黒バス夢 | ナノ


▽ あいつの日

ケーキを片手に腕時計を確認、仕事が長引いてしまいすっかり遅くなってしまった。

「やっべぇ、あいつ家にいないかも…」

拗ねるとすぐに近くの元相棒のもとへと行ってしまうから、と苦笑を浮かべる。
ただし、やつの元相棒ではない、俺のだ。
見越して向かう先を変えた。
今日、いやあと五分後にはあいつの誕生日。緑間に祝わせるわけにはいかない。
だって、他でもない俺の恋人。
高校のとき猛アタックを仕掛けて、やっとのことでものにした。
本人はと言うと緑間と同じぐらいデレがない。
だからこそ、あいつの本当の言葉はちゃんとわかるし、そういうあいつもちゃんと愛してくれてんだなぁなんて感じちゃってますます愛しくなるし。
にやにやと自分の口角が引きあがるのを感じた。
いけない、少しは引き締めていかないと。
こんなことじゃ、 また緑間にデレデレするなって言われちまう。

「まぁ、ノロケてもいいけどなー」

独り言を言いながらついた場所を見上げる。
部屋には明かりがついているのを確認してマンションへと踏み入れた。
慣れた手順で中に入ると、インターホンを押す。
直ぐにガチャリとドアが開けられるがチェーンで途中までしか開かなかった。

「たかお〜」
「名前、なにしてんだよ」

えへへ、と笑った顔はへにゃりとしていていつもならみることのできないもの。
奥から家主の声が聞こえてちょっと待てというなり一度閉めてチェーンが外された。

「たかおっ」
「っと、出来上がり過ぎじゃね?真ちゃん」

開くなり俺に抱きついてきた名前を抱きしめて、止めなかった長身の男を見上げた。
緑間はなんら動じた様子もなく眼鏡を引き上げる。

「酎ハイ一本でそこまで出来上がるとは思ってなかったのだよ」
「へ!?酎ハイ一本…なんか無茶してたのか?」

いつもなら五本は軽く空ける名前が一本でこの状態と言うことは寝不足の可能性が高い。
俺が顔見てない間に何をしてたんだという視線を向けてくるが、そんなのは知らないと首を振る。

「ただ、最近俺も顔みてなかったっつーか…名前が隠してたのかも」

いつも顔をみるならわかるのだが、一緒に住んでいるのに顔を合わせる機会がないというのもおかしい話だ。
ただ、俺も帰り遅かったし…名前は名前で自分の部屋に籠もりっきりだったし…今回のは完璧にすれ違いだ。
ぎゅっと抱きしめる手に力を込めると嬉しそうな声が聞こえた。

「全く、仕方のない奴らなのだよ」
「ごめん、ありがとな真ちゃん」
「ほら、これはお前に。こっちは名前にやる」

緑間から渡されたのは一つはプレゼントで、もう一つはアロマキャンドルだった。
未だに信じてるおは朝がらみだろうかと首を傾げると頷いた。

「これで落ちついて、俺のプレゼントは後で渡してやるのだよ」
「はいはい。そこまでしっかりおぜん立てしてくれんのな」
「そ、そんなことはないっ…別にお前のことなど俺は考えてないのだよ。俺だって名前を祝いたいのだからな」
「おう、ありがとな」

本当に、と呟いて俺は緑間の部屋を後にした。
名前は俺にしがみついて、酔っ払ってるのか何なのかわからないまま、とりあえず腕を肩に回させた。
歩いているから、起きているのだろう。
けれど、ずっと無言のまま…気まずいわけじゃない。少しだけ、申し訳ない気持ちが先立った。

