黒バスBL | ナノ

ただの甘えたがり


高尾は淫乱なのだと自分で言った。
確かに、俺の上に乗って腰を振る様は淫乱だと言えるだろう。
だが、俺はそれに頷けずにいた。

「真ちゃ、しんちゃんっ…ぁっ、はぁっ…あぁぁ」
「た、かお…」

目の前で足を開き、俺にまたがるなりローションで濡らすと自分で受け入れる高尾は俺には健気に見えるのだ。
俺達がこういうことをするようになって、もう二年が経過していた。
最初こそ後ろめたさはあったものの、俺の過ごす大半の時間を高尾と居たためにこうなってからといってもあまり変わりはない。
いつものように部活に行き、いつものように送迎は高尾の運転で、そしてたまに俺の家に来てはこうして腰を振る。
正直今でも戸惑いの方が大きい。
俺なんかに媚びるより、もっといい女性がいるだろうに、こいつは俺が良いという。
俺なんかのどこに魅力を見出したのか、それは今になってもわからない。
ただ、宮地さんや大坪さんに関しては当然の結果だという。

「も、なに…こっち、集中、しろって」
「んっ…してる、のだよ…」
「うそだね、真ちゃん考え事してっと感度鈍るじゃん」

むっと唇を尖らせるとベッドに手を突き俺の唇を塞いだ。
唇を薄く開けば舌が入ってきて、俺の舌と絡まる。
吸ってやれば気持ちよさそうな声が漏れて、締めつける自身にさらに圧力が加わった。
考え事でもしていないと、こっちはこっちでイってしまいそうになる。

「感度は鈍ってないのだよ」
「…そーみたい」

示すように腰を突き上げてやると、気持ちよさそうな声をあげる。
高尾の唇を舐めて、もう動くのを止めたところで俺は高尾の腰に手をかけた。
いつも俺の上に乗る高尾は、満足するとそのまま動かなくなる。
それは俺に甘えたい証拠だと、最近では考えるようになった。
高尾の上半身を倒すと俺が身体を起こす。

「たかお、たかおっ…」
「ヒッ、あっあぁっ…しんちゃ、あっあっ…やだっ」
「手を退けろ」
「やっ、ちょっ…まてって、ああぁっ」

突き上げを開始すると自分ではできない角度からの刺激に感じるのか、身悶えて身体を捩る。
逃げようとする腰を引き寄せ、イくのを耐えようと自身を握ろうとする手をとり上げる。
堪えるから、という高尾を無視して突き上げていると泣きだした。
ぽろぽろと涙を流しながら感じて、喘ぎ声が溢れてくる。
俺は秘かにこの瞬間が好きだった。
自分で感じるのではなく、俺で…俺のすることで感じて仕方ないという顔を惜しげもなく晒しているこの瞬間が。

「高尾、俺を見ろ」
「し、ちゃ…も、やめぇ…ひあっ、うごくなって…うぁ、あっ」

ぐしゅっぐしゅっと俺の出している先走りとローションが結合部から溢れる。
高尾の自身も先走りと白濁で濡れそぼり、またイきそうになっている。
必死に目を凝らし、俺を見つめる高尾。
俺の顔がそんなにもいいのかと笑ってしまう。すると、俺の視線に気づいたのか恥ずかしそうに目を逸らすのだ。
お前は自分を淫乱だというけれど、そういうところはとても初心だと思うのだよ。

「たかお…」
「なぁに、しんちゃん」
「きもちいいか?」
「きもちーぜ?まさか、これで終わりになんて…しないだろ?」
「もっとしたいなら、人事を尽くすのだよ」
「あはっ、ちょっとこれ以上奥されたら…俺が、明日人事を尽くせなくなるのだよ」

言葉遊びのように耳に吹き込まれる言葉にお互いに笑いあって、ならゆっくりしようと小さく動きだす。
さっきの様な激しいものはなくなったが、これはこれでお互いの熱を感じていれて心地いいと感じる。
それは高尾も同じなようだ。

「気持ちよさそーな顔してんね」
「お前もだぞ」
「へへ、真ちゃんのしんちゃん、すっげぇきもちいいから」
「からかうな」

言葉が過ぎる、と咎めつつ前立腺を狙って突き上げるとぎゅっとシーツを握る。
やったな、と目で訴えたかと思うと思いっきり締めつけてきて、腹に力をいれなければ持っていかれるところだった。

「たーかーおー」
「真ちゃんだってじゃん」

噛みつくようにキスをしてきて、一つため息を吐けばこの状態でいるのもキツく、動き出す。
それと同時に高尾の足が俺の腰に巻きついてきて、切れ切れに一緒にイこと言葉を紡いだ。

「はっ、あぁっ…も、イく、いくっ…しんちゃ、いくっ」
「クッ、奥に…出すぞ」
「あぁっ…ふぁっ、んんっ…きて、奥、だしちゃって…――ぁあぁああっ!!」

最奥を突き上げて、そこで達してやれば長く尾を引く喘ぎ声をあげて、中を締めつけ白濁を放っていた。
残滓まで出すように扱いてやり、全速力を駆け抜けたように息も絶え絶えにぐったりしている高尾と結合を解いてやると力なくベッドに身体を預けていた。
俺も隣へと寝転がると、すかさず高尾が身を寄せてくる。
腰に手を添えて引き寄せると、小さく笑った気配がしてこれを所望されていたことを知る。
高尾は、淫乱というより甘えん坊といった方が簡単だ。
全身で、恋人らしく甘えている。
それを甘やかすことを許されている俺は、多分この上なく幸せなのだろう。
けれど、それを口にすることはしない。
高尾なら、わかることで、今わからなくてもいずれわかるだろう。

「真ちゃん、俺眠くなっちゃった」
「後始末、しないと辛いのはお前なのだよ」
「…そこは、やってくれるのが優しさじゃねーの?」
「勝手にやって残っていると腹を下して泣いたのはどこの誰だ?」
「…へいへい」

仕方なく身体を起こす高尾の腰をそっと支えて、仕方ないから風呂場まではついていってやろうなんて言い訳をつけて、俺はわからないふりを続ける。
そうして、不器用に甘えてくる高尾を甘やかすのが俺は好きだ。

「しんちゃーん、そこにつったってるだけならタオル出してー」
「もう出しているのだよ」






END





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