昔みたいにはいかないけれど
バスケをしている姿に見惚れた。
一緒に相棒として傍においてもらえたことを誇りに思った。
一度切れた糸を手繰り寄せて、綺麗にとはいかなくても結び直した。
WCから僕たちはまた一緒になれて、今日は年を越したある日のこと。
部活が終わり何気なくみたケータイに青峰くんからメールが入っていて、いつものようにバスケのお誘いかと思ってメールを開けばうちこねぇ?と一言だけの文章。
僕は、笑って、くしゃりと歪みそうになるのを抑えた。
「どーした、黒子。変な顔してるぞ」
「いえ、ちょっと…僕、用事ができたので今日は帰りますね。火神くんにはマジバはまた今度と伝えておいてください」
「おー、わかった」
降旗くんに見つかってしまったのを恥ずかしく思いながら急いで制服に着替える。
汗を拭くのもそこそこに僕は部室を出た。
メールには、今から行きますと簡潔なものを一言送った。
僕たちは、言葉が足りない。
それでもいい、これからは会う時間が増え、顔を会わせることも多くなる。
言いたいことは、顔をみて言えばいいのだ。
「よぉ」
「こんにちは、青峰くん」
玄関で僕を出迎えてくれた彼は、髪は少し乱れ寝起きのようだった。
でも、スウェットではなく普通の服に着替えているあたり、僕のことはちゃんと意識されているらしい。
ぶっきらぼうな言葉は照れているのだろうか。
僕だってこんな風に誘われたら恥ずかしくなりますよ。
「上がれよ、今日みんな出かけてんだ」
「そうですか、お邪魔します」
青峰くんの言葉に促されるようにして中に入れば部屋に案内される。
ドアを開けると中学のときから変わらない間取りとバスケのDVDに隠されておいてある、グラビアの雑誌。
そのどれもが青峰くんを形成する大事なものばかりだ。
「なんだよ、まじまじみて」
「いや、なにも変わってないなと…」
「変わるわけ、ねーだろ。一年か?それぐらいしか変わってねぇって」
変わっているのは年齢と季節だけだと言われて、僕たちの関係については口にしなかった。
振り返れば、青峰くんは僕をじっと見ていて、その目がなにを望んでいるのかわかってしまった。
大体彼は、すごくわかりやすい反応を返してくれるのだ。
「青峰くん、今は…ふたりきり…ですよね?」
僕は青峰くんの手を取った。
しっとりと濡れているのは緊張からか、それともシャワーを浴びたのか。
わからないが、確認のように声をかけた。
頷いたのを見て、僕は背伸びをしてキスをする。
引き寄せるように首に腕を回した。
ただ、この体勢ではどうにも主導権が握れない一度離れてベッドに行こうと提案した。
「青峰くん…」
「テツも、我慢できなかったのな」
「当たり前じゃないですか…どれだけ君を…待ったと思ってるんです?」
離れていく背中を追う悲しさは味わいたくないとベッドを軋ませて座る青峰くんの足を跨いで今度は見下ろす形でキスをした。
両手で頭を包み込み、何度も重ね合わせているうちに青峰くんの手が背中に回ってきた。
「テツ…テツッ」
「青峰くん、好きです」
切なげに揺れる声に安心させるように囁いた。
するとほっと息を吐いて力が抜ける。
よしよしと撫でて上体をベッドに倒させ見つめたら、青峰くんもこちらを見てきて引き寄せられるようにキスをした。
離れていた時間を取り戻すように、止まっていた時間を埋めるように。
舌を絡めて、貪ったら二人の間を銀糸が繋ぐ。
僕は胸に手を伸ばして筋肉を確かめつつ小さなソレをシャツの上から爪先で弄った。
「っ…」
「気持ちいいですか?」
「んな、わけ…」
「そのわりに、尖ってきてますよ」
見つめているとほんのり頬を赤くする。
目が合うとふいっと逸らす。
それが何だか可愛くて、摘んで引っ張るとたまらず喘ぎをかみ殺した。
「ふふっ」
「〜っ…テツ」
「すみません、あまりに可愛い反応をするので」
「俺をかわいいなんて、言うのはお前ぐらいだ」
「もちろん、そうでなくては困ります」
彼がかわいいことを知っているのは僕だけでいい。
僕しか知らない、青峰くんの一面。
シャツを捲り上げてそこに直接口付けた。
驚いたのかビクッと震えて息を少しずつ吐き出している。
ちゅうちゅうと音をたてると不満げな声が上がる。
そして、僕のそこに押し付けられる腰。
「もう、ですか?」
「てつ…」
とろりとした目で見つめてくる青峰くん。
体格だってこんなにも違う。
なのに、身を委ねて僕に強請るのだ。
…かわいい。
ベルトを外してそこを押し上げているものを開放してやれば安心したようにため息を零して、腰を上げて協力してくれる。
「ローション、ありますか」
「…ん」
「ゴムは入りません…今日は生で、させてください」
「お前っ…」
「良いじゃないですか…青峰くんのなか、出したいです」
ローションとゴムを出されて、ゴムは返した。