「名前…」
「…ん」
「俺さ、仕事で忙しくてみれてなくてごめんな?ちゃんと寝れてた?」
「…普通だ」
「そっか、ならよかったけど…寝不足は感心しねーぞ?」

そっと顔を覗き込めば、案の定隈が見える。
少し無理をしていたらしい…。
夜道を歩きながら、そっと重ねた唇。

「なに…」
「うん、誕生日おめっと」
「っ…忘れてるかと、思った」
「忘れてるわけねーじゃん。まぁ、ちょっと遅れちゃってるけどさ…俺は、名前のことちゃんと大事」

クシャリと髪を撫でるとまた俯いてぼそりと何かを呟いた。
ん?と耳を傾けると、ぎゅっと胸倉を掴まれて耳に寄せられた唇が空気と一緒に動いた。

「       」
「…りょーかい」

甘い言葉に、寒さが一気に吹き飛ぶな、と笑って少し早足になるのも構わず部屋へと帰ればお望み通りにベッドに入った。
二人して寒い中帰ってきたため少し身体が冷えていたが、暖房をつけて二人でベッドの中へと潜り込む。

「名前、酔ってたの嘘だろ」
「いや酔ってたよ」

即答具合に俺は嘘だなと感じつつ苦笑を滲ませながら、また唇を重ねた。
今度は触れるだけなんて簡単なものじゃなくて唇を開くタイミングで舌を忍ばせる。
くちゅりと音をたてた、俺は唾液を咥内へと流し込んだ。
こくりと飲み下すその喉が上下する動きに煽られる。
そっと喉仏に触れて、なぞりそのまま下へと滑らせる。
服を脱がし始めてだんだんあたたかくなってきているから、裸になっても平気だった。

「心臓すごい」
「う、うるさいなっ…最近、ぜんぜんしてこなかったのは誰だよ」
「あれ?もしかして欲求不満だった?」
「っ…な、わけ…」
「俺も、名前が欲しかったぜ?」

忙しくてホントごめん、と謝ればそっと腕が俺の背中に回ってくる。
酔ってはいないが、アルコールの効果は持続中らしい。少し大胆な名前に笑みを浮かべつつ下も全部脱がしてしまう。
自分でも服を脱げばお互いの高ぶりを擦りつけ合って、乱れる呼吸を吸ってやれば苦しいと肩を押された。
やばい、かわいい。
今日は止まれそうにないなと感じながら、突起に吸いつき中に指を忍ばせると少し硬くなっている。
ちょっと今日は時間をかけるしかないなと思ってローションを取ろうと顔をあげれば真っ赤になった名前が俺を見ていた。

「どうした?」
「あ、あのさ…」
「んー?」

聞きながらローションをとって蓋を開ける。
片手が塞がっているため少し冷たいのを我慢してもらい秘部に垂らすと中に指をいれてなじませる。
ここからが、肝心なんだ。男同士って言うのは何かと面倒で、でもそうしてでもこいつが欲しい。

「すぐ、いれてほしい」
「……ん?」

いや、だからこっからが肝心なんだって。俺のいうことわかってる?いや、わかってなくてもいいけど、これしないとどうなるか名前は嫌というほどわかってるはずじゃないか。
俺は一瞬にして頭が混乱して、名前を凝視した。
すぐさま、見るなと恥ずかしげに腕を交差させて顔を隠したのだが、腕をとり上げてまっすぐに名前を見つめる。

「もういっかい、いってみ?」
「うっ、うるひゃっ…うるさいっ、きこえなかったらいいっ…はなせっ」
「聞こえた、聞こえたけど…ほら、こんなに硬いのにすぐにいれたらどうなるかわかってるだろ?」

試しに指を二本入れて中を開いて見せる。
明らかに開いていないのが名前にも伝わったのだろう、一瞬表情が曇った。
が、手が伸びてきてふっと触れ合わせられる唇。
そして、じっと見つめてくる。
言葉は、ない。

「っ…あーー、もう…痛くてもしらねーからっ」
「痛くするな…俺は、痛いのは嫌いだ」
「我儘っ、真ちゃんより我儘っ…でもそこが好きっ」

好きだと言った瞬間顔を今まで以上に真っ赤にするところとか、もうほんと…愛しい。
でも、やっぱりこの狭さじゃ無理だからと少し慣らしてたっぷりとローションを塗りこめてできるだけ早くいれれるようにした。
自身を宛がうと少しだけ怯えた表情をする。
それを振り切るように俺に抱きついて肩に顔を埋めてきた。
そんなに覚悟するならもう少し待ってくれてもいいんじゃないかと思いつつも、慎重に先端を含ませる。

