黒バスBL | ナノ

一枚上手の恋人


はぁ、と熱っぽい吐息を吐きだす。
俺はベッドの上で、裸になった身体を小さく丸めた。
暖房は少し低めに設定しているがむしろそれが丁度いい。俺の中から聞こえる低く震える音にビクッと時折身体を震わせる。
もう自身は張りつめ先走りを溢れさせているが、相手はシャワーを浴びている。

「はっ、はやく…こねぇ、かなぁ…」

いや、早く来られても困るけれど。
なにせ、俺の恋人の身体は二メートル以上もあるのだ。
当然ナニも規格外である。そして、この男性平均な俺の身体にぶち込むというのだからいろいろ無理があるというもの。
だから、俺は自ら後ろを解しそのうえバイブをいれて柔らかくする。
それに耐えるのは本当に辛いのだ。最初はバイブの気持ちよさを身体が理解していなかったからまだ耐えられた。
だが、恋人のするセックスに快楽を覚え、バイブの位置も自然とそのとき感じた場所へと導かれる。
自分で自分の首を絞めているのだが、気持ちよさには敵わない。
そのため、最近ではこうして自分でイってしまいそうになるのを必死で抑えて待つのだ。
堪らず自分自身に手を伸ばしかけるが、それを思い留まってシーツを握りしめる。
皺が増えて、せっかく綺麗にメイキングしたのにと考えたのは一瞬。

「いきそ…ひっ…」
「和ちん、もうイくのー?」
「あ、っちゃ、ん…」

がちゃりとドアが開いて暢気な声が聞こえた。
待ちかまえた人物に俺はそちらを見るために頭を持ち上げるとぎしりとベッドが軋んだ。
長い腕が俺の身体の横に手をつく。
身体を引いて反転させられて仰向けにすると、紫原と目があった。
シャワーを浴びてそのまま来たのだろう俺の顔に水滴が降り注いだ。
ったく、いつも髪だけは拭いてこいって言ってんのに…。
いくらいっても治らない人だと苦笑を浮かべて手を伸ばそうとしたら、顔が降りてきて唇を塞いでいた。
薄く開けていたからすぐに舌が入りこんできて絡みついてくる。
緩く吸って、俺は紫原の腕を掴んだ。
中では相変わらずバイブの音が鳴っていて、キスの気持ちよさで自然と腰が揺れ始める。

「…もう、ここすごいね…触ってほしいー?」
「ん、さわって…あっちゃんの、手…きもちーから…んぅっ、ひあっ」

求めると焦らすことなく自身を包み込まれた。
片手ですっぽりと収まってしまうそれに男として何かなくした気になるが、大体紫原の手が人より大きいので問題はない…はず。
ゆっくりと扱かれるだけで抑えられない声が溢れる。
そして、俺の秘部からでているコードを辿りリモコン部分を持ち上げた紫原が視界に入る。
それをどうする気だと見ていれば、にっこりと笑った目と合う。

「ちょっ…なにかんがえて…ぁああっ、あやぁっ!!」
「まぁ、もうちょっと解そうかなぁって」

早くした方がいいっしょ〜?と言われて答える前に俺は身悶える羽目になった。
あっけなく放って、けれど中のそれは止まることなく俺を責め立てる。
あまりの刺激に俺は両足を抱えるように丸まった。
どうにかいて四肢を捕まえていないとバラバラになってしまいそうな衝動に耐えられない。

「ぅっはぁっ…ひぁっ、あっちゃ、やめっ…」
「あーあ、どろどろ…中の自分で出せるまで和ちん、何回イケるかな?」

紫原の言葉にちょっと待て、と思ったのに言葉にならない。
なに勝手に自分勝手なプレイを始めているんだ。
むしろ、そんな高度な技術俺は身につけてもない。
フルフルと首を振るのに紫原は聞く耳をもたず、リモコンを弄ってどんどん刺激を強くしてくる。
震えが大きくなり、また白濁を放った。
力が抜けて中のものがだんだんと出てくる。
けれど、抜けそうになるたび身体が逃がさないとばかりにしめるせいで、入口付近で止まってしまった。

「んんっ、ふぁ、んんっ…だめ、だってぇ…あっちゃ、ほしから…なか、くれよぉ」
「もうちょっとだよ〜、ぎゅって力入れてごらん。ほら、でてくる」
「ひぎっ、もう…だめだって…むらさき、ばら…ちょうだいぃ!!」