戸惑う青峰くんに笑みを向けるとますます赤くなって無言。
肯定の合図に僕はローションを手に出して温めながら片手は自身を扱く。
もう片方は閉じた秘部を広げる。
「ん…く、はぁ…」
「気持ちいいですか?」
「テツ…なに、見ていってン、だよ」
「こういうのは、言葉で伝え合うのも大事なんですよ」
見るからに堅くて先走りを溢れさせるそれは気持ちよさそうに震えている。
一本差し込んで回す。
これだくなら前立腺マッサージと同じなのであまり痛みはない。
二本目を入れると少しキツいのか眉間に皺を寄せている。
自身を扱きながら力を抜かせて広げる。
不意に青峰くんの手が伸ばされ僕の頬を撫でた。
何だと顔を上げれば、少し苦しそうな顔で笑みを浮かべている青峰くんがいた。
「どうしたんですか?」
「んゃ、嬉しそうだな」
「はい、青峰くんのお誘いがとても嬉しかったので」
青峰くんの手に顔を寄せると、そんなにかよ、と照れくさそうな笑い声が聞こえた。
当たり前じゃないですか、だって離れていた時間が途方もなく長く感じたのだから。
「なら、もっとくれよ…てつ」「青峰くん…」
掠れた声で名前を呼ばれ、我慢できるほど理性的じゃない。
本当はもう少し慣らしたいところだが、中が卑猥に絡みついてくる。
息を飲んで、中から指を抜いた。
青峰くんは自然と足を開いて受け入れる体勢をとってくれ、僕は上着を脱ぎ捨て制服を脱ぐと青峰くんの腰に枕を入れて自身を秘部にあてがった。
ジッと見ている。
視線を感じて顔を上げれば、目を潤ませている青峰くんがいて、僕は優しく微笑んだ。
「いれ、ますね」
「おう…」
ぎこちない、僕たちの間にあった溝はきっとまだ塞がってはいない。
でも、今は嬉しさと愛しさで何も見えない。
手を握ってゆっくりと押し込んだ。
力を抜くためか、青峰くんの胸は深く上下して胸の尖りを舐めればピクッと締め付ける。
「てつ、てつ…きもちい、か?」
「あお、みねく…きもちいい、です。幸せです」
中に全部入れると馴染むのを待って動きを止めた。
中は断続的に締め付けて、一緒になれたという充足感に胸が満たされ視界が滲む。
「なー、に…泣いてんだよ」
「青峰くん、だって…泣いてるじゃないですか」
青峰くんの指に涙が拭われて笑えば変な顔だと笑われた。
そうしてゆっくりと動き出せば、青峰くんは息を乱し始める。
僕だけにしかみせない表情、快楽に貪欲で、もっとくれと強請るように瞳が揺れる。
それと同時に握る手に力を込められ、苦笑がもれる。
「ァッ…ん、だよ?」
「青峰くんの、欲しい気持ちはわかりましたが…僕にも限界があるので、もう少しゆっくり」
「ばっ…そんな、風に…いってねっ、あふっ」
「欲しがってるじゃないですか、中が」
すごく、卑猥ですよ、と羞恥を煽ると中が締め付けてきた。
こちらも追いつめられながら腰を動かす。
一際感じるところを擦りあげれば手の甲を口にあてて声を抑えてしまう。
「あ、おみね…くん、声を…聞かせてください」
「はっ、ぅ…ンンッ」
フルフルと首を振って嫌がられ、僕はムッとした顔をする。
それでも耐えている青峰くんに近づく。
といっても、僕の身長では胸のところに耳を寄せるぐらいしかできないが…。
トクトクといつもより早い鼓動、腰を打ちつけるスピードを上げながら大輝くん、と名前を呼んだ。
すると、明らかに反応が変わり、中がうねるような動きを見せ、息が上がり自分から腰を揺らし始めた。
「大輝、くん…すきです」
「てつ、てつぅ…ふ、ぁっ…んぅっ…クッ」
「イってもいいですよ」
「やめっ…ふ、あっ…てつっ」
自身を掴んで扱くと手を掴まれたが、それはただ恥ずかしいだけだってわかる。
ほら、とそそのかすように囁くと身体を震わせて中がギュッと一層強く締めつけてきたかと思ったら白濁をどろりと吐き出した。
僕も中に白濁を放って自身を抜くと、どろりと溢れるそれに興奮した。
胸辺りに抱きついて息をつくと握っていた手を解かれて青峰くんが抱きしめてきた。
髪を梳かれて、安堵する。
顔をあげれば目があって、ふいっと逸らされるのに破顔した。
どうしてこうも僕の恋人は可愛いんでしょう。
「青峰くん、また…遊びに来てもいいですか?」
「んー、誰もいなかったらな」
「僕の家にも…きてくださいね」
歓迎しますよと身体をのしあげてキスをするとふっと優しい笑顔をみせてくれる。
それもこれも火神くんのおかげだとおもうと少し納得いかないけれど、僕一人ではこうならなかった。
ごろりと青峰くんの隣に寝転がると感触を確かめるように抱きしめられた。
すり寄るとテツ…と囁く声が聞こえる。
青峰くんも同じことを思っているのかもしれないと思ったら、おかしくて笑ったら何笑っているんだと不機嫌になってしまった。
「なんだよ」
「いえ、これからちゃんと会いましょう」
そっと誓いを立てるように、僕は言った。
END