黒バス夢 | ナノ


▽ 君の傍だけ

目が覚めると、隣に気になる男がいたのは二回目。
私が持ってきたケータイのアラームで起きたのだが、この前同じようなタイミングで起きたのに今日はまだ寝ているらしい。
この前と同様、私に抱きついて眠る名前はなんだか少し幼い顔をしている。
そっと手を離させて起き上がれば腰の痛みに息を詰まらせた。
平気だと思ったが、加減を知らずやりすぎてしまったようだ。
とりあえず、確認の為に名前のシャツをめくりあげた。

「あら、素敵な勲章だこと」

そこは見事に足跡が残っていた。
シャワーを浴びた後、私は寝てしまったが案の定湿布をせずに寝ていたようだ。
なにがどうなってこんな惨状になったのかは聞くタイミングを逃してしまった。
生徒会長というだけで生徒の暴力を受ける立場になってしまうのは如何なものか。
まぁ、ここの偏差値が高いと言っても馬鹿はいるのだ。
理不尽な暴力を甘んじて受けているのなら問題だ。
そっと撫でるとピクッと反応した。嫌な予感がして恐る恐る視線を顔へと移せば、名前が起きていた。

「起きてるなら声かけなさいよっ」
「え!?理不尽っ」

バシッとシャツを元に戻して、吐き捨てるように言うと服を着ながら帰ろうとしたら手を掴まれた。

「玲央、痛いとこない?」
「あんたの方が痛いでしょ?」
「え?俺別に気持ちよかったし…」
「違うっ、それ」

天然なのか昨日のことを思い出させるようなことを言う名前の言葉を遮ってシャツの上から少し押さえてやる。

「っ…」
「やっぱり痛いんじゃない」
「まぁ、蹴られたから。でも、骨が折れてるわけじゃないし…放っておけば治るよ」
「そうやってあんたは、何もかも受け入れてきたの?」

名前に近付くにつれて少しずつわかってきた。
この男は優し過ぎるのだ。
生徒会長も推薦だと聞いていたし、学校でのもてはやされ振りを見ればすぐにわかることだった。
ただ、そこまで見てやれる人間がいないのだ。
一人なにもかもを背負う名前に、自分の辛いものを押しつけていくだけで…この苗字名前自身をみてやれる人間が…。
ただ、殴られっぱなしと言う訳じゃないところだけは褒められるところだろうか。

「無条件に受け入れてきたわけじゃないよ」
「そうやって傷を受けることが報い?」
「そんな深いことでもない。玲央心配してくれるの嬉しいよ、ありがとう」
「そうじゃないでしょ!?」

別に感謝されたくて言っているのではないと声を荒上げるとわからないと言う風に苦笑いを浮かべた。
私は掴まれている手を引き寄せてよろけた身体を抱きしめた。

「甘えたいならしっかり甘えなさい」
「れお…?」
「名前が、私を選んだなら…私はあんたのことずっと見ててあげるから」
「…うん、玲央は優しいね」
「あんたのほうが、救いようがないくらい優しいでしょ」

誰かのことしか、目に見えていない。
本当ならこんな人間が生徒会長なんかになってはいけないのに…。

「救いようがないって酷いよ」
「そうなんだから仕方ないじゃない。あ、私朝練いかなきゃいけないから…もう戻るわ」
「そうだね。引き止めてごめん、またしばらく会えなそうなんだけど…」
「あとで教室いく。アドレス渡すから…それと、教室で実渕さんなんて呼んだらアドレス教えないからね」
「はぁい」

釘を刺せば信用されてないなぁと笑う。
信用は、多分していない。
こんなにも不安定な男、信用するだけ無駄だと思っている。
名前を離して部屋をでると自分の部屋に戻り軽くシャワーを浴びて制服を着た。
朝食は食べている時間はなく、カロリーメイトを引っ掴んで朝練へと向かった。