「ふ、ふー…ふー…っ…」
「よしよし、イイ子…痛かったら手あげろよー」

深呼吸をして柔らかく受け入れてくれようとする名前にちゅっと音を立てて耳たぶにキスをすればびくっと身体が震えてかわいーの、とからかう言葉を口にしながらこちらも細心の注意を払う。
滑りはよくなったが、少し気を抜けば締めつけが半端ないぐらいなのだ。
無茶をしようものなら傷つけてしまう。
できるだけ、痛みを感じさせないように名前の自身を握って扱き感覚をやり過ごす。

「ひっ…あっ、ふぅ…っかお、たかお」
「んー、名前で呼んで?」
「かず、なり…ふぁっ…ぁあっ」

泣きそうな声で耳に入ってきた名前が不覚にも俺の下半身を直撃した。
それは名前にも伝わったようでキッと睨みつけながらも苦しそうに呼吸を繰り返している。
でも、なんか中が馴染んできたように思えるのはどうしてだろう。

「な、もっかい名前で呼んで」
「あっ、やめ…かずなりっ」
「あー、いいわそれ…すっげぇ、そそる」

堪らないと呟けば小さな悲鳴をあげるのに中は柔らかく包み込んでくる。
あんな風にツンツンしててもしっかりと俺を受け入れてくれているあたりは、愛だなとしみじみ思った。
そして、俺はもう我慢できない。
唇を舐めて名前を見つめるとすぐに逸らされた。
けれど、恥ずかしそうに顔を赤くしているから大丈夫だと勝手に解釈して奥を突き上げた。

「ひぁっ…あぁっ、たかおっ…」
「なまえだって、いってんのにもー…っ」
「ぁっ、あぁっ…やぁっ」

夢中になってくると昔の癖で名字を呼んでしまう。
それは仕方ないことだと半ばあきらめて、何度も突き上げた。
名前の瞳を濡らす涙を舐めとって、柔らかく愛して、全部を包み込んでやりたいと想いのままに。

「名前、大好き…今年も俺と一緒に居て」
「ん…ふ、んん…いる…」

目を開けて見つめてくる名前の頬を撫でて抱きしめながら二人して上りつめた。
中を濡らしてしまう感覚に俺は慌てたが、名前はぎゅっと俺を抱きしめたまま離そうとしない。
俺は名前の頭を撫でながら、後で怒られるのならば甘んじて受け入れるかとなんだか諦めたようにこみ上げる笑いに口角をひきあげた。




「ほい、これは真ちゃんから。こっちは俺からな」
「ありがと」
「うん、それと真ちゃんがくれたアロマキャンドル。これでよく眠れるぜ」

情事が終わり泣きすぎてはれぼったくなった顔をした名前はぼそぼそとプレゼントを受け取っていた。
すっかり酒は抜けたようで風呂に入った後は大人しいものだった。
思い出したように俺と真ちゃんからのプレゼントを渡して、それからアロマキャンドルに灯をともした。
明かりは消して、柔らかな明かりが辺りを包む。

「良い香りだ」
「癒し効果があるらしい…リラックスできて、ゆっくり眠れるんだと」

真ちゃんのもの選びにはセンスがあるのかないのかわからなくなる。
今回のこれは、もちろん当たりの方向だ。
隣にとろんとした目をして俺を見つめる名前の額にキスをするともう眠ってしまいそうだ。
さっきから鳴りやまないメールに愛されているなと感じながら、今日この時間は俺のものだと心の中で舌を出す。

「名前、明日は早く帰ってくっからケーキ食お」
「うん」

俺の買ってきたケーキは結局時間がなくて冷蔵庫行きだ。
明日ならまだ腐ることもないだろうと名前が言ったことで今日食べるのを諦めた。
眠り心地で返事をするのを聞きながら、久しぶりの一緒のベッドと満足感に眠りに落ちていく名前を眺めていた。
俺はそんな幸せをかみしめつつ、キャンドルをふっと消して抱きしめると甘だるい心地に笑みを浮かべていた。



END


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