覗きこまれて恥ずかしさに枕を引き寄せて顔を埋めた。
途端、そこからぽとりと出て俺を苛む刺激がなくなった。
俺は忙しなく呼吸を繰り返しながら行きすぎた快楽で止まらなくなった涙をそのままに紫原に手を伸ばした。
大きい身体が俺の上に覆いかぶさってくる。
バイブはスイッチを切られたのか音が聞こえずぽとりとベッドの下に落ちた音だけが聞こえた。

「よくできましたー、ご褒美にいれてあげんね?」
「ん、奥までこいよ」
「…っ、和ちんのなかさいこー」

先端が宛がわれて中へと入ってくる。
俺の痴態を見て紫原のそれもすっかりたくましくなっていた。
先走りを溢れさせていたのか最初から濡れている感触があって、ローションは足さなくていいなと思いながらそれを受けいれた。
ずるずると中に入り込んでくるそれは、大きいと感じ、それを越えるとどこまでくるんだろうという不安がやってくる。
未だに紫原のものを全部受け入れるのには抵抗があって散々慣らしても入りこんでくるそれに俺は耐えられず胸を手で押し返した。

「も、むり…はいんね、から」
「まだいけるって、和ちん…あとちょっと、我慢ね〜」

暢気な声でその手をとられると指をからませて握られた。
少しの安堵に気を抜けば、奥まで入りこまれて背を反らすと片手で抱きしめられた。
おかしくなりそうなほどの熱量にどうしたらいいかわからず紫原をみれば、キスをしてきて甘く揺さぶってくる。
あれだけしても痛みを伴って、だが、今日はいつもより早く快楽を覚え始めた。
紫原のキスを堪能しながら奥のそれが動く。
抜かれると締めつけ、中に入ると緩く絡みつく。
自分の身体じゃない反応に、俺は戸惑いながらもしっかりと感じていた。

「よかった、和ちんもかんじてるね」
「ん、きもちぃ…すきに、うごけよ」
「…そーする」

キスの合間に誘うように中を締めつければ紫原は短く返事をするなり本格的に動き出した。
大きな体が俺をすっぽりと抱いてしまう。
それが心地よくて、俺はせいいっぱい両手を伸ばして紫原を抱き締めた。
やがて、限界が近くなってきたのか俺の方なんか忘れて動き出した紫原に俺は翻弄されて泣き喚いても放されることはなかった。
中へと大量に注がれて、それと同時に何度目かもわからない白濁を放ったら、途端俺の意識が途切れた。




ぽちゃりと水音が聞こえて俺は意識を浮上させた。

「んぁ…?」
「和ちん起きた〜?」
「紫原」
「ん、身体汚れちゃったし綺麗にしてあげよーと思って」

ぎゅっと両手が俺の腹に回される。
今は湯船の中だった。
もう綺麗にしたよ、と上から声が降ってきてそっかとまだ頭が回ってない中で返事をした。
いっそもう寝てしまいたい。
今日は体力を限界まで使った気がするから立てるか心配になりつつも大きい身体に包まれていると安堵を覚えてしまう。

「眠い?ねてもいーよ」
「でも、あっちゃんにばっかさせらんねぇよ」
「俺気持ち良くさせてもらったし、いいんだし」

額にチュッとキスをされて、甘やかされてんなーと他人事のように思った。
その甘やかし方が好きだった。
自分も甘えてくるくせに、紫原のそれは癖になるぐらいに心地いい。
紫原の好きな飴とかお菓子のようだ。
俺は紫原の手をとってちゅっと指先にキスをすると息をのむ音がした。
もしかしたらまだ足りないのかもしれない。
途中で意識を飛ばしてしまったのだから当たり前だ。

「あっちゃん、する?」
「もー、なにいってんの。辛いくせに、その口塞ぐよ?」
「あっちゃんが良かったら、俺だっていいんだぜ?んんっ」

いい終わると同時に唇を塞がれた、
上からという変な体勢なのに唇はしっかりと重なっている。
けれど、さっきとは違って舌を絡めることもなく重ねるだけで去っていった。
目をあけると、困ったような顔と鉢合った。

「せっかくがまんしてんだから、和ちんはだまってろし」
「んだよそれ、いいっつってんのに」

顔を赤くしながらそんなことをいわれたら、おかしくてつい笑ってしまった。
笑ったら笑ったで俺は真剣なのにと拗ねられてしまって、俺はそれから機嫌を取る羽目になってしまったが、俺は結構幸せなんだと思う。

「好きだぜ、紫原」
「俺も、和ちんのこと大好きー」

些か大きすぎる動物に甘えられて俺は悪い気がしないのだ。
俺はとても満たされた気分で身体を預け、睡魔に欠伸を噛み殺したのだった。



END




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