部室に入ると、赤司がきていた。

「おはよう、征ちゃん。今日も早いのね」
「おはよう、玲央。玲央は少し遅いな」
「ふふっ、ちょっとのんびりし過ぎただけよ」

ロッカーを開け、荷物を入れて着替え始める。
先に着替えた赤司はベンチに座ってケータイと睨めっこをしていた。
彼がここにきて初めてみせた行動だ。
いつもなら次々とやってくる部員達だが、ちょっと遅いようだ。

「メール、待ってるの?」
「ん…そうでも、ないよ」

聞けばそっと私の目を避けるようにケータイをしまった。
話題にしてはいけなかったか、と私もメールをチェックしてしまう。

「玲央…その、質問なんだが…」
「なぁに?」

いつもはっきりとした赤司と似ても似つかないほどに遠慮がちな声。
見上げてくる視線を合わせるがどこか戸惑ってるようにも見える。

「玲央は会長とどういう関係なんだ?」
「…えっと、答えないとだめなの?」

さっきまで戸惑っていた顔はどこへやら、赤司ははっきりと聞いてきた。
どういう関係と聞かれても曖昧すぎて答えようがない上に、こんな関係知られてはまずいだろう。
私は良いが、主に名前が、だ。

「答えによっては、僕が口を挟まなければならなくなる」
「どういう…」
「おっはよー、赤司ィ、レオ姉っ…ん?なになに、どうかしたの?」

どう言うことだと聞こうとしたら、葉山の乱入によって遮られた。
そもそも部活の前だ、誰かくるに決まっている。

「なんでもないよ、みんなが遅かったから…ペナルティをつけようか相談していたところだ」
「えー、そんな遅くねぇし」

後から根武谷も入ってきて一気に部室が騒がしくなった。
さっきまでの会話はかき消されたのだが、赤司の視線は明らかに何かあれば何かをすると言いたげなものだ。
私としても、昨日のあれは口を出し過ぎたと思っている。
部活に帰ってすぐ切り上げ、向かったのはまずかったようだ。
赤司の前では気をつけた方がよさそうだ。
赤司の言葉をうやむやにしたまま朝練が始まり、ホームルーム前にはきっちり終わる。
夏の大会まで後少し、できる限りチームワークをつくり大会に備えなければならない。
短い時間でやれることを詰め込むのだ。




朝練を終えて解散すると足早に向かうのは自分の教室ではなく、その隣だ。
思えば、私から名前に会いに行くことはなかったかもしれない。
隣なのに、教室にいる人間が違うだけで変な感覚だ。
中を覗いて真ん中の一番後ろの席に姿を見つけると中に入っていく。

「おはよう、なにやってるの?」
「あ、おはよう…宿題忘れてた」
「バカじゃないの」

声をかければ名前を呼ぶかと思えばそうじゃないようだ。
このまま呼ばすに教えてやるほど、私は優しくない。
手元を覗き込んだら、急いで数学を解いているようだ。
ため息をついて、眺めていれば教えてくれる?と顔を上げた。

「ちゃんと呼びなさいよ」
「…唐突に名前は不自然だろ…?」
「交換、しないの?」

ケータイを出して脅してやれば、ぐっと詰まらせて上目遣いが見つめてくる。

「玲央、アドレス交換してください」
「やればできるじゃないの」

その顔も私を煽るだけなのに、と笑って赤外線でアドレスを交換した。
これで少しは交流も増えるだろうか…。
ケータイをしまうとやりかけた宿題に取りかかっていた。
私はそれをじっと見て問題を不意に指差した。

「ルート5、23、8xy」
「え、ちょっと待って」

私が指差す場所に慌てて数字を書き込んでいくのを見つめた。
確か響は学年五位以内をキープしている。
答えを教えても大丈夫だろう。

「なんで知ってるんだ?」
「数学の先生、城田でしょ?同じプリントだすの」
「ヘェ…そう」
「いいから全部書いちゃいなさいよ、時間ないんだから」
「はい」

ついこの間私たちももらったばかりだったので覚えていたのだ。
時間ギリギリにできた、と声を上げた名前の頭をポンポンと撫でてじゃあねと別れた。
去り際、少し頬を赤くしたのを見て小さく笑った。
スキンシップ慣れしていないのも、魅力の一つだろうか。

