてぐったりとしてしまう。

「さいあく…そのローション、貸して」
「なにするの?」
「捨てるのよ、一体どこからこんなのしいれて…」
「ん?」

レオがローションのボトルのラベルを見て固まってしまって、俺はその理由を知るためにレオと同じ目線でそこを読んだ。
社名のところに、赤司コーポレーションと書かれていて、俺も動きを止めた。

「征ちゃん…」
「赤司くんって、こんな会社経営してたの?」
「え、うそ…え、えっ!?」
「レオ?」

なんで嘘でしょ、と混乱しているレオから俺はそっとローションをとり上げた。
世の中知らない方が良いこともある。
…多分。
そういえば、アツシが赤司くんが新たな事業を開拓しようと頑張ってるから俺も頑張らないとねと張り切っていたのを思い出したが、まだレオには言わない方が良いだろう。

「水、持ってくるね」

ちゅっと汗でぬれて見えている額にキスをして、ベッドから降りるとそっと寝室を出た。
着物は汚れてしまったが、あとでクリーニングに出せばまた使えるだろうかとレオが聞いたら卒倒しそうなことを考えて、俺は水を取り出すと寝室に戻ったのだった。
ついでに、ローションも隠しておこうと思って。



END



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