「はぁ…すっかり名前のペースじゃない」

いつの間にか染まっていく自分を知る。
少しずつ、確実に…名前のことを知る度しょうがないなと思えて、近くにいたいと思うのだ。
望まれるまま、傍にいてやりたいと…思えてきた。
自分の教室に戻ると、今日の一限目は現国の先生の都合で自習になり、文化祭が近づいているから出し物を話し合うと言ったものだった。
学級委員が妙に盛り上がりを気にして逆転喫茶なるものに決まってしまった。
よくありがちな、男子がメイド女子が執事の喫茶だ。
逆転する意味が分からないとある男子が声を上げたが女子はノリノリ、肩身の狭い男子はそれに従う形で押し切られた。

「メイド服とか、マジ女子の趣味わかんねぇ…レオ姉なら似合うからいいけどさぁ」
「あんたはまだマシよ。永吉のことも考えてやりなさい」
「ププッ、それはもうネタでしょ」

少し離れた席では寝ている永吉に、笑ってやる。
が、そこは女子の陰謀。がたいのいい男子は準備を手伝えば免除になるという処置が施されることとなった。

「はいはい、俺はー?」
「葉山はバスケ部じゃん、運動部は部活やってね〜」
「永吉だってそうじゃん」
「うちの女子に何言っても無駄なのわかってるでしょ」
「いや、そーだけどさぁ」

あえなく却下された事に不服を訴えながら黒板に書かれていくのを眺めていることしかできなかった。
だが、メイド服は女子が責任もって手作りするらしくサイズの心配はないらしい。

「こっちは楽できるんだもの、当日だけの羞恥だと思えば簡単よ」
「当日はたくさん遊びたいじゃん、そんな恰好だと楽しめない」
「私は楽しめるからいいわよ」
「レオ姉って、時々ホント潔いよね」

嫌みともとれそうな葉山の一言を流しつつ今日の授業が終わっていく。
後でメールしてやろうと思いながら少し浮き足立っている自分を自覚したのだ。




授業前の玲央の乱入により少し教室がざわめいたのだが、玲央は気づかなかったらしい。
隣の教室事情まではわかるはずもないから当然と言えば当然なわけだが、俺が名前で呼んだことで授業中はコソコソと話のネタにされた。
まぁ、他人は関係ないと言うし…そろそろ俺も腹を括るべきなのかもしれない。
そして、その日の最後の授業では文化祭のことについて話し合われた。

「うちのクラスはなにがいいですかー」
「会長、なんか案ないの?」
「俺は当日色々忙しいからみんなで決めてくれ。俺が楽しいもの選んでも意味ないから」
「じゃー、提案してー」

クラスの出し物にも参加できないのは辛いが、クラスの出し物より大変なことが待ちかまえてることを俺はよく知っている。
我関せずを貫いていたが積極的な人が多いらしくとんとん拍子に決まっていった。
あまり気にしていなかったので何になったのかは忘れた。
授業が終わると向かうのは生徒会室だ。
ドアを開ければさっそく山になったプリントが俺を待ち構えていた。

「みんな文化祭の出し物決めたみたいだな」

一枚とると記入欄にしっかりと書き込まれていた。
はぁとため息をつきつつ前髪をかきあげる。

「祭りは楽しまないと、ね」

今日の一番最初に片付けなければならないものはこれのようだ。
どう手をつけようかと悩んでいると他のメンバーもやってきて、最後に秋山が入ってきた。

「苗字、それ来た順に並んでるからあんま崩さない方がいいぞ」
「それ早く言ってよ」

いつもは敬語だが、メンバーの前ではなんでか口調を崩す秋山。
気にしないけど、いつもとのギャップに一瞬戸惑う。
言われたとおり、俺はプリントの山を逆さにして上から手に取った。
競争率の高いものは早いもの勝ちだからだ。

「へー、ふーん…軽音部か、今年から参戦か」

廃部寸前だったが新しい奴が入ったらしい。
体育館を使う人達もしっかりと順番を決めないといけない…が。

「なにこれ、バスケ部体育館って…許可とったのか?」
「会長の仕事だろ?」
「ですよねー、チッ…」

赤司が明け渡してくれるかわからないが聞きに行くしかないだろう。

「俺も行くか?」
「いいよ。部活の時間だし…痛い目に合えば少しは自重するさ」
「それがわからないから言ってるんだろ」
「大丈夫、秋山は俺の仕事してて」
「誰がするか」
「あーん、いじわるぅ」

ふざけたやり取りをしながら部屋を出た俺はバスケ部体育館に向かう。
昨日と同じ道を通って、体育館の中を覗けば同じ場所に赤司がいた。
いそいそと中にあがり、赤司の傍による。

「なにか?」
「文化祭の日と前日。ここ貸してもらえない?」

なんだか機嫌がよろしくなさそうな赤司に単刀直入に伝えたのだが、当然いい顔はしない。
その間部活ができないのだからその反応は仕方ない。
だが、俺はケータイを取り出して一枚の写真を目の前に出してみせた。

「紫原敦、くん?」
「どうしてそれを?」
「どうしてでしょう?脅す訳じゃないよ、彼を呼んでるんだ」
「は!?敦は秋田に…」
「うん、調べて招待状送っておいた。うち、一般参加大丈夫だし」

一緒の時間を恋人と共有したいだろう?と首を傾げれば、仕方ないなと一言。

「そこまで調べられてるなら、こちらも言えないな」
「ん?何をいうの?」
「会長とバスケ部色恋話さ」
「…あー、それは…本人に言っちゃった?できれば、俺だけに言ってくれる?」
「それじゃあ効果がない」
「いやいや、赤司くんの想像してるような甘い関係じゃないから。むしろその途中っていうかっ」
「……声が大きい」

つい夢中になって言っていればまわりをみろと視線で示され、みんなの視線を集めてしまっていることに気付いた。

「あははー、文化祭の準備の話ね」
「それでも会長ですか」
「これでも、会長なんですよ。ということで、前日と当日貸し出し可能ですね?」
「わかりました」
「ご協力ありがとうございます」

苦し紛れに誤魔化すといそいそと体育館を出て行く。
玲央の視線に気付いて優しく笑みを向けて赤司のテリトリーをでた俺は深いため息を吐いた。

「まぁ、気付かれない方がおかしいよな」

昨日のあれをみれば…あきらか、ではないよな?
普通に友達の領域だろう。
バレるようなへまをしたのだろうか…?

「いやいや、そうだとしてもイコール恋人にはならないだろ」

なんかおかしい、なにかの食い違いに俺は気付くことは出来ず生徒会室にたどり着いてしまった。
そして、俺には考え事をしている暇などない。
暗幕の取り分だとか場所確保、時間割などなど課題は目の前に山積みなのだ。

「なんか、生徒会長になってから睡眠不足とお友達なんだけど」
「親友に慣れるようにがんばろうなー」

なりたくない、とげんなりしながら目の前のプリントと向き合った。




名前が忙しくなると言った通り、滅多に顔を合わせなくなった。
普通にしていても合わせることはなかったのだが、廊下を走っていく姿をみると改めて遠い存在なんだなと思う。
けれど、アドレスを交換したから部活が終わった後など、時間の開いた時にはメールをしていた。
帰ってくる時もあれば、次の日の朝に返信しながら寝ちゃってたと絵文字付きでのメールをもらうこともしばしばあった。

「しっかり寝てるのかしら」
「なになにレオ姉、なんか最近ケータイが恋人だね」
「うっさいわよ…って、結構似合ってるじゃない」

文化祭の準備は着々と進んで、今日は男子メンバーの試着をしている。
顔が良い人ばかりを当日メイドにする予定らしい。

「レオ姉の方が似合ってるよ」
「嫌味?」
「そっちこそ」

男に可愛いは嫌味でしかない。特に葉山の場合は。
笑いながら一触即発の雰囲気を漂わせていると、葉山くーんとお呼びのようだ。

「ほら、行きなさいよ」
「実渕くん、ちょっと」
「レオ姉こそ」

だが、結局私と葉山はメイド服を着せられることは決定しているのだ。
ため息を吐きつつも裾上げの位置を決められていく。
つくづく思うが、なにもないところからこんなものを生み出してしまう女の子と言うものは恐ろしい生きものだ。
着々と文化祭の準備が進むに連れ名前をみることも少なくなっていた。
だから、尚更心配なのだ。



その日の最後の授業を終えて部活が終わり、寮に戻った時事件は起こった。
夕食を食べて一息吐こうとしたとき、ドアにゴツリと音がしたのだ。

「…なに?」

私は不審に思ってドアの前に行くが、なんの音も聞こえない。
外を確認してみるかとドアを開けたら何かが寄りかかっていたらしく倒れてきて、とっさにそれを受け止めていた。

「名前?どうしたの?」
「れお」

腕が私の身体に回されてキュッと抱きついてきた。
私は急いでドアを閉めるが、なにがなんだかわからない。
名前だけはしっかりと聞き取れたがあとはふにゃふにゃと言葉にならない声が聞こえた。
仕方ないとそのまま抱き上げる。ソファに運んだが、離れようとすると力を入れて離さない。

「名前」
「れお、傍にいて…くれ、ないと…」

甘えるような言葉に、つい絆された。
いつもはこんなことないのに、とため息を吐いた。
それが自分の前限定だからこそ、甘えるのは止めろと言えない。
これではシャワーを使うことさえできないと苦笑をして、寝るためにソファから寝室へ移動した。

「明日の反応が楽しみだわ」

半ばヤケクソになりながら私は名前の身体を抱きしめ眠ることにした。
私も甘やかすのは嫌いじゃない。
赤司からの圧力のようなものも最近ではなりを潜めているように見える。
好き勝手できるのは今のうちかと笑みを浮かべた。





目が覚めると玲央が目の前アップでいた。

「っ!!!」

美形慣れしていない俺はまた叫びそうになってなんとかこらえた。
昨日は普通に帰ってきて宿題してたはず…。
でも、すげー眠くて意識朦朧だったが…どうして玲央の部屋にきてしまっているのだろう。
しかも、玲央の腕が俺の腰をしっかりホールドしてきているため身動きがとれない。
俺も俺で玲央に抱きついてるし…。
なんなんだろうと呆れつつ服も昨日のまま、玲央もシャツのままだ。
俺のせいなのか、と聞きたくても起こすのが忍びなく、そう言えば何時だと時間を見て固まった。
もう八時を過ぎている、完璧に遅刻だと玲央の肩を揺する。

「玲央、玲央起きろ。遅刻だ」
「ん…うるさいわよ、今日は土曜日…休日でしょ。それに、テスト期間で私たちも部活なし。静かにしてなさい」

慌てて起こすとうるさいと玲央の手のひらが口を塞いだ。
眠そうに説明されて納得したところでまた抱きしめ直される。
そして、しばらくすると規則正しい寝息が聞こえ始めてきて、俺は抜け出すことができなくなってしまった。
うーんと考えて、まぁいいかと考えることを放棄した。
大体昨日まで脳みそをフルで使っていたのだ。
考えることも億劫になってくるだろう。
テストのあとに文化祭だなんて鬼畜な行事が悪いのだ。俺は学年首位なんかいらないと安息の時間に身を委ねた。
昨日まで感じていた頭痛もすっかりなくなって、よく眠れそうだと玲央の匂いを胸一杯に吸い込んで幸せなため息を吐いた。



